若者のほうが高齢者よりも新聞を読んでいる

若者の新聞離れが進み、新聞読者の高齢化が進んでいる。この流れは止まらないと信じていたのだが・・・。

ところがメディア先進国の米国で、この通説を覆す調査結果が出てきた。米国のシンクタンクのピュー研究所 (Pew Research)の調査によると、高齢者よりも若年者のほうが新聞を読む割合が約2倍も高いというのだ。

ピュー研究所は、米国内の有力新聞や地方新聞が米国成人に、どれくらいの割合で読まれているかを調べた。伝統的な新聞メディアを対象にしているが、新聞コンテンツにはプリントだけではなくてデジタル(オンライン)も含む。4183人の米国成人に対して、2016年大統領選挙に関するニュースを得るために、日常的に接していた新聞名を回答させている。その結果を図1に示す。調査は、2016年11月29日から12月12日までの間に実施した。

図1a 2016年大統領選挙に関するニュースを日常的に得ていた新聞は?
図1a 2016年大統領選挙に関するニュースを日常的に得ていた新聞は?
図1b NYTとWaPoの世代別の閲読率
図1b NYTとWaPoの世代別の閲読率

米国の4大新聞と地方新聞のそれぞれを、4つの世代別にどれくらいの割合の人が日常的に読んでいたかを示している。驚くことに、NYタイムズ(NYT)、ワシントン・ポスト(WaPo)、ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ) の各新聞は、50歳以上の世代では10%前後の人にしか読まれていないのに、若者も含む50歳以下の世代では倍の20%前後の人に読まれている。特に注目されるのは、高級新聞と称されるNYTが、18~29歳の若年層と30~49歳の中年層で、22%の多くの人に読まれていたことだ。全国新聞に対し地方新聞は、逆に若者にあまり見向きされてなかったが、高齢者には読まれ続けている。

影響力の大きい有力新聞は、高齢者離れが進んでいるものの、若者に見捨てられていないようだ。でも少し前まで、若い世代には有力新聞であってもほとんど相手にされなかった。彼らは主に、バズフィードに代表される新興ニュースメディアに接触していたからだ。若い人にとってニュース接触の場は、ソーシャルサイトが中心になっていた。

そこで3年ほど前からNYTやWaPoは、フェイスブックなどのソーシャルメディアへの対策を強力に推し進めた。ソーシャルサイトで拡散しそうな若者向けのテーマや内容の記事を増やした。その結果、例えばNYTがフェイスブックに投稿した記事一本あたりのエンゲージメント数(いいね!数+コメント数+シェア数)は、2014年2月に1145件であったのが、2016年12月には3558件に跳ね上がった(NewsWhipの調査より)。若者へのリーチが拡大したお陰で、NYTもWaPoも、月間ユニークビジター数を急増させ、2016年末に1億台に乗せた。モバイル端末からアクセスする若年層が増えたと言う。

またトランプ効果も大きい。トランプ政権と激しく対立することになった新聞メディアへのニーズが高まっている。同じピュー研究所による最新の調査によれば、若い人ほどトランプ大統領の政策に反発している。このこともリベラル系新聞のNYTもWaPoに追い風となっているようだ。そのせいであろう、トランプ政権発足後に、両新聞の有料購読者数が急増している。

フェイクニュースが蔓延している昨今、米国の若者が伝統新聞に信頼できるメディアとして期待を寄せているのかもしれない。

◇参考

For election news, young people turned to some national papers more than their elders(Pew Reserach)

「トランプ現象」の追い風で、米国の有力新聞サイトが絶好調(メディア・パブ)

In First Month, Views of Trump Are Already Strongly Felt, Deeply Polarized(Pew Reserach)