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Nintendo Switch後継モデルが開発中?ただし現行のスイッチ用ゲームが遊べない可能性も

多根清史アニメライター/ゲームライター
(写真:ロイター/アフロ)

Nintendo Switchの強化モデル、「Nintendo Switch Pro」(仮称)の話が盛り上がったのは約10ヶ月前のこと。一時は話題も下火となっていたものの、最近になってにわかに「後継モデル」発売が間近に迫っているのではないか、との噂話が相次いでいます。

その主なきっかけは、今年初めに英CMA(競争市場庁)が未知の任天堂ハードに言及していたこと。マイクロソフトがゲームパブリッシャー大手アクティビジョン・ブリザードの買収計画を進めるためには、全世界の規制当局から「独占禁止法違反には当たらない」という承認を得る必要があります。

が、アクティビジョンは超人気IP『Call of Duty』シリーズを擁するため、規制当局の目も厳しく光ることに。そのうちEUからはまもなく認められる可能性が高いものの、まだ反対が根強い地域が2つあり、その1つが英国というわけです。

その規制当局CMAが調査を進める一環として、補足資料を公開。そこには主にクラウドゲームサービスにおける各社の推定シェアのデータが含まれ、一見すると任天堂は関係なさそうでした。が、「任天堂のクラウドゲーミングサービスは、Nintendo Switch本体と[伏せ字]でしか利用できない」との一節があり

2023年2月時点で、NSO(略称)が利用できるのはスイッチのみ。そしてSwitch Liteや有機ELモデルであれば伏せ字にする必要がないはずで、未発表のハードウェアが開発進行中ではないか?と推測を呼んでいるしだいです。

さらに海外の匿名掲示板4chanにて、開発の外注先プログラマーと称する人物が『ポケットモンスター スカーレット・バイオレット』のDLC第2弾が「グラフィック強化パッチ」とともにスイッチ新モデルが発売されると投稿していました。

もちろん4chanは日本の2ちゃんねるに相当する信頼性に乏しい場ではあり、デマだと疑って掛かるほうが妥当でしょう。

とはいえ、「ポケモンSV」はリッチな最新オープンワールド仕様が現行スイッチにとって荷が重かったようで、公式にも「改善を続けてまいります」との声明が出ていました。根本的に解決するには、やはり新規のハードウェアが必要……と任天堂社内で認識が深まっていたとしても、不思議ではありません。

その一方で、現行スイッチをベースにした強化モデル「Switch Pro」は開発されていたものの、すでに開発中止されたとの有力情報もあります。ゲームグラフィックスの詳細な解析で知られるDigital Foundry社のジョン・リンネマン氏は、スイッチの「中間世代」は計画されていたが、「もはや打ち切られたようだ」と語っていました。

その代わり「真の後継モデル」を追求しているとしつつ、「2023年内とは思えない」と述べていました。

では、「真の後継モデル」とはどういうモノになるのか? Switch Proについては有名リーカーPixelpar氏(Switchの公式ケースを事前に的中させた実績あり)が「現行のカートリッジに対応する」と述べていましたが、繋ぎではない後継モデルでは、その仕様もリセットされた可能性があります。

YouTuberでNight Dive Studiosの開発者ModernVintageGamer氏は最近の動画で、スイッチ後継モデルが現行のゲームライブラリと完全な後方互換性を持つことが保証されているとは言い難い。つまり「スイッチのゲームが後継モデルで動くとは限らない」との趣旨を語っています。

なぜなら、現行のスイッチ(Liteおよび有機ELモデル含む)がTegra X1チップのカスタム版を搭載しているため。Tegra X1は2015年に発売された古いSoCであり、スイッチよりも年上の8歳を迎えており、PS5やXbox Series Xのパワーには及びません。

そのため「Nintendo Switch 2」(仮称)ではチップ変更が予想されていますが、ModernVintageGamer氏によれば、これが後方互換性にとって深刻な頭痛の種になるとのこと。

別のチップを採用する場合、Tegra X1ごとエミュレートしたり、別のチップとして搭載もできますが、前者であればゲームごとに互換性の問題が生じかねず、後者であれば別チップの分だけコストも価格も確実に上がります。

が、現行スイッチが「競合他社のゲーム機より安い」強みがある以上、任天堂は後継モデルでもそれを引き継ぎたいはず。実際、初期のPS3は後者のアプローチを採っていましたが、コストダウンした後のモデルではPS2チップごと互換性がなくなっていました。

これはあくまで理論的な推測にすぎず、確かな内部情報に基づくものではないようです。約2年前、やはり強力なTegra OrinチップをベースとしたカスタムSoCの噂が流れたこともあり、今なおNVIDIA社内でTegra X1と互換性ある新型チップを開発している可能性も否定できないでしょう。

任天堂としても、スイッチの豊富なゲームライブラリを次世代機にも引き継ぎたいはず。が、大ヒット機Wiiと互換性のあるWii Uが低迷した前例もあり「やはり互換性ナシ。現行スイッチは併売」に舵を切ることもあり得そうです。

アニメライター/ゲームライター

京都大学法学部大学院修士課程卒。著書に『宇宙政治の政治経済学』(宝島社)、『ガンダムと日本人』(文春新書)、『教養としてのゲーム史』(ちくま新書)、『PS3はなぜ失敗したのか』(晋遊舎)、共著に『超クソゲー2』『超アーケード』『超ファミコン』『PCエンジン大全』(以上、太田出版)、『ゲーム制作 現場の新戦略 企画と運営のノウハウ』(MdN)など。現在はGadget GateやGet Navi Web、TechnoEdgeで記事を執筆中。

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