インターンシップ学生とキラキラ女子~格差社会のエリート

栗田隆子さんが載った朝日新聞の記事
栗田隆子さんが載った朝日新聞の記事

■格差社会が固定した

おそらくこの日本社会は「格差社会」として固定した。

それは、正規雇用と非正規雇用で大まかに区別する「階級社会」といってもいいが、30~40年程度の「総中流社会」を経過した我が国では「階級」という言葉は実感がまだついてこないと思うので、「格差」を引き続き使うことにしよう。

データ的には僕のこんな過去記事(スーパーリッチな子どもと、貧困の子ども)等をご参照いただきたいが、日本は格差社会化したという前提で以下書いていこう。

そうして格差社会化したいま、NPOなどでは学生を対象としてインターンシップやボランティア体験をコーディネートする事業が一般的になっている(たとえばこの記事など「だれもが挑戦をしたいと思ったときに挑戦できる、そんな社会を作りたい」)。

若い人の社会貢献を促すという点や、震災等の自然災害を契機とした人々の社会貢献への動きを支援する動きとしては、こうしたインターンシップやボランティアは何よりのきっかけとなるので歓迎したい。

ここでは、そうした行為そのものを考えるのではなく、そうしたインターンシップ等に参加する「学生」の背景を考えてみたい。

■日本の貧困に出会ってない?

もちろん一概には言えないが、僕の感触では、こうしたインターンシップを体験し社会起業にチャレンジする「学生」は、どちらかというと経済階層的にはアッパー(上流)からミドル上(中流)に属するのではないかと予測している。

学費奨学金で苦しむ若い人も多いし、いまや2人に1人が大学に行く時代であり、実際僕も貧困層から大学に入った若者を知っているだけに簡単に切り取ることはできない。

が、大雑把に言って、アッパーからミドル上は、18才以降はほとんどが大学を目指すのではないだろうか。そこに、ミドル下~の若者が奨学金や親の捻出を元に大学に入っているというのが実情ではないだろうか(たとえばこんなデータを参照→ネットで検索して発見したこの研究によれば、年収約800万以上は90%程度〈進学系所得階層別の進路(%)〉

そうしたアッパー~ミドル上学生は、経済的に裕福な層出身故に社会問題にも関心が深く、たとえば現代日本の最大のトピックの一つである「貧困」についても大きな関心を持っているだろう。

だから、貧困層を支援し、貧困層の子どもたちを「社会参加」させたいという願望を抱いているだろう。それは、社会問題に関心があれば当たり前の話だ。

しかし、アッパーからミドル上は、貧困のリアルな実態を知らない。貧困とはバングラディシュやブラジル・リオデジャネイロ郊外や南ア・ヨハネスブルグ郊外には当然存在し、それらの情報は知っているが、足元の日本の貧困の実態を知らなかったりする。

3人に1人が非正規雇用であり、年収も200万円を下回る人が1,000万人を超えて久しいというのに、「隣を歩いているかもしれない貧困な人」にリアルに接していない。

貧困な若者は、インターンシップに行くための交通費も服もないのが実情なのだ。

■「キラキラ女子」あるいは「女王蜂」

あるいは「キラキラ女子」というあり方(■キラキラ女子はいいけど 栗田隆子さん(ライター、NGO代表))。男性権力社会のなかでキラキラと目立つこの生き方は、古くは「女王蜂」とも呼ばれてきたという。

このキラキラ女子も、上の「インターンシップ学生」と同じく、貧困問題の中核層である一人親母子世帯や非正規雇用女性とはなかなか出会わないだろう(もっともキラキラ女子は、インターンシップ学生と違って、そもそも貧困問題や女性問題にはあまり関心ない人々が多いのかもしれないが)。

インターンシップ学生にしろキラキラ女子にしろ、格差社会の中の上のほうの層に属し、下のほうの層とはなかなか接触しないというのが特徴だ。

彼女ら彼らが活躍すればするほど、皮肉にも貧困層が隠蔽されていってしまう。キラキラ女子はそもそも貧困層とは出会わず、インターンシップ学生は「支援する側」「手を差し伸べる外部の者」として貧困層と出会う(場合もある。気づかず通りすぎるかもしれない)。

そして、インターンシップ学生やキラキラ女子が活躍すればするほど(顕在化すればするほど)貧困層は「見えない層」つまりは「潜在層」となる。

この潜在層に対して、(キラキラ女子は論外として)インターンシップ学生が関わるとき、インターンシップ学生は潜在層に対する「完全な他者」として現れる。一方では「持つもの」(インターンシップ学生)、一方は「持たないもの」(貧困層)。

まずは、この二項対立をまずは顕在化させることか。現在は一方(貧困層)が潜在化しすぎて対立以前であり、同時に「中流社会」のノリが50才以上にまだまだ残り過ぎていて議論化されにくい状況だ。★