ペットロスの人たちを癒やす和尚さん その説法とは?

ペット遺影/田中幸夫撮影

日本国内の犬・猫の飼育数は1800万頭を超え、ペットブームが続いている。一方、長年連れ添った“家族”を病気などで失い、ペットロスに陥る人も少なくない。お別れするのが嫌で、遺骨を何年も自宅に置いたままにしている人も多いという。

長徳寺(鳥取県米子市)の小林憲充住職(52)は、そうした人たちのために毎月法要を開いている。地元鳥取をはじめ広島県や岡山県からも悲しみを抱えた人がやってくるという。小林住職は独特な語りで傷ついた心を癒やしながら、「お骨を家に置いてはだめですよ。なるべく早く埋葬してあげて下さい」と説く。

まずは動画をご覧下さい。

10年以上続く法要

長徳寺の小林憲充住職(52)は2006年から毎月法要を行っている。きっかけは、ペットロスに陥った人を救いたい、その一心だった。

「悲しみ、苦しみの中から抜け出せない人もたくさんいらっしゃいます。そんな人たちに、仏教者の立場から命を説いています」

仏教の根本は人生の苦しみ“四苦八苦”からの解放にある。“愛別離苦”は避けられない人間の宿命。では、仏とは一体、何なのか?小林住職は、例え話や自身の話を織り混ぜながら、やさしく説いていく。

月例法要/田中幸夫撮影
月例法要/田中幸夫撮影

ペットのための霊園

鳥取県米子市、大山の麓に昭和60年開設の大山メモリアルパークがある。送迎から葬儀・火葬・納骨・供養まで一貫して行なうペット霊園だ。創業者の谷本賢司さんは言う。「山陰では、ほとんど初めてくらいのペット霊園でした。自然環境の良さもあって、島根や岡山からもいらっしゃいます」

ペットブームの陰で忌まわしい事件も起きている。火葬手続きを交わしたにも拘らず、亡骸を山に大量に捨てた悪質業者。二代目の理志さんは「酷い事件が起こる度に心が痛みます。亡くなったからといって、ゴミのように扱うとは・・・」そんな思いから、心を込めた葬儀を執り行う。

大山メモリアルパーク/田中幸夫撮影
大山メモリアルパーク/田中幸夫撮影

納骨する人、しない人

火葬した後、個人墓や共同墓に納骨する人、遺骨を家に置き手放さない人・・・、飼い主の姿は様々だ。

Aさんは、飼っていた犬のココア、ミルクの遺骨を15年もピアノの上に置く。「ときどき犬が帰ってくると娘が言うから、何となく・・・」

Bさんは「畑の隅に埋めました。土に還しました。今、どこに埋めたか分からなくなっちゃった」

Cさんは、先祖の墓に猫の遺骨を一緒に入れて、大きな問題になった。小林住職は、Cさんの自宅の敷地内に猫の墓を作り納骨することを勧めた。「管理者の許可なく人間の墓に動物の遺骨を一緒に埋葬することは禁じられています。墓は自分個人のものでなく、次の代の人が先祖を供養するためにもあります。先祖が飼っていた動物を供養するためではありません。だから、人と動物を同じ墓に入れてはいけないのです」

Dさんは、リタイアした盲導犬を看取ってきた。盲導犬は人間と同じように10歳で退職する。犬の10歳は人間の60歳ぐらいだ。その後、亡くなるまでの数年を大切に世話するという。「人間のために生きてくれたレトリバーたちですからね・・・。今の子は4頭目です」愛し子たちの墓石には「ありがとう 会えてよかったね 楽しかったね」と刻まれている。

Eさん夫婦。「私が死んだら、猫の遺骨も一緒に墓に入れて欲しい!」そんなペットロスの妻に戸惑う夫。小林住職は夫婦に四国八十八カ所巡礼を勧めた。「歩くなかで絆を確かめる。生きている身近な人と人生を歩んで欲しい」

小林住職は最後に言った。「飼い主さんの心にしっかりと映り込んでいる動物の命、それこそが仏なのです」

ペット遺影/田中幸夫撮影
ペット遺影/田中幸夫撮影

【この記事は、Yahoo!ニュース個人の動画企画支援記事です。オーサーが発案した企画について、取材費などを負担しているものです。この活動は個人の発信者をサポート・応援する目的で行っています。】