マクドナルド、本国でも業績低迷の理由

日本では一連の不祥事によりマクドナルドの業績低迷が続いていますが、本国アメリカでも昨年から売上減少が止まらず、2月の既存店売上は4%減、1月に発表された第4期既存店売上は1.7%減、営業利益は15%減と厳しい状況が続いています(Mcdonalds)。

不振の原因は様々な議論がありますが、ファストフード自体の構造的な問題が大きいと考えられます。同社は業界最大手としてスケープゴートにされやすいため、良くないイメージが定着してしまっていることもあるのでしょう。

変化するアメリカの食文化

前回の記事でも記載しましたが、ここ10年程の間に、アメリカの食文化はファストフードからヘルシーフードや環境・社会に配慮した食品へと大きく変化し、人々は価格や手軽さよりも原材料や生産工程など食品が作られる背景を重視するようになっています。

そのきっかけとなったのは、10数年前、ファストフードや加工食品など食品産業の実態を暴く本や映画が公開され、食の安全性が問われるようになったこと、そして、肥満が大きな社会問題となり、安くてカロリーが高いファストフードやジャンクフードがその主要因として批判されるようになったことが挙げられます(サスティナブルシティ・ニューヨーク)。

さらに、近年はファストフード店員とCEOの大きな賃金格差が批判の的となり、賃上げデモが頻発し(NY Times)、ファストフードのイメージが悪化しています。

ファストカジュアルの台頭

一方で、メキシカンフードのチポレやベーカリーカフェのパネラブレッドなど「ファストカジュアル」と称されるカテゴリの飲食店が台頭し、ファストフードのパイを奪うようになっています。

ファストカジュアルに対する明確な定義はありませんが、一般的には、レストランのようなフルサービスではなく、ファストフード的なセルフサービスか限定的なサービスが提供され、食材にこだわり、オーダーが入ってから調理される、カジュアルレストラン並みの価格の飲食店のことを指します。

ファストカジュアルの多くは、オーガニック食材の導入や遺伝子組み換え食品の排除、顧客が自身の懐具合に応じて価格を決められる仕組みの導入など、ソーシャル企業的な側面が強いことも挙げられます。

但し、ファストカジュアルが必ずしもヘルシーなわけではなく、食材にこだわっているハンバーガーショップなども含まれます。つまり、ヘルシーよりも、食の安全や味、社会性が求められているということでしょう。

ファストカジュアル化するマクドナルド

こうした動向に対し、マクドナルドは、サラダ類、卵の白身だけを使ったエッグマフィンなどヘルシーフードを導入し、子供向けハッピーセットではポテトの代わりにドライフルーツのリンゴを選択肢として提供しています。

さらに、MSC認証付きの白身魚やレインフォレスト・アライアンス認証付きのコーヒーなど環境に配慮した食材調達も開始。2016年からは持続可能な方法で生産された牛肉を使用、17年からは抗生物質を投与していない鶏肉に切り替えることを発表しています。また、今年に入り、イギリスで減塩ポテトやオーガニック牛乳を導入し同社のヘルシー化を実現した人物が米CEOに就任しています(Reuter)。

昨年末からは顧客の嗜好に合わせて具材を選べるカスタマイズバーガーを一部店舗で試験導入しています (USAToday)。しかし、オーダーが入ってから作るため早く提供することはできませんし、バーガーとポテトと飲み物のセットで8.29ドル(995円)とファストカジュアル価格になっていますから、もはやファストフードとはいえないでしょう。

店員に適切な賃金を提供し、サプライヤーにコスト削減を押し付けず、尚且つ安全で健康的で環境や社会に配慮した食品を提供することは、ファストフードという業態のままでは難しいということなのでしょう。

人々が求めているのは、安かろう悪かろうの食品ではなく、多少価格が高くても安全で環境や社会に配慮した食品です。ファストフードに依存しがちな低所得者層に対しては、政府や非営利団体が安価で健康的な野菜や食材を販売しています。既にファストフードのビジネスモデルは、時代に合わなくなってきているのではないでしょうか。

ファストカジュアル化したマクドナルドがどれだけ支持を得られるかにより、今後のファストフードの命運が決まるのかもしれません。