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没後25年、天才音楽家・大村雅朗のメモリアルライヴに八神純子、大沢誉志幸、渡辺美里、槇原敬之他が集結

田中久勝音楽&エンタメアナリスト
写真提供/サンライズプロモーション東京、ソニー・ミュージックレーベルズ

稀代の作編曲家・大村雅朗没後25年。地元・福岡で『大村雅朗 25th Memorial Super Live』開催

「古き良き懐メロにならないためにはどうしたらいいか。それは、曲、詞よりも編曲なんです」(6月17日付「Yