究極の簡易包装を目指すパタゴニア、衣類のビニール包装の必要性を問う

靴下に付けられているフックや留め具、ワイシャツの各種サポータや内側の台紙、商品よりはるかに大きなシリアルやスナック菓子の箱や袋・・・ゴミ削減が声高に叫ばれている現在でも、過剰包装はなくなりません。

アメリカでは、特に配送時の過剰包装が目に付きます。

製品を守るために最低限の梱包は必要ですが、どこまでが最低限と言えるのか、サステナブル企業として名高いアウトドア・アパレルのパタゴニアが、自社の配送時の梱包を検証し、その結果を公表しています(Cleanest Line)。

検証を行うことになったのは、カタログやインターネットで商品を購入した顧客から、ビニール包装は資源の無駄ではと不満の声が上がったからだそうです。

配送時のビニール袋包装は、どのアパレル企業でも商品の破損や汚れを防ぐために行っていることですが、環境先進企業としては見逃せなかったのでしょう。

ビニール包装は本当に必要だったのか

同社の米国向け製品は、各国の生産工場でビニール袋に個別包装され、ダンボールにまとめてネバダ州リノにある物流センターに届きます。センターでは、ビニール包装のままベルトコンベアで運ばれ、プラスチック製の封筒に入れて顧客宅に配送されます。

生産工場を巻き込んでの実験はさすがに難しかったのか、物流センター内でのみ以下の実験が行われました。

  1. 工場出荷時点でビニール包装せず、商品をたたんで紙紐で縛ることを想定
  2. 工場出荷時点でビニール包装するが、センターではがすことを想定

結果、1では商品の42.5%がセンター内で移動中に紐が解け、30%が汚れなどで販売できない状態になり、タグや商品に直接貼った識別ラベルの多くは剥がれてしまったそうです。

また、工場からセンターに届くダンボールは破損していることも多いため、工場出荷時点でビニール包装しないと、中の商品が破損する可能性が高くなるとのこと。

2ではビニール袋をはがすための作業時間が、年5,555時間かかることが判明したそうです。

さらに、現在使用している40%ポストコンシューマリサイクル素材のプラスチック製封筒の代わりに、2種類のリサイクル紙製の封筒を使用する実験も行われましたが、センター内で移動中に封筒の破損や宛名ラベルが剥がれ、無事に顧客に届くか不安が残るとのこと。

その他いくつかの実験を経て、作業負荷や衣類の破損による環境負荷を考えると、現状どおり工場出荷時点でビニール包装し、プラスチック封筒で顧客宅に配送すべきと同社は結論付けています。

ただし、今後の課題として、商品を小さくたたみビニール袋のサイズを小さくすること、リサイクル素材のビニール袋の使用を検討すること、顧客にビニール袋のリサイクル方法を伝えることを挙げています。

また、自社より進んでいる参考事例として、同じくアウトドア・アパレルのプラナを挙げています。

他アパレル企業はどう対応している?

プラナは、2011年から配送梱包削減の取り組みを開始し、現在ではほとんどの製品をビニール包装なしで、全ての商品を紙封筒で配送しています。これまでにビニール袋の削減率は74%に上っています。

工場出荷時に、ダンボール内部に大きなビニールを敷くことで配送時の汚れや破損を防ぎ、大きさの異なる製品を同じ大きさにたたむことで仕分け時の負荷を削減、紙封筒は通常より厚めのしっかりしたものを使用しているようです。

プーマも、Tシャツのみですが、2010年に小さくたたむことによりビニール袋のサイズを縮小することを発表しています。ただし、その後の結果は公表されていませんし、今でも行われているのかはわかりません。その時同時に発表されたデザイン性の高いエコ靴箱「クレバーリトルバッグ」は、現在でも使用されています。

エコを意識しすぎて商品を破損するのは本末転倒ですが、容器包装は顧客の手元に届いた時点で不要になるものですから、必要最低限で十分でしょう。

丁寧ゆえに過剰包装になりがちな日本でも、企業や消費者は改めて包装の無駄について考えてみるべきではないでしょうか。