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NiziU ドームへの道――“自分達らしさ”を貫き、新境地を開拓し続け進化を遂げ、次のステージに

田中久勝音楽&エンタメアナリスト
ライヴPhoto/田中聖太郎(以下同)

写真提供/ソニー・ミュージックレーベルズ
写真提供/ソニー・ミュージックレーベルズ

9人組ガールズグループNiziUの、初の単独ツアー『NiziU Live with U 2022 “Light it Up”』が10月5日神戸公演でファイナルを迎えた。チケットが10分足らずでソールドアウトしたという、7都市16公演を回り、約15万人を動員したこのツアーの東京公演(9月1日/国立競技場代々木第一体育館)を観た。

小さな子供連れのファミリー層が多く駆け付け、他のガールズグループとは明らかに異なるファン層を獲得

会場は10代、20代の若いファンを中心にまさに老若男女、あらゆる層のファンが集まっていた。席に着くと周りは、きっとこれが初めてのコンサート経験だと思われる幼稚園児や、小学生と思しき小さな子供を連れたファミリーも多く、初めての彼女達の声を生で聴き、精度の高いダンスを目の当たりにし、瞳を輝かせながらメンバーに一生懸命声援を送っていた。2020年、彼女達9人が1万人の中から選ばれるオーディション「Nizi Project」の様子が、朝の情報番組『スッキリ』(日テレ系)で放送され、コロナ禍でステイホームを余儀なくされていた全世代の視聴者が夢中になり、“お茶の間”に浸透したこともあり、他のグループとは明らかにファン層が違う。

9人の個性が“虹”のように重なり合う構成で魅せる

ステージセットや映像、照明の演出は、キュートさとクールさ両方を感じさせてくれ、まさにNiziUのイメージだった。サウンドはハイクオリティで圧倒的にクール。でも親近感を感じるメロディと前向きな言葉が並ぶ歌詞の楽曲は、やはり親しみやすい。NiziUは9人それぞれの個性が“虹”のように重なり合い、輝いてほしいという想い、願いが込められたグループだ。ライヴもまさに9人それぞれの個性が際立つ構成で魅せる。ユニットコーナーはまさにそれで、ダンスユニットのMAKO、RIO、MAYA、AYAKAは「Bang Bang」でキレのあるクールなダンスを披露し、大きな歓声を浴びていた。ボーカルユニットのRIKU、MIIHI、NINAは、ミュージカル映画『グレイテスト・ショーマン』の劇中歌「Never Enough」で、伸びやかな歌声を披露。同時に見事な表現力で客席を引き付ける。ラップユニットのMAYUKA、RIMAは、二人も作詞に参加した「Take it」を披露した。自分達のストーリーを描いたリリックは力強く、“勢い”が迫ってくるようなリリックとサウンドだ。二人の堂々としたパフォーマンスとラップの掛け合いに、観る者全てが引き込まれる。

MCではメンバーの仲の良さが滲み出ていると同時に、それぞれの性格が伝わってくる。お互いを支え合い、進化を続ける9人の“リアル”を感じとることができた。完成度の高いパフォーマンスと和やかなMCと、そのメリハリにファンは引きつけられる。

デビュー以来新境地を開拓し続け、お茶の間にさらに浸透

NiziUはデビュー以降、発表する曲は常に注目を集め、『NHK紅白歌合戦』への2年連続出場や「日本レコード大賞」特別賞に続き優秀作品賞を受賞するなど、快進撃が続いている。コロナ禍で思うように活動ができないシーンも多々あったが、それでも彼女達の活躍はとどまることを知らず、2021年11月にはそれまでの軌跡と未来を予感させてくれる内容の1stフルアルバム『U』をリリースした。数々の有名ブランドや化粧品メーカー他とのコラボで新たなファンを獲得するとともに、さらにお茶の間の人気者になっていった。2022年4月にリリースしたデジタルシングル「ASOBO」ではハウスとモータウンサウンドを取り入れた楽曲でその音楽性を広げた。

