「つなぐという意思」~ローグワンと居場所カフェ

モーニングカフェでチーズトースト(これは府立長吉高校のなかカフェのメニュー)

■ローグワン

スター・ウォーズの最新作(『最後のジェダイ』)は興行的には意外と失速ぎみなのだそうだが、僕はその前のスピンオフ作品『ローグワン』に感銘した一人だ。

同作を僕は、グアム島行きの飛行機の中で見たが、最初何気なく見ていたものの、途中から乗り出して見、最後は久しぶりに感動を覚えた映画作品となった。

この映画の主人公は実は人間ではなく、「つなぐという意思」だ。実際にはデススターの機密情報が人々の手から手へとバトンタッチされていき、最後にレイア姫に渡るところで話は終わる(スターウォーズ・サーガ上では、その10分後からスターウォーズ1作目が始まるという)。

同作は基本的に暗く悲惨なストーリーなのだが、見終わった時はなぜか元気の出る不思議な映画でもある。

その不思議さを去年のグアム旅行の頃からずっと引きずっていたのだが、最近、3月に神奈川県で行なう「居場所カフェが学校を救う」というイベントのことを考えていた時(第二回予防支援に於ける成果指標作成委員会シンポジウム)、「そういえば『となりカフェ』は、となりカフェをつなぐという『意思』によってこの6年間続いてきたなあと思い至ったのであった。

当欄でも度々言及する高校内居場所カフェの元祖である、大阪府立西成高校「となりカフェ」は2012年度スタートで、今年度で6年が過ぎようとしている。

今年度は「モーニングとなりカフェ」という試みも行ない(朝の高校に「サードプレイス」はある~西成高校「モーニングとなりカフェ」スタート!)、これがクラウド・ファンディングにもとりあげられ、大きな話題を呼んだ。

何年か前にはTBS系で1時間のテレビドキュメンタリーにもなっている。

■「サードプレイスで中退を防ぐ」という意思

となりカフェは、何人かによって創設され、何人かによって初期運営され、何人かによって運営が続き、そこに「安全な居場所」概念やソーシャルワークや文化の伝達等で肉付けされていき、今年はモーニングサービスまで行なうようになっている。

この6年を、その現場ではじめから今に至るまで通して働いてきたスタッフはいない。中心的なスタッフは数名いるが、創設スタッフと現在の責任者スタッフとも、6年通しているわけでもない。ほかの現場スタッフも、それぞれ数年支えてはくれたが、それぞれがそれぞれのタイミングで次の人生ステップへと移っていった。

今月上に書いたようなイベントがあり、それに加えて来年度は全国の何ヶ所かでこうした事業の有効性を訴えていく「全国ツアー」や、神奈川の居場所カフェを運営する10ほどの団体が集まる「サミット」イベントなども計画している(上の「成果指標作成委員会」主催)。

他にこうしたスタイルの居場所カフェは、静岡や北海道や宮城でも実践されているようだ。

いつのまにか、ゆっくりとではあるが全国的に広がりつつある。その中身は、となりカフェのような「ソーシャルワーク型小規模カフェ」から、神奈川県立田奈高校「ぴっかりカフェ」のようような「文化シェア型大規模カフェ」まで多様ではあるものの、「サードプレイスで中退を防ぐ」という意思=ミッションは共通している。

■「高校内居場所カフェ2.0」

それはまさにミッションであり、意思なのだが、この「意思をつなぐ」という全体の空間と時間の流れが、『ローグワン』における、「これ(映画では機密情報)をつなぐことこそすべての目的」という人々の共通意思とも似ているような気がしてきて、不思議だ。

「高校内に居場所カフェ=サードプレイスをつくり中退予防につなげよう」というまさにミッションという意思が、連綿とつながり拡大する不思議な感じ。

となりカフェは各高校内にそれぞれの居場所カフェのタネをまき、また大阪市平野区の「ひらの青春生活応援事業」のような、居場所カフェに来た生徒を個別ソーシャルワークのなかでさらに支えるという、「それ以降の展開」の事業にまでヒントを与えている。

そのとなりカフェを6年かけてつくってきた人々はその時ごとに交代してミッションをバトンタッチし、最近ではモーニングとなりカフェにまで至った。

最初からの「生き残り」は僕だけだ。

が、僕はいわばダースベイダーみたいなもの、超マネジメント層にいる現場の外にいる人間だ。ルークやレイア姫やハンソロは次々とバトンタッチしていき、そのレイア姫でさえその前に活躍したローグワンの人々から意思をバトンタッチされている。

来年は、「高校内居場所カフェ2.0」の年になるかもしれない。そのことも、さらなる意思の展開だと思うと感慨深い。