ファストフードから環境・社会派フードへ 2015年アメリカの料理トレンド予測

全米レストラン協会より、毎年恒例の料理トレンド予測が発表されました。

1~10位は、以下のようになっています。

  1. 地元産の肉・魚介類
  2. 地元産の野菜
  3. 環境面での持続可能性
  4. ヘルシーな子供用料理
  5. 天然原料/加工が少ない食品
  6. 新しい肉の部位(キュロット、サーロインキャップ、トライチップなど)
  7. ハイパーローカル産(レストランの庭や屋上など消費地から極至近距離で栽培)
  8. 持続可能な魚介類
  9. 食品残渣削減・管理
  10. 農家・農園ブランド

アメリカといえば、ステーキやハンバーガー、ファストフードなど不健康な料理のイメージがあるかもしれませんが、意外なことに、6位の肉の部位以外は全て、健康や環境への配慮に関するものです。そして、この傾向は過去7~8年続いており、10年後も続くと予測されています。

この予測は、全米料理連盟に加入している米国内の約1,300人のシェフにアンケートを取り、結果をまとめたものですが、選択肢が健康や環境に関するものに限定されているわけではなく、「一口サイズのデザート」や「食べられるカクテル」「朝食用ブリトー」など、いわゆる”トレンド食”的な項目も多数あります。にも関わらず、健康や環境のテーマばかりが上位に入ったのは、本当にアメリカがヘルシー・環境志向になっているということなのでしょう。

実際に、アメリカの食文化は近年大きく変化しています。

かつては、他業界と同様、食品業界でも効率性が重視され、早く安く手軽に食べられるものが求められていましたが、その後、特に都市部では、高級感や見た目の良さなどに注目が集まるようになり、2000年代初め頃から、映画や本などを通して米食品業界の実態が明らかになるにつれ、人々は次第に、手軽さや見た目や高級感よりも、原材料は何なのか、誰がどこでどのように作ったのかと、食品が作られる背景を知りたがるようになりました(著書「サスティナブルシティ・ニューヨーク」)。

トレンド予測を行った、全米レストラン協会リサーチ担当上級副社長のハドソン・リール氏は、次のように語っています。

「地元産や持続可能性、栄養といった概念は、多くのアメリカ人が選んでいるライフスタイルであり、彼らはそれを食生活にも反映させています。ですから、2015年の料理トレンド予測の上位にこうした項目が入るのは自然なことでしょう。」(全米レストラン協会)

ランキングの1、2、7位には「地元産」が入っていますが、日本では、新鮮でおいしいからという理由で地産池消を求める人が多いかと思いますが、アメリカでは、生産地から消費地への配送時の環境負荷や、地域経済活性化、あるいはグローバルに展開する大企業への批判から地元産を支持する人が多くいます。

3位の「環境面での持続可能性」は、レストラン建設時の資材効率や、運営時のエネルギー・水効率、容器のリサイクル、9位に入っている「食品残渣削減・管理」などのことで、実践しているレストランを多く見かけます。

6位の「新しい肉の部位」は、環境面とは関係ないように見えますが、過去数年流行っていた「ノーズ・トゥ・テイル」(食材を無駄にしないよう、"鼻から尻尾まで"食材の全てを利用すること)の一環でもあるのでしょう。

8位の「持続可能な魚介類」は、海の生態系を破壊するような乱獲や違法漁業を行っていないことを認証する仕組みであり、多くの小売店やレストランが、認証済の魚介類を取り扱うようになっています。(NYGreenFashion)

5位の「天然原料/加工が少ない食品」は、アメリカでは加工工程が少ないほどリスクが少ないと考えられているため、原料や加工の少なさを売りにしている食品が多々あります。天然原料に関しては、一概に人工添加物より自然由来の添加物の方が良いとは言えませんが、一般に人工的なものを避ける傾向があります。

このように、アメリカでは、自身の健康だけでなく、環境や社会にどのような影響があるかを考えて食品を選ぶようになっています。

個人的な見解ですが、10数年前にアメリカに住み始めた頃は、おいしいと思える食べ物がほとんどありませんでしたし、見た目もひどく、食の安全性に疑問を抱いていました。しかし、現在では、食材の持ち味を活かしたシンプルで安全でおいしい食品がたくさんあり、食文化が大きく変わったことを実感しています。

現在でも、蛍光色の着色料を使ったケーキや何ヶ月もかびないパンなど、とても食べ物とは思えないような品も多々ありますが、良いものと良くないものの差が広がっているということなのでしょう。

一方、日本は世界に誇る素晴らしい食文化がある国ですし、ヘルシー志向の更なる高まりも見られますが、元々平均値が高いゆえに、安全性や環境・社会への影響が深く考えられていないようにも見受けられます。元来の良さを活かしつつ、様々な課題に真摯に取り組めば、日本は食の国として至高の地位を築けるのではないでしょうか。