パリに住む勝ち組ひろゆき氏がロスジェネ非常勤に人気がある理由は「2ちゃんねる」以外にあるのか

■パリに住むひろゆき氏

2ちゃんねる創設者のひろゆき氏は最近パリに住み、たぶん時々東京に帰ってきてはイベントやネット番組に出演したりしているっぽい。

パリと東京を行き来して美味しいものも日常的に食べてるみたいだから、ひろゆき氏の年収はたぶんものすごく高く、完ぺきな「勝ち組」なんだと思う。

勝ち組なのに、いまだに人気がある。それも、ニートというかひきこもりも含めて、非常勤雇用で働く(元)若者たちに人気がある。僕は20年以上ひきこもり支援をしてきたが、主としてロスジェネ世代、40才前後の男性たちにはまだまだ圧倒的人気があるはずだ。

僕の支援してきたひきこもり若者たちのほとんどが、ストレートに「好き」とは言わないものの、時に憧れの存在として、時に「仲間」としてひろゆき氏を語る。

氏が、ネットビジネスでどれだけ稼いだかは知らないものの、その収入面はさておき、「オレたちの2ちゃんねる」をつくったという功績は絶対的だ。

僕も、頭では「ひろゆきは勝ち組で搾取する側なんだから好きになったらダメだ」と自分に言い聞かせつつ、氏のYouTube動画を定期的に見ている。というか、聞いている。氏のチャンネルは、だいたいワインか何かを飲みながら独自の視点で社会問題を切っていくもので、告白すると結構おもしろい。そう、僕も隠れファンだったりする。

■彼らを「スター」に仕立て上げているもの

それは、「ロスジェネ負け組元若者たち」が、「社会起業家NPO勝ち組たち」を毛嫌いするのとは対照的だ。ひろゆき氏は、パリと東京をもしかしてビジネスクラスで往復するほどの金持ちかもしれないのに、好かれる。が、社会起業家NPO勝ち組たちは、ロスジェネ元若者たちからは徹底的に嫌われる。

社会起業家NPO勝ち組たちは、しばしばその「粗い」事業で墓穴を掘る。Twitterほかで検索すれば、勝ち組たちの「粗さ」はすぐに引っかかるので関心ある方は検索してほしい。

その「粗さ」に対して、ロスジェネ負け組たちは容赦ない。

一方で、ひろゆき氏のパリ・東京往復生活への批判は、僕のリサーチ不足もあるのだろうが、あまり聞かない。

また、ひろゆき氏の「放言ぶり」も、僕の受け取り方と同様、結構受け入れられているようだ。

この、受け入れられ方は、単に「あの2ちゃんねる創設者だから」だけが理由なのだろうか。

金持ちのわりに超カジュアルなファッション、そのカジュアルさのわりに外国語(英語やフランス語)が堪能っぽいアンバランスさの魅力、またそもそもコンピューター系には超強い(だろう)そのふるまい、それらも十分魅力の原因に含まれると思うが、もっと根源的に彼(とホリエモン)を「スター」「アイドル」に仕立て上げているのは何なのだろうか。

■「汚れ」に触れると、「ソーシャルビジネス」が成り立たない

僕は、彼らは「汚れ」を直視することが、その人気の理由なんだと解釈している。

この世の中にはびこる汚れと偽善、表面的には綺麗事とポリティカルコレクトネスで硬く覆われているが、その蓋の下には汚れと偽りがあらゆる箇所でひしめいている。

その、「この世の現実」を、ひろゆき氏は独特の視点で時々突くから、人気が衰えないのではないだろうか。そして、差別(ヘイト)だらけではあるものの、時々その「板」の隙間から顔を覗かせる「真実の言葉たち」に惹きつけられていまだ利用者が絶えない2ちゃんねるも、「汚れ」から逃げないメディアだと支持者には捉えられているのではないだろうか。

当欄で以前、「汚辱Squalorと沈黙」という記事を僕は書いたが(汚辱Squalorと沈黙~傷つきの新時代)、サリンジャーの傑作短編「エズミに捧ぐ」の、現代ニホン版エズミこそがひろゆき氏なのだろうか。

エズミにもひろゆき氏にもどちらにも悪いような気がするので、それ以上の考察はやめるが、社会起業家たちがきれいごとばかり撒き散らし決して「汚れ」に触れない(触れると「ソーシャルビジネス」が成り立たない)のに対し、ひろゆき氏もホリエモン氏も、この世界は汚れており、ついでに言うとその汚れはおそらく解決できず、運と才覚がある者だけが生き残れるというその価値が、「負け組」元若者たちにはより現実に近いと思えるのだろう。

きれいごとの嘘よりも、汚い真実のほうが、負け組には納得できるということだ。