より良い住宅取得のためまず最初に気をつけたいこと

LDKのイメージ。人それぞれの生活様式によりあるべき姿が変わる(筆者撮影)

住宅取得で重視すべきことって何?

筆者は仕事柄、このようなことを知人や友人から聞かれます。検討材料については耐震性や耐久性など様々がありますが、より根っこの部分、検討する際の入り口部分でアプローチ方法を間違わないようにすることが何より重要、と答えるようにしています。

これは分かりやすく言うと、既成のものの考え方や常識にとらわれたり、選択肢の幅を狭めたりすることなく、様々な可能性を視野に入れることです。とは言え、アプローチ方法といっても様々なものがあります。

具体例をあげてみましょう。住宅を供給する事業者には全国規模のハウスメーカー、地域の住宅事業者(工務店や不動産会社など)、設計事務所などに大別されます。皆さんは、それぞれに何らかのイメージを持っているはずです。

どこに住むのか、初期費用にどのくらいの予算をかけるのかなど、住宅取得には検討材料がたくさんある(筆者撮影)
どこに住むのか、初期費用にどのくらいの予算をかけるのかなど、住宅取得には検討材料がたくさんある(筆者撮影)

ハウスメーカーだったら「信頼できる」、工務店だったら「コストパフォーマンスが高い」、設計事務所だったら「オシャレな住まい」という感じでしょうか。ただ、それぞれに様々な事業者が存在します。

また、各事業者には特徴、得意・不得意があります。例えば、和のイメージの住まいと暮らしを求めているのに、洋風建築が得意な住宅事業者に建築を依頼したら、上質な住宅が出来上がる可能性は低くなります。

住宅建築の依頼、分譲住宅(戸建て・マンション)、リフォームにかかわらず、どの事業者を選択するかは住宅取得における代表的なアプローチのあり方。情報をたくさん仕入れて、しっかりと検討することが必要です。

建築費などを取得を決断するためのアプローチとすることも一般的。初期費用が少なければいいと考えがちですが、20年後、30年後を考えると、補修のための費用がかさんだり、中古住宅としての価値が低くなり、そのため「失敗した」と後悔するケースもあります。

また、住宅事業者とのからみで言うと、「予算が少ないからこの会社はNG(建てられないなど)」と、あきらめてしまう人が多いのが実情です。しかし、色々な工夫をすれば、無理だと考えていた事業者で住まいづくりをできるケースもあります。

情報を得る際のアプローチ方法にも注意すべきことがあります。それは、ネットや雑誌などの情報を信頼しすぎないこと。特にネットの情報は匿名性が高く、それ故に何らかの操作が行われているケースが見られます。

操作とは皆さんのイメージを左右するものなので要注意。ネットや雑誌ではあくまでざっくりとしたイメージをつかみ、その上でモデルハウスなどを見学することで、より具体的にイメージを固めることが大切です。

ライフスタイルはとても大切な要素

さて、若い世代を中心に住宅取得を検討するキッカケとなることに、出産や子育て、子どもの進学があります。要は、子どもを育てるのに適した住まいを得たいと考える人が多いわけです。

子育てを大きな目的として住宅取得を検討するケースが多いが、今後の家族構成やライフスタイルも考慮したいものだ(筆者撮影)
子育てを大きな目的として住宅取得を検討するケースが多いが、今後の家族構成やライフスタイルも考慮したいものだ(筆者撮影)

それはそれで構わないのですが、できれば20年、30年後という先々のことも考慮に入れると、より満足度が高い住宅取得につながるはずです。要は、子育てというアプローチの仕方だけにこだわらないようにすべきということです。

子育ての期間というのは実はそう長くはないからです。子育てを考える際、子ども部屋が思い浮かびますが、乳幼児の頃から小学校入学くらいまで、子どもは親と一緒に就寝します。

その場合、子どもに個室が必要になるのは、小学生から大学生の16年間、短ければ高校生までの12年間です。つまり、子どもが巣立ってしまうと子ども部屋の用途が失われるのです。

仮に新築後、30年間住み続けるとして、約半分の期間、子ども部屋は不要になるわけで、そうであるならその空間を活用するための何らかのプランをはじめから用意しておくと、住まいの満足度はより高まります。

こうしたことは家族の構成や身体的機能の変化を含めたライフスタイルにかかわることであり、住宅取得を検討する際のアプローチ方法を考える上でとても大切なので、是非、しっかりと認識していただきたいと思います。

例えば現在、空き家が社会問題化していますが、日本の住宅供給・取得のスタイルが人々のライフスタイルの変化に対応しづらいものだったことが要因の1つです。

また今、新型コロナウイルスの感染拡大により「ニューノーマル」と呼ばれる生活様式への対応が求められていますが、これも住まいがライフスタイルの変化に対応しやすいものであれば、よりスムーズに適応できるでしょう。

いずれにせよ、これまでに住宅を取得した人たちの多くが住まいや暮らしに対して何らかの不満を持っていますが、その大きな原因が取得時に自分や家族のライフスタイルの変化をあまり考慮していなかったからなのです。

出産や子育て、あるいは二世帯居住など、住宅取得を検討する機会は突然訪れます。その際に、十分な時間と検討をせずに取得を決断すると、長く住み続けられる満足度の高い住まいを得ることは難しくなります。

ですので、いつ住宅取得の機会が訪れても良いように、それにどのように対応をするのか、ちゃんと考えておくことが重要だと筆者は考えます。多くの人にとって、住宅取得は人生で最も高額な買い物だからです。

住宅取得に関する第三者意見が重要

ところで、筆者は20年以上、住宅業界を取材しウォッチし続けてきました。一方で、冒頭のように知人や友人などからのアドバイス要請にも応えてきましたが、その経験から多くの人たちが「第三者意見」を求めていることに気付きました。

第三者意見とは医療の現場でよく使われており、例えば医師から受けた診断や治療法に対して、別の医師の意見も聞いて、より良い治療を模索するというものです。

筆者は住宅取得の世界でもこれが必要ではないかと考えていますが、それはどうしても事業者との関係に引きずられやすいからです。2~3社を競合させれば第三者意見を得られると思われますが、それはかなり最終段階でのこと。

それに、事業者はそれぞれが自分たちの優位性をアピールするわけで、住宅に対する知識をあまり持たない方にはそれは理解しがたい部分もあるでしょうから。また、冒頭で申し上げたように、住宅取得を検討する上で入り口部分でのアプローチ方法については意見を得がたいものです。

「Yahoo!ニュース 個人」のオーサーとして、筆者はそうした部分を含めた住宅取得にあたっての第三者意見(第一意見=皆さん、第二意見は住宅事業者)となる記事の提供に力を入れていきたいと考えています。