海外から見抜かれている安倍政権の無能

フーテン老人世直し録(495)

如月某日

 中国の武漢に次ぐ新型コロナウイルスの感染源として、世界から注目されるクルーズ船ダイヤモンド・プリンセス号から、陰性と診断された乗客の下船が始まった19日、海外メディアは一斉に日本政府の対応を厳しく批判した。

 批判のポイントは、感染症対策のプロではなく、官僚が検疫の指揮命令を行っていることで、感染拡大がもたらされたということだ。そうした報道に影響を与えたのが、18日にダイヤモンド・プリンセス号に乗船した岩田健太郎神戸大学教授の告発である。

 岩田教授は中国のSARSやアフリカのエボラ出血熱の感染症対策を現地で行った経験を持つが、ダイアモンド・プリンセス号に乗船して、これまでにない恐怖を感じたと語る動画をユーチューブに投稿した。

 ウイルスがいないグリーンゾーンとウイルスの危険があるレッドゾーンの区別が厳密でなく、防護服をつけないで行き来するケースがあったと言うのである。検疫官の感染があったのはそうした体制から生じたもので、医療従事者を感染から守ることを第一に考えなければ一般の人間を守ることはできない。それを進言しても厚労省の官僚は聞く耳を持たなかったと言う。

 中国のSARSの時に情報隠蔽が問題になったが、日本政府はダイヤモンド・プリンセス号の中で起きている情報を全然出さない。まずい対応がバレるのは恥ずかしいことだが、隠蔽はもっと恥ずかしいというのが岩田教授の告発であった。

 海外メディアは、日本政府がダイアモンド・プリンセス号の乗客と乗員に対して行った検疫を「失敗」と断じ、その理由を専門家ではなく官僚が主導したためだとした。そして陰性の乗客を下船させ、それらの人々を公共交通機関を使って帰宅させたことに疑問を呈した。

 日本政府の対応に疑問を持った海外の国々は、陰性と診断された国民をそれぞれチャーター機を使って帰国させ、それから2週間ほどは一般とは隔離する施設に収容している。ところが日本政府の判断は陰性であれば公共交通機関の使用を認めるというのだから大きな差がある。

 しかも船から降りて駅に向かうバスの車内は運転席と客席の間を遮断していた。この目に見える矛盾は何を物語るのか。同様に下船する前に再チェックを申し出た乗客に対し、日本政府は再チェックを認めなかった。申し出た人間は他人に迷惑をかけたくないので改めて自分で診断を受けに行くと言う。ここにも血の通っていない官僚的態度を感じる。

 つまり海外メディアから「失敗」と断じられた安倍政権の対応は、ただ官僚任せにしていただけで、政治家が真剣に向き合ってこなかったために生じたとフーテンは思う。官僚は危機に対応する能力がない。なぜなら彼らは法律に縛られる存在だからだ。だが危機は往々にして法律を超える。想定外のことに対応できるのは法律ではなく政治家の知恵なのだ。

 3・11の東日本大震災の時にも、官僚任せにしパニックを起こさせないよう嘘を垂れ流す菅直人政権をフーテンは厳しく批判した。中でも大衆受けを狙ったのか、何の情報も持たないまま福島原発に乗り込もうとする菅総理の、最高権力者の職務をわきまえぬ行動に、フーテンは反吐の出る思いをした。

 今回のウイルス感染でも、茂木外務大臣が中国政府にチャーター機の乗り入れを米国に次いで認めさせたと自慢げに言うのを見て、それがそんなに自慢する話なのかと呆れた。フーテンには何でも自分の手柄にし、内閣支持率を上げるネタにしようと考える浅ましい姿に見えた。そこには危険地帯から帰国しようとする国民に寄り添う思いなど微塵も感じられない。

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「フーテン老人は定職を持たず、組織に縛られない自由人。しかし社会の裏表を取材した長い経験があります。世の中には支配する者とされる者とがおり、支配の手段は情報操作による世論誘導です。権力を取材すればするほどメディアは情報操作に操られ、メディアには日々洗脳情報が流れます。その嘘を見抜いてみんなでこの国を学び直す。そこから世直しが始まる。それがフーテン老人の願いで、これはその実録ドキュメントです」

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1969年TBS入社。ドキュメンタリー・ディレクターや放送記者としてロッキード事件、田中角栄、日米摩擦などを取材。89年 米国の政治専門テレビC-SPANの配給権を取得。日本に米議会情報を紹介しながら国会の映像公開を提案。98年CS放送で「国会TV」を開局。07年退職し現在はブログ執筆と政治塾を主宰■「田中塾のお知らせ」4月28日(火)19時~21時 場所:東京都大田区上池台1-21-5スナック「兎」(03-3727-2806) 東急池上線長原駅から徒歩5分■参加費:1500円 ■申込先:agoto@K6.dion.ne.jpに住所氏名明記で

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