AKBはサッシーが終わらせるが、NPOは誰が終わらせる?

■AKB48総選挙を性懲りもなくやっていた

この前、テレビを見ていたらAKB48の総選挙を性懲りもなくやっていて、サッシー指原莉乃が3連覇していた。

僕は「恋するフォーチュンクッキー」以来サッシーファンなので満足なのだが、アッちゃん前田敦子時代と比べればずいぶん様変わりしたものだ。

得票数の絶対的差も含めて、現在のAKBはサッシーの完全エースぶりがはなはだしい。

それは、順位発表後のスピーチを聞いていても歴然で、サッシーのそれはスティーブ・ジョブズ並みのオーラを放っている。スピーチなのがもったいないほど、僕がアップル幹部であれば、アップルの新製品を彼女にプレゼンさせたいくらいだ。

それくらいサッシーは「プロAKB」している。

実は当欄でも、少し前にAKBやサッシーのことを書いている(サッシー指原莉乃とクラーク高校野球部 ~不登校から「新しい10代」へ)。

これは、通信制高校というオルターナティブな教育制度を紹介するなかで、サッシーもその一連の高校出身であり、そうしたオルターナティブな生き方は現在珍しくもないどころか「総選挙」3年連続1位のスターを生み出す力を秘めている、ということが言いたかった。

■AKB女子トークとNPOプレゼン

ところで久しぶりに今回「総選挙」を見ていて、何かを僕は連想した。しばらく考えたのち、出てきたものは、NPOたちが行政の委託事業のプロポーザル形式公募のなかで行なうプレゼンと、AKB女子たちのスピーチの雰囲気がなんとなく似ているということだ。

僕はこの10年の間にいくつものプロポーザル審査員を引き受けてきたため具体的なことは書けない。また僕自身が、応募当事者として、審査員ではなく毎年行政関連委託事業のプレゼンを行なってきた。

そうした、たくさんのNPOのプレゼンの姿、そして僕自身が体験しているプレゼン会場の雰囲気、それらは言われてみれば、このAKBの「総選挙」の雰囲気というかAKB女子たちが語る「理想」トークに雰囲気がすごく近いのだ。

■パッションは、人をある程度惹きつける

サッシーのトークだけではなく、AKB女子たちは「理想」を語る。その理想は非常に脆く儚いものだが、情熱/パッションだけは確かなものである。

パッションは、人をある程度惹きつける。

AKB女子が語る中身はたわいもないもので、自分がいかにアイドル業界で生き残っていくかということが述べられるものの、時々そこには「芸能界ソーシャル」的な視点が挟み込まれる。

これからの芸能界やアイドル界はこのようなものが望まれる的な、メタレベル(俯瞰的)のトークがさらっと挟み込まれる。

こうしたメタレベルトークは実はどんなトークにも時々現れるのだが、「総選挙」のようなショービズでありながら20才前後の未熟な人々が主役の芸能界システムの中では珍しい。

たとえば、解散してしまったSMAPが残したたくさんのトークの中にも、こうしたメタトーク(AKBは芸能界ではこうでなければならない等)は意外と少ない。SMAPの40才以上のオジさんたちも芸能界メタトークを遠慮している。が、AKBは「総選挙」という全国放送のなかで堂々と行なう。

それは、AKB女子たちが、AKB48という「ムーブメント」に、ある種の「ソーシャル」概念を込めているからだと僕は考えている。

■「総選挙」の雰囲気とNPOプロポーザルの雰囲気は似ている

冷静に考えるとAKBは単なる芸能界キャバクラ現象であり新しい部品販売システムなのだが、そうした正論とは別に、どこかで「これからの女子の生き方」や「単体で芸能賞品化できない人物たちを戦略的にどのように商品として自立させるか」といった、フェミニズム(ちょっと歪んでいるが)や経営戦略の視点が混入している。

上述したように、「総選挙」の雰囲気とNPOプロポーザルの雰囲気は似ている。それはおそらく、「理想」を語るためのコレクトネス(正論/正義)が介在する時、現れてしまう現象なのだろう。

私は芸能界でこう生きたい、こんなことをしたいと、それぞれの理想に基づき素朴に語ると、そこには独特の「聖」感が現れる。

AKBはどちらかというと「仲間」テーストを全面に出し、NPOは「ソーシャル」テーストを前面に出す。が、両者とも、どこかで21世紀しており、何かを求め「正義」を模索し「仲間」と連帯する。すぐ「つながろう」とし、すぐ小規模なファンディング(AKBはCD購入だが)しようとする。

なによりも、AKBのスピーチとNPOのプレゼンは、その雰囲気がそっくりだ。何かに浸り何かをプッシュする。それはたぶん、それぞれの「正義」やミッションだ。

■「ソーシャル・サッシー」

サッシーは場慣れしているので、そこにはコレクトネス(正しさ)的素人さはない。

3連覇してしまったサッシーはアッちゃん時代と比べて一強になったためグループ全体としての力は落ちた。よってAKBは終わりの始まりが開始されており、その作業をサッシーが担えばいいと思う。

同時に、「正義」を素朴に意識する少し気持ち悪いこの頃のNPO/ソーシャルセクター業界に対して、そのノリを破壊する「ソーシャル・サッシー」がこの業界から出てきてほしい。■

AKBの必殺仕事人、サッシー(Wikipediaより)
AKBの必殺仕事人、サッシー(Wikipediaより)