この「カフェ機能」こそが、「サードプレイス効果」

■もうひとつの評価基準

昨日、横浜にて、高校内居場所カフェに関するフォーラムが昨年に続いて開かれた。これは、直接には、ソーシャルインパクト評価的単純な成果指標ではない、もうひとつの評価基準を探る試みである「予防支援の成果指標の作成及び在り方検討委員会」でこの3年間検討してきた評価指標を発表する場でもあった。

なぜソーシャルインパクト評価的短期的で単純な評価基準では物足りないかは、当欄で僕は度々言及している(「涙」と「物語」で評価しよう~アンチ・ソーシャルインパクト評価)。要するに、「学校に行った」「アルバイトを始めた」等の単純な成果を前面に押し出した評価基準だけでは、ハイティーンや若者たちの「人生」そのものを支援し評価することはまったくできない。

僕自身もそうであったが、若者の社会参加は時間がかかる。ソーシャルインパクト評価が求める単純な「成果」以降に、むしろ若者の苦しさは展開する。学校に行き始めた、仕事をし始めたあとのほうが、若者たちはむしろ苦しい。

その苦しさを、友だちや大人たちの助けを借りながら10年単位で若者は過ごし、大人になり、「自立」していく。これは、虐待サバイバー/大人のPTSD支援でも同じだ。

その長いスパン(10年ほど)の人生を見据えたもうひとつの評価基準がほしい。それが、昨日のフォーラムを主催したNPO法人パノラマの代表理事である石井正宏さんをはじめとした一線の若者支援者たちの願いでもある。

■居場所カフェは、友だち・先生・学校・自分を強化する

「成果指標の検討委員会」では3年前、かなり時間をかけて高校生たちへのアンケートの「項目」をつくった。

できるだけシンプルなもののほうが高校生たちに伝わるだろうということで、「友だち」「先生」「学校」「地元」「家族」「自分」「将来」等を提示し、そのそれぞれに5段階で評価してもらった(居場所を測る~そのインパクトの意味)。

昨年も行なったがそれは2学期からの調査だったので、今年は年度の前半と後半の2度行ない、生徒の心境の変化を追っていくことにした。

その結果の発表が昨日のフォーラムだったのだが、最も興味深い点として、「居場所カフェは、友だち・先生・学校・自分を強化する」という点がどうやら見られるという結果だった。

高校内居場所カフェを利用する生徒群は、それを利用しない群よりも、上の4項目で違いがあり、カフェ利用の生徒のほうがいずれもポジティブであった。

つまり、友だちや先生を信頼し、学校を好きになっており、自分のことがそれほど嫌いではない。これがカフェを利用しない生徒たちとは多くの点で異なる。

逆にその他の項目「地元・家族・将来」については、カフェ利用の生徒も利用しない生徒もあまり変わらない。それらは別にカフェを利用せずとも、生徒たちには関係ないということだ。カフェなしでも、地元や家族や将来については、考えることができる。

■この「カフェ機能」こそが、言い換えると「サードプレイス効果」かも

友だちとは、文字通り友だちのこと。

先生を言い換えると、生徒たちにとっては「身近な大人」。

学校を言い換えると、生徒たちにとっては「セカンドプレイス」。

自分を詳しく考えると、多くは「自尊感情」がポイントになる。

これら、1.友だち、2.身近な大人、3.セカンドプレイス、4.自尊感情が、高校内居場所カフェ(サードプレイス)を利用する生徒たちは高い。この4項目の育成・強化が、サードプレイスを利用することにより可能となる。

居場所カフェでこの4項目を強化し、カフェがなくとも自然と育む地元や家族や将来要素を加え、生徒・若者たちは社会へと巣立っていく。

加えて、「自分」項目にある、「うまくいくかわからないことも意欲的に取り組める」という項目は、カフェ利用生徒に広く関連が見られるようだ。つまり、カフェ利用者はある意味「楽観」的であり、多少の「意欲」もあるということだ。

楽観主義と意欲に支えられ、友だち・身近な大人・セカンドプレイス・自尊感情に対するこだわりが低くなる。

こうしたメカニズムが、高校内居場所カフェの生徒たちに訪れるようだ。

上の1~4の向上効果がどうやら居場所カフェにはあり、気楽さとモチベーションがそれらを下支えする。この「カフェ機能」こそが、言い換えると「サードプレイス効果」かもしれない。

ソーシャルインパクト評価的単純な成果指標ではない、その居場所カフェ的効果を、徐々にではあるが「測れる」可能性が出てきた。