“ラストスパート”の覚悟で、第4次エボラ対策を発表

東部の大都市ゴマで新築中のエボラ治療センター(2019年8月4日撮影)(写真:ロイター/アフロ)

7月から12月のエボラ対策を定めるコンゴ民主共和国(以下、コンゴ)の第4次戦略対応計画*の全容が、先週公開された。「この第4次計画が最終版になるよう、“ラストスパート”に全力をあげる」との決意が示されている。

*正式名称:コンゴ民主共和国北キブ州およびイトゥリ州における、エボラウイルス病流行に対する戦略対応計画(2019年7~12月)

第4次計画のカギは、“連携強化”

第3次計画で、何が実行でき、何ができなかったのか、何が足りなかったのか、その総括を踏まえ、第4次計画では戦略の方向性として、以下の5点が挙げられている。

1.症例の追跡と迅速な隔離

2.全確定症例に対する、多部門連携での公衆衛生活動強化

3.コミュニティ・エンゲージメント(地域連携)強化

4.保健システム強化と、地元および国際連携機関の活動調整

5.セキュリティ、人道、財務の各セクター、さらに周辺国との公衆衛生活動の連携

1は感染症制御の活動そのものだが、残りの4点はすべて各方面の関係者との連携に関するものだ。実際、第3次計画の振り返りでは、かねてから指摘のある地元社会の対策への巻き込みや保健分野を超えた対策強化はさることながら、国レベルのコーディネーション委員会と現地コーディネーション・チームとの情報共有および評価指標に関するコミュニケーション不足や、リスク分析や地域連携について関係者間での提携が系統立てて行えなかったことなども記載されている。

加えて、公衆衛生活動を後押しするために、コンゴ政府、国連チームともに政治的コミットメントを強化していくとしている。

キンシャサでの取材時、東部のゴマから戻ってきたばかりの保健省幹部のAさんは、このような話を聞かせてくれた。

感染地域で、保健省の担当者が反政府側の人たちに、エボラ対策と協力要請について説明していたところ、その担当者は政府側の政治家にとがめられ逮捕された。その担当者は、家族が保釈金を払って、やっと解放されたという。Aさんは「緊急時に(いわゆる敵対勢力と話すことを快く思わないとしても)、このように対策を妨げる行為があってはならない」と怒り心頭だった。

感染症制御は、リスクのある地域すべてがその対象にならねばならない。政治的対立を超えて取り組まなければ、地域全域をカバーする活動はできない。

他方、国際社会からは、計画どおりに終息につながるか、疑問の声も上がる。

最大の理由は、症例確認と接触確認、接触者の追跡ができていないケースがいまだ多いからだ。だからこそ、第4次対策のトップに掲げられているのだが、現在もどこにウイルスが潜んでいるか全貌を把握できていない状況、予防接種を行っているといっても打つべき人たち皆に打てているのかわからない状況で、数ヵ月で制御しきれるのかとの指摘だ。

回復した患者さんの心身の健康と社会復帰

もう1点、第4次計画で注目したいのは、エボラから回復した患者さんの心身の健康と社会復帰のためのフォローアップ、それに前線で活動するスタッフへの心のケアだ。

エボラは未知の部分が多い病気だ。西アフリカでの流行時には、回復した人たちの中に、関節痛や視力障害、聴力障害といった後遺症がみられた。また、患者さんが属するコミュニティがエボラに対して強い偏見を抱く場合もある。こうした偏見を払拭しつつ、医療および心理・社会面から支え続けていく必要がある

流行の長期化に伴い、関係者には疲労の色が濃くなっている。初回で紹介したキンシャサ大学医学部の若き医師Yさんは、今夏からより責任のある統括業務を任され、日々、目の回る忙しさだと伝えてくれた。関係者の中でも、セキュリティや感染の危機と向き合いながら活動する前線のスタッフは、なおさらだ。彼らへの心のケア、長期化に耐えられるローテーション体制は、国の人材層が厚くない場合には、いっそうの課題となってのしかかってくる。

保健省の別の幹部Kさんは、キンシャサ大学とも連携し、人材育成も担当している。国として財政的にも厳しい中、保健省の若手職員や大学の教員を海外に派遣して、技術を学ばせる機会は大変貴重だと繰り返し語った。「日本にも、できるだけ多くのスタッフを送りたい。今後も積極的に受け入れてもらえると、ありがたいです」