新境地といえば、3rdシングルの「CLAP CLAP」もファンキーなベースラインが印象的で、激しい展開が楽しめる楽曲だ。この曲でグループ史上最高難易度のダンスに挑戦し、めまぐるしいフォーメーションチェンジは最大のみどころだ。7月に出演した『SONGS』(NHK総合)で、フルバージョンを披露した直後のSNSでは驚きの声が飛び交った。ライヴで観たファンはもっと驚いたはずだ。全員のCLAP(拍手)が重なりこの曲の迫力は一層増し、圧倒的な一体感を醸し出した。

韓国、海外でも注目を集める存在に

韓国のJYPで徹底的に鍛えられ、磨き上げられたNiziUは5月に韓国で初めてパフォーマンスを披露した。K-POPの大型フェス『KCON 2022 Premiere in Seoul』に出演し、「ASOBO -English ver.-」、「Make you happy -Korean ver.-」や「Take a picture -English ver.-」といったオリジナル曲の外国語バージョンを堂々と披露。そして先輩グループでもあるTWICEの「Dance The Night Away」で圧巻のパフォーマンスを披露し、韓国と世界中にいるファンに改めてNiziUの多様な音楽性と魅力を伝えた。さらに10月8日に韓国・釜山で開催された釜山国際映画祭 『アジアコンテンツアワーズ (Asia Contents Awards)』にも登場し、スポットライトを浴びた。様々な“ステージ”でNiziUが注目を集めている。

“全ての人に親しみを感じて欲しい”というJ.Y. Parkイズムを体現した9人

「Nizi Project」のスタートタイミングで、総合プロデューサーのJ.Y. Park(パク・ジニョン)氏にインタビューする機会に恵まれた。メンバーを選ぶ際の大きな判断基準として「どれだけの情熱と、純粋さ、謙虚さ、誠実さがあるかということを、とても大事にしています」と語っていた。これから共に生きて、長い活動をしていく9人には、とにかく素直な人間性を求めた。これは2PMやTWICEなど、J.Y. Park氏が作り上げたJYPエンターテインメント所属アーティストに共通している部分で、同氏が貫いているモットーだ。9人が誰からも愛される理由はまさにその人間性だ。前述した音楽番組「SONGS」(NHK総合)に出演した際には、彼女達の「熱烈なファン」である黒柳徹子がビデオメッセージを届けた。その中で、「健気で、それでいて一生懸命」、「どれだけ人に見られるか、どれだけライトを浴びるか、どれだけチャンスがあるかっていうことで成長していくんだけど、それが大人になっていくっていうんじゃなくて輝いていく」とメッセージを贈った。健気な9人の姿には誰もが心を打たれる。

そして<道に迷った時はね 立ち止まってみたら?><回り道でいい 自分のペースでいい>と歌うデビューシングル「Step and a step」に代表される、聴き手を励まし、寄り添う歌詞が多くの人の心を潤し、光となっている。なによりも「自分たちらしさ」を大切にしながら、新境地を開拓し続けていく9人は逞しく進化を続けている。“全ての人に親しみを感じてほしい”という、J.Y. ParkイズムがNiziUの9人にもしっかりと受け継がれている。

初のウィンターバラード「Blue Moon」

「Blue Moon」(12月14日発売)
「Blue Moon」(12月14日発売)

12月14日にはそんな進化した9人を感じることができるニューシングル「Blue Moon」をリリースする。この曲はツアーを経て感じた想いを“大切な人を想う気持ち”と重ねて作り上げた、NiziU初のウィンター・バラードだ。

東京ドーム、京セラドーム大阪で4公演。進化した姿をファンに届ける

そしていよいよ11月12日の東京ドーム公演を皮切りに初のドームツアー『NiziU Live with U 2022 “Burn it Up”』がスタートする(11月12、13日東京ドーム、12月17、18日京セラドーム大阪)。夏のツアーと、様々な活動を経て手にした経験を自信に変え、進化した姿をファンに届ける。そしてドームでも“自分達らしさ”を貫く。

音楽&エンタメアナリスト

オリコン入社後、音楽業界誌編集、雑誌『ORICON STYLE』(オリスタ)、WEBサイト『ORICON STYLE』編集長を歴任し、音楽&エンタテインメントシーンの最前線に立つこと20余年。音楽業界、エンタメ業界の豊富な人脈を駆使して情報収集し、アーティスト、タレントの魅力や、シーンのヒット分析記事も多数執筆。現在は音楽&エンタメエディター/ライターとして多方面で執筆中。

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