ホテルや百貨店のレストランにおける偽装表示が話題になっていますが、アメリカも対岸の火事ではありません。

魚の偽装表示は近年特に多く、海洋保全団体が全米の700近くの店から1,200のサンプルを集めてDNA鑑定したところ、寿司屋の74%、その他飲食店の38%、食料品店の18%で偽装表記が行われていたことが判明しています (Oceana)。特に多かったのが鯛とマグロで、ティラピアを鯛、キハダマグロを黒マグロと表記されていた他、食べると下痢を引き起こす深海魚のアブラソコモツを白マグロとして販売するケースや、養殖サーモンを天然、太平洋で獲れたタラを大西洋タラとするブランド偽装も多かったそうです。

魚名の偽装は法律で禁止されていますが、アメリカは消費する魚の90%を輸入しており、検査されているのは1%程度に過ぎないため、偽装を取り締まるのは簡単なことではないようです。

これに対処するため、各州で規制を強化すべく法改正の動きが出ています。また、「海のエコラベル」といった、乱獲や違法漁をしていないことを証明する認証マークがついている魚介製品がありますが、この認証には漁業者を追跡できる仕組みもあるため、こうした製品を購入することで偽装の被害から免れることができます。

訴訟が多発する「ナチュラル」表記

また、近年「ナチュラル」の偽装表記に関する訴訟が多発しています。いかにも安全そうな響きですが、オーガニックと異なり、ナチュラルという用語には認証も公式な定義もありません。

食品医薬品局は、ウエブサイト上でナチュラルの意味を次のように記載しています。

「食品化学の観点からすれば、いったん加工されてしまえば、自然の製品ではなくなりますから、”ナチュラル” 食品という定義をすることは困難です。ゆえに、これまで食品医薬品局は、ナチュラルやその派生語の定義はしてきませんでした。しかしながら、合成着色料や合成香料、合成物質が含まれていない食品にその用語を使用することに、当局は意義を唱えません。」

出典:US Food and Drug Administrationより翻訳転載

同局はこれまで、「ナチュラル」と表記した食品に合成物質が含まれていたとして数社に警告書を送っていますが、同様のケースは後を絶たず、ベン&ジェリーのアイスクリーム、フリトレーのポテトチップス、ケロッグのシリアル、ペプシコ傘下のネイキッドジュースなど、大手食品メーカーの有名ブランドの食品に対して次々と集団訴訟が起こされています。

ここ1-2年で、メーカー側が数百万ドルの和解金を支払うケースが出てきたため、ようやく表記を改める企業が徐々に増えてきています。

アメリカが過剰な訴訟社会であることはある意味問題ですが、企業の行き過ぎた行為を規制する役割も果たしているため、一概に悪いとは言えないでしょう。良からぬことを考える人がいなくならない限り、悪を以って悪を征することも時に必要なのかもしれません。

いずれにしても、添加物を避けたいのならオーガニックを、本物の魚を食べたければ認証済製品や原料の供給元をしっかり公表している店を選ぶことで避けられる被害ではありますから、健康そうな言葉や高級そうな雰囲気に惑わされないよう、消費者の側も意識が高める必要があるのでしょう。日本における一連の騒動も、企業だけでなく私たち消費者に対する警鐘でもあるのかもしれません。