政府の巧みな「広報戦略」か~東京シューレ訪問

首相官邸サイトより
首相官邸サイトより

■首相が東京シューレ!!

9月10日、安部首相は老舗のフリースクール「東京シューレ」を視察に訪れ、不登校やいじめ対策の必要性を唱えた(フリースクール「東京シューレ」視察 首相官邸ホームページ)。

僕は20年ほど前から不登校の支援を始め、その後ひきこもりやニート支援を行なってきたが、僕の長い支援者人生の中でも、時の首相がいわゆる「フリースクール」を賞賛するのは初めてではないかと思う。

個別に聞いてはいないが、東京シューレをはじめ、不登校やひきこもり支援を独自に行なってきた各施設からしても驚きだろう。

そもそもフリースクールとは、昨今言われる塾の拡大バージョンとして成り立ったのではなく、既存の学校システムとは別の「オルターナティブな居場所」として始まり、運営されてきた。

その運営も、経済的な側面ではいずれも困難を強いられてきたはずだ(老舗の東京シューレの経済的事情は知らない)。

経済的に困難な反面、その運営は教育行政の支配からは自由に行なわれ、固定した授業カリキュラムがないほうがむしろ普通だと思う(最近の細かいフリースクール事情は僕はフォローしていないが)。

貧乏だけど教育権力からは自由、これが日本のフリースクールであり、だからこそ「フリー」と呼ばれ名乗ってきたのだ。

■これまでの苦労

それが首相の訪問だ。僕は、時代の変化を感じざるをえない。東京シューレ創設者の奥地圭子氏は東京シューレのホームページで以下のように綴っている。

「大勢の子どもたちがワイワイ入っての記念撮影で終了しましたが、これまで、らちがいとされてきたフリースクールなど学校外で成長している子どもたちに、やっと目が向けられそうだと実感しました」9月10日、安倍総理の東京シューレ訪問について(奥地圭子)

奥地氏の同報告によると、来年度予算の概算要求に「フリースクール支援」が9,800万円計上されたという。

氏の文章は、長年の苦労が報われたというよりは、まだ事の成り行きを見守る的な、様子見の時期のような慎重な言い回しに終始しており、報告の言葉も少なめだ。

だがそれも僕はよくわかる。直接奥地氏とはお会いしたことがないものの、奥地氏を代表とするフリースクール関係者のこれまでの苦労は直接的にも間接的にも聞かされてきたから。

■原発復権戦略?

だからこそ僕は、こうした動きは、もっと大きな「目標」に達するための一タクティクス(戦術)のように思えて仕方がない。

タクティクスはほかに、たとえば安倍内閣の女性閣僚の登用や女性登用の促進など、労働力を補う意味での女性の積極活用なども含まれるかもしれない(女性登用促進で新法制定へ 安倍首相「女性の輝く社会、大いなる挑戦」

こうした戦術を駆使して、保守色が強くなり最近人気下降気味である政府の信用性をアップさせる。

そのアップした先、つまりこうした一連の「戦略」の目的として、僕は「原発再稼働」そして「原発輸出」があり、経済大国の復権があると思うが、いかがだろう。

この戦略をあえてまとめるとすると、原発復権のための政府イメージアップ戦略。

戦略の順として以下の順となる。

1.現状分析……だいぶ再稼働に近づいてきたがあとひと押しが必要な時期。

2.目標……短中期目標・原発再稼働と原発輸出、大目標・日本経済の復活

3.行動(広報に関して)……政策を進める政府のイメージアップ→教育政策や雇用政策の柔軟化→戦術として「フリースクール」の公認

フリースクール訪問から少し拡大させすぎだろうか。ただ、こうした見方をせざるをえないほど、今回の「東京シューレ首相訪問」は僕にとって衝撃的な出来事だった。★