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郷ひろみ「変化の先に絶対進化がある」 デビュー50周年を迎えたエンターテイナーの極上セッションに酔う

田中久勝音楽&エンタメアナリスト
写真提供/BS-TBS

デビュー50周年の郷ひろみが3人のアレンジャー、豪華ミュージシャンとセッション

毎回一組のアーティストと、日本を代表する編曲家・ミュージシャン達が生演奏にこだわり、その日限りのアレンジでセッション。上質なサウンドを追求し、そこから生まれる“熱”を届け続けている音楽番組『Sound Inn S』(BS-TBS)の8月13日(土)放送回に、デビュー50周年イヤーを迎えた郷ひろみが登場。稀代のエンターテイナーが極上のセッションを楽しみ、届けてくれる。

誰もが知る名曲メドレーを、笹路正徳のアレンジで披露。ライヴのような熱量が生まれる

笹路正徳
笹路正徳

1曲目は、70年代から現在まで、ジャパニーズ・ポップスのまさにど真ん中を歩み続け、現在も輝きを失わない郷が「大事なターニングポイントになった曲」という4曲、「男の子女の子」(1972年)、「よろしく哀愁」(1974年)、「哀愁のカサブランカ」(1982年)、そして「二億四千万の瞳-エキゾチック・ジャパン-」をメドレーで披露した。アレンジを手がけたのは笹路正徳。誰もが知るヒットナンバーに一夜限りのアレンジを施し、“つないだ”。総勢31名の豪華バンドが放つゴージャスで、時にクールなサウンドに乗せ、円熟味を増しながらも瑞々しさを失わない郷の歌がまっすぐ届いてくる。「二億四千万~」では郷の代名詞、華麗なターンとジャケットプレイを見せてくれる。ライヴを観ているような熱量を感じる圧巻のメドレーだ。歌い終わると郷は「メドレーのつなげ方が素晴らしい。次に何がくるかワクワク感があるし、盛り上がっていく感じがすごくいい」と、笹路のアレンジと演奏に興奮気味だった。

名バラード「言えないよ」を斎藤ネコがアレンジ。「ジーンと来ました」(郷)

斎藤ネコ
斎藤ネコ

郷がデビューから20年経ち、30代になり大人のシンガーと呼ばれるステージに差し掛かった頃、名バラードが次々と生まれた。それが「僕がどんなに君を好きか、君は知らない」(1993)、「言えないよ」(1994年)、「逢いたくてしかたない」(1995年)というバラード三部作だ。その中からこの日は郷が「30代半ばで出会って大切なことは間違いないが、きっとこれが最高のバラードなのかな」という「言えないよ」を、斎藤ネコのアレンジで披露。

斎藤が「(原曲から)ガラッと変えて、今の郷さんに合うアレンジにしました」というアレンジは、郷の歌に感じる深み、力強さ、楽曲の持つせつなさ、その全てを掬いあげたような壮大かつ繊細、感動的なアレンジだ。名曲が生まれ変わった。郷は「歌を歌っていく上において、アレンジを変えていただくというのは世界観がガラッと変わるのでチャレンジであり、醍醐味でもある」と語り、「曲の良さをさらに引き出してくれ、ジーンと来た」と、斎藤のアレンジを絶賛。この曲のピアノを弾いたのは井上鑑。まさに最高のアーティスト、最高のアレンジャー、最高のミュージシャンが揃い踏みした名セッションになった。

「変わり続けてきたからこそ今の自分がある」

郷は常々「変化の先に絶対進化がある。変わり続けてきたからこそ今の自分がある。それが他の人から見ると“変わらないよね”ということになる」と、シンガーとしての流儀を語っている。50年プレイヤーの言葉、どこまでも説得力がある。名前の“GO”という響きは、まさにその音楽に向かう姿勢を表している。もっと前へ、その先へという郷のポリシーそのものだ。

「珍しくロック」(郷)な最新曲「ジャンケンポンGO!!」を、島田昌典がELOを意識した煌びやかなロックサウンドにアレンジ

島田昌典
島田昌典

そんな“GO”という言葉がタイトルに入っているのが、最新曲「ジャンケンポンGO!!」(2022年)だ。この曲のタイトルを決めて欲しいと言われた郷は「108枚目のシングル、50年やってきた自分にふさわしいタイトルにしなければと思い、考えに考えこれにしました(笑)」と、これまで以上のインパクトを求め、このタイトルにしたことを教えてくれる。郷が「珍しくロック」と語るこの曲を、島田昌典のアレンジで披露した。島田は「ブリティッシュロックの匂いがするので、ELO(エレクトリック・ライト・オーケストラ)のようなストリングスアレンジをイメージした」と語り、うねるストリングスが推進力になった、煌びやかなロックサウンドを作り上げた。バックダンサーを従えた郷の派手なパフォーマンスに注目だ。

「これからの郷ひろみはどうなっていくのか?」「僕が知りたい」

全てのセッションを終えた郷は「ずっと歌ってきていますが、今日は特に気持ちよかった。アレンジも素晴らしいし、なによりバンドの皆さんの演奏が本当に素晴らしい! とにかく楽しかった」と清々しい笑顔で語っていた。最後に「これからの郷ひろみはどうなっていくのか?」という質問をふられた郷は「僕が知りたい」と、衰えを知らない稀代のエンターテイナーの“強さ”を感じさせてくれた。

郷ひろみのパフォーマンスが楽しめる『Sound Inn S』(BS-TBS)は8月13日18時30分~からオンエア、さらに番組放送終了と同時に「Paravi」で未公開映像と共に独占配信される。

BS-TBS『Sound Inn S』オフィシャルサイト

音楽&エンタメアナリスト

オリコン入社後、音楽業界誌編集、雑誌『ORICON STYLE』(オリスタ)、WEBサイト『ORICON STYLE』編集長を歴任し、音楽&エンタテインメントシーンの最前線に立つこと20余年。音楽業界、エンタメ業界の豊富な人脈を駆使して情報収集し、アーティスト、タレントの魅力や、シーンのヒット分析記事も多数執筆。現在は音楽&エンタメエディター/ライターとして多方面で執筆中。

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