「国境」を旅しよう!注目される新しい観光「ボーダーツーリズム」

昨年のボーダーツーリズムで訪れた台湾総督府。日本と台湾のつながりを感じさせる

国境を見たことがありますか? 海に囲まれた日本では国境はあまり意識されてきませんでしたが、国境をはさむ「境界地域」をまたいで国内と国外を巡る新しい観光のカタチが提唱されています。「ボーダーツーリズム」。モニターツアーの開催や産官学で後押しする組織が立ち上がるなど、関心が高まっています。

「行き止まり」から「交流の最前線」へ

境界地域は「行き止まり」だととらえられがちですが、見方を変えれば、隣国への玄関口でもあります。そこで、ボーダーツーリズムは、境界地域を「行き止まり」ではなく「交流の最前線」と位置付け、境界地域ならではの体験を楽しみながら、境界地域への関心を高めようとする試みです。

すでに目に見える国境が存在する海外の大陸では定着しています。これまで旅行商品にはなっていなかった日本でも、北海道大学スラブ・ユーラシア研究センターの岩下明裕教授らが中心となって設立したNPO法人国境地域研究センターが中心となり、2013年からモニターツアーの開催を始めました。

最初に取り組んだのが、長崎県の対馬と韓国・釜山間のボーダーツーリズムです。対馬は、対岸に位置する釜山と船で一時間、49.5kmのかなり近い距離にあります。近年は韓国からの観光客が増え、年間20万人以上の韓国人観光客が来訪。国際ターミナルを整備し、ホテルを誘致したほか、対馬の歴史文化を発信する施設もオープンしました。

こうして韓国国内を中心に「国境の島」として知られるようになってきましたが、一方で日本人観光客は、ほとんど増えていなかったのです。

そこで2015年3月、国境地域研究センターと対馬市、旅行会社が連携して2泊3日のモニターツアーを開催。23人が参加しました。双方の文化に触れたり、国境を渡るという体験をしたりしたことで、参加者の満足度が高いというアンケート結果になりました。

北海道ーサハリンや沖縄ー台湾も

その後、北海道稚内市とサハリン、沖縄県八重山地方と台湾でもモニターツアーが開催されるなど徐々に広がり、今年7月には産官学でつくる「ボーダーツーリズム推進協議会(JBTA)」が立ち上がりました。

ボーダーツーリズムの普及・拡大とともに、境界地域の活性化にも貢献することを目指し、旅行会社など観光関連の民間と地方自治体、研究機関が参加。情報交換やビジネス化に向けて連携する予定です。

現在、11月10日に福岡から出発する4泊5日の「対馬釜山・国境観光ツアー」の参加者を募集中。福岡空港から空路で対馬に入り、島内に宿泊した後、釜山に渡って福岡に戻るという行程です。対馬の韓国展望所から釜山を眺めたり、高速船で国境を越える体験をしたりと普段は感じにくい国境を意識する仕掛けのほか、双方の歴史や文化が学べる内容です。

私自身、昨年、八重山台湾ボーダーツーリズムに参加し、魅力にはまった1人です。11月の対馬釜山・国境観光ツアーも参加し、こちらでレポートしようと思っています。