■「虚偽DV」裁判

日本は毎年、60万組が結婚し、20万組が離婚している。

その20万組の1割ほどが裁判所が絡む「調停」や「訴訟」になるようだ(「協議離婚」の割合は87.2%、「調停離婚」は10.0%)。

90%が夫婦の話し合いで決める「協議離婚」なのだが、この協議に数年を要する場合もある。

調停や訴訟に発展する10%の離婚(それでも2万組)以外に、協議離婚の何割かは「もめて」離婚する。

そこで自然と生まれたのが「日本の離婚システム」だと僕は思っている。

正確には「単独親権離婚システム」といったほうがわかりやすいのだが、漢字ばかりなのでシンプルに表すことにした。つまりは、思想、裁判所、行政(市役所やDV支援センター)、警察、弁護士、NPO(シングルマザー支援)、といった各社会システムが連合してできあがった大きな社会システム、それが日本の「離婚システム」だ(当欄では「離婚複合体」とも読んできた当事者/サバルタンである子どもは日本の離婚システムでは語れない)。

裁判所・行政・警察・弁護士たちでつくりあげる各離婚システムとそれらが結合した離婚システムの実例は、この記事(DV加害者にされた男性は名誉をどう回復したか 反論できない「支援措置制度」悪用の恐ろしさ)に詳しく書かれているので、是非ともお読みいただきたい。

離婚時の理由にされたDV(ドメスティックバイオレンス)は「虚偽」だとして裁判で争った内容を記した記事で、一審はそのDVは「虚偽」として夫側の主張が認められたものの二審では敗訴、だがDVの真偽の判断は行政(某市)にあるという裁判所の判断のもとに、今度はその市を相手どって起こした提訴で和解に至った画期的な裁判だ。

■堕落したシステム

この裁判の一連の流れをみると、「日本の離婚」は見事に「システム化」されている。

まずは、「支援措置制度」と呼ばれる、DVの「真偽」ではなく被害者と主張する者の「申告」で判断される制度。

そして、この申告をもとに、子どもの情報(住居や学校等)が行政によって完全に秘匿されること。

また裁判で明らかになったように、DV認定を行なう機関が、行政なのか警察なのかは、行政や警察がそれぞれ独自に判断しているということ。

また記事では数行しか触れていないが、妻側の弁護士からの回答がなかったということで暗にほのめかされる離婚裁判を専門とする「弁護士」の存在(離婚に関する当事者向け解説書も書かれている)。

これら、1.「申告」偏重、2.情報の「秘匿」、3.責任の不在、4.「専門家」の存在が、それぞれの過程で独立して作動しつつ、それぞれがお互い明確化しないままひとつの「流れ」を形成している。それはまさに「社会システム」だと思う。

実際にDVがある場合はこのシステムは有効だが、皮肉なことにこのシステムが発動することで数々の「虚偽DV」が報告される現在、このシステム自体が有害になりつつある。

その有害さの根底には、「単独親権」がある。

元々は、DV被害から逃れるために子どもとともに逃げる→離婚し、子どもの親権をDV被害親に絞る、というシンプルな狙いだったと想像する。このシンプルな狙いを80年代「昭和フェミニズム」が支持した、ということは当欄でも触れてきた(虚偽DVは、「昭和フェミニズム」から生まれた)。

だが、離婚したいためにDVをでっちあげる→そのための「システム」が完成している→日本は単独親権のため子どもとともに逃げる、という思考と行動の回路が完成しており、最初は単なるDV対策のためのシステムが、離婚するための便利な社会システムへと「堕落」してしまった。

■卵の代表は、もちろん「子ども」

フェミニズムを支持する人々のなかには、「男性は根源的に悪い」という「昭和フェミニズム」的思想を支持する人もいる。思想は自由であり、また「悪さ」の哲学的意味もいくつかあると思うのでこれを単純に非難はできないものの、事実として「それほど悪くない男・夫」も存在するだろう。

妻が疲れている時の哺乳瓶を用いた授乳、調理、洗濯・掃除、子どもとの遊び、それらを懸命にかつ楽しみながらこなす父親たちも2020年現在では数百万人単位で存在すると僕は思う。

「昭和フェミニズム」が短絡的にオトコを非難することは時代遅れとなり、皮肉にもその昭和フェミニズムが産み出した「やさしいオトコたち」が、離婚時に被害にあっている。

非常に残酷な「離婚システム」が日本には存在する。この結果として「子どもの連れ去り」行為などがあり、EUはこれを「誘拐」として非難するなど、国際問題にもなっている(欧州議会 日本の子の連れ去りに関する決議案(審議継続中))。

だが、残酷な離婚システムは強固であり、それはもはや「壁」であり「権力」である(村上春樹のエルサレム賞受賞スピーチ「壁と卵 ~Of Walls and Eggs」)。

その壁は、DV支援を錦の御旗として、虚偽DV被害者の存在は看過する。

これはおそらく、システムに属する各個人が、システムにその責任を投げ出しているからだと僕は思う。昭和フェミニズムに支配された専門家や支援機関、硬直した行政システム、責任不在等が混流して「残酷な離婚システム」を形成している。

被害者は「卵」であり、その卵の代表は、もちろん「子ども」だ。