■「不登校新聞」のプチ記事

僕のFacebookのニュースフィードはほぼニュースビュアーと化していて、お友達たちのフォローは一部の方以外解除し、一般紙・経済紙・一般雑誌・専門雑誌・IT系フィードその他さまざまなニュースが次から次に流れてくる。それらは10分程度で30本程度は更新されるため、早朝などはこれらをチェツクするだけですぐに2時間くらいは過ぎる。

そんななか、ああ懐かしい「不登校新聞」のプチ記事がFacebookニュースフィードに流れてきた。それは14才女子生徒のふだんの学校の様子が書かれたもので、その日常はこんなふうに表現されている。

【私自身はどうだったかと言うと、つねに気をつかって、まわりの目線を気にして「いい人」を演じてすごしていました。「つくった自分」が誰かと仲よくなっても、そこには本当の意味で「親しい人」という実感はありませんでした。また、クラスメートは、私を「個人」としては見ていなかっただろうと思います。】(14歳の現場レポート 中学校の教室で起きていること

同新聞は有料のため僕が読んだのはリード部分のみだが(登録メディアすべてを有料購読できない~(T_T))、この部分だけでも、14才の彼女がいかに友人たちに合わせ、教室の雰囲気に合わせ、自分を押し殺して日々過ごしているかが想像できる。

彼女の日常は、学校や教室という「空気」を読み、そこにひたすら合わせることが中心のようだ。

■「ぼくの好きな先生」は例外

空気とは「同調圧力」とも言いかえられるが、同調圧力にしてしまうと、まるで言葉で「こうしろ」的な、教師や有力生徒からの指令が教室中に飛んでいるような印象を与えてしまう。

みなさんもご存知のように、日本社会を象徴的に表すこの「空気」は、そうした言語的統率ではなく、「そんたく」であったり「○○のご意向」だったりする、よくはわからないがたぶんそうしたほうが無難なんだろうという集団の雰囲気そのものだ。

丸山真男の分析を読むまでもなく、我が社会には「ややこしいから黙ってこうしとけ」みたいな雰囲気はあらゆる場面に存在する。いわゆるアスペルガー症候群の方はこうした空気の読めなさによる生きづらさを抱えるが、このつらさは「障害」特徴の第一にくるくらいだ(「社会性」の困難さ)。

14才の彼女はひたすら「いい人」を演じ続け、やがては疲れていくのだろう。僕も、不登校やひきこもりの当事者やそうした子を持つ保護者への面談を行なう中で、こうしたエピソードは山のように聞いてきた。

空気は、誰かが調合するのでもなく、自然とそこに形成されている。形成というか、それは見えないものの明らかに人々を縛る雰囲気として、その空間やその用地全体を覆い尽くしている。

教師もその空気の一部、というかその空気を形成するための重要要素だから(本物の空気成分でいうと水素みたいなものか。いや、窒素かな)、空気に苦しむ生徒を楽にさせることは難しい。

たまにいる「変な教師」はそれを可能にするが、教師集団からは微妙に浮く。それは、RCサクセションの「ぼくの好きな先生」みたいな存在の教師だ。が、圧倒的に少数だし、所詮といっては失礼だが、やはり「教師」という限界がある。それは生徒も知っている。

■ディシプリンと空気に穴を開ける「居場所カフェ」

哲学者M.フーコーのいう「ディシプリン/規律権力」の代表である学校は(ほかに刑務所や病院)、ニホンにおいては、ディシプリンの手前にこうした「空気」がまずはその土地や建物や部屋内を覆っている。

服装等が書かれた校則や、建物構造(「見張り塔」の職員室が各フロアや1階玄関脇にある)といった典型的ディシプリンの手前に、その学校空間全体を覆うよくはわからないが誰もが感じる「空気」がまずはある。

その雰囲気を称して、僕の知り合いのある不登校体験者は、「校舎が異様に大きく、かつ歪んで見えた」というシュールな感覚を語ったことがある。

これを僕は、精神障害的症状で捉えるのではなく、10代にとってはそれほど学校という空気やそれを前提とする数々のディシプリンは異常な迫力をもって生徒に迫る、と解釈している。

このように、まさに日本の不登校とは、「空気読み」という作業に1人の生徒が疲れ、押しつぶされ、その上にかぶさる多くのディシプリンに翻弄され重ねて疲れ果てて起こる現象だと思う。

上述のとおり、教師も空気の1要素だから、その同調圧力社会に穴を空ける人がいない。

その意味でも、第三者が運営する「居場所カフェ」の効果は大きいのではないか(時代は変わる、高校居場所カフェ未来、群れ、変な大人~高校生居場所カフェほか「サードプレイス」論)。

スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーも第三者ではあるが、名称に「スクール」がついているとおり、「空気という学校風船」の一員に組み入れられている。

居場所カフェは、「空気という学校風船」に穴を空けることができる。そこにいる「変な大人」も、風船破りの職人だ。★

なつかしや、4年ほど前の「となりカフェ」(府立西成高校)看板。夏休みのお知らせ。
なつかしや、4年ほど前の「となりカフェ」(府立西成高校)看板。夏休みのお知らせ。