意外に保守的、アメリカの「選択的夫婦別姓」事情

(写真:アフロ)

日本では夫婦同姓が合憲との最高裁判決が出ましたが、1970年代から選択的夫婦別姓が認められているアメリカの現状は意外にも保守的です。

州により法律は異なりますが、米国では概ね以下5つのタイプの姓を夫婦それぞれが婚姻時に選べます(例:夫スミスさんと妻ブラウンさんの場合)。

  1. 自身の姓を維持 (夫スミス、妻ブラウン)
  2. 相手の姓に変更 (夫婦共にブラウン、夫婦共にスミス)
  3. 夫婦の姓の全部・一部を統合 (ブラウンスミス、スミスブラウン、ブラスミなど)
  4. 夫婦の姓をハイフンで結ぶ (ブラウン-スミス)
  5. 夫婦どちらかの姓をミドルネームにする(ブラウン・スミス)

これだけ多くの選択肢がある自由の国アメリカですから、別姓を選ぶ女性が多いように思われがちですが、ニューヨークタイムズ紙の調査によると、夫の姓を選ぶ女性が67%と圧倒的に多く、別姓を選ぶ女性は僅か22%です。それでも近年は別姓を選ぶ人が増えているとのこと(70年代17%、90年代18%)。その他、両家の姓をハイフンで結ぶ女性が6%、その他が4%となっています。

総じて、年齢や学歴が高く、婚姻時に仕事上の地位がある女性、前の配偶者との間に子供がいる場合は別姓を選ぶことが多く、信仰はあまり関係がないようです。特に所得や学歴が高くなるほど別姓を選ぶ傾向が強く、年収15万ドル(1,800万円)以上になると40%、2万5千ドル(300万円)以下では13%の女性が別姓を選んでいます。博士課程保持者は最終学歴が学部卒以下の女性より別姓を選ぶ率が10倍高く、大学院卒は学部卒より3倍高いとのことです(Gretchen等)。

一方で、親が離婚している女性は夫の名前に変えるケースが多く、離婚に対する心理的不安を改姓で補う側面もあるようです。

子供の姓に関しては、アメリカでは約半数の夫婦が離婚しますから子供の姓が親と異なることは珍しくありませんし、子供が生まれた時には夫婦どちらの姓でも両姓の結合でも選べますが、父親の姓を子供につける人が圧倒的に多いようです。

欧州では男女平等の観点から別性を義務付ける国も少なくありませんが、アメリカのような選択的夫婦別姓の制度の下では、多くの人が同姓を選んでいますし、あくまでも女性に選ぶ権利が付与されただけであり、それを選ぶか否か、家族がどうあるべきかはそれぞれの事情に応じて家族が考えて決めています。

選ぶ権利があればその分責任も重くなりますが、人道的に問題がない限り、人々が自分らしい生き方を選べる社会が求められているのではないでしょうか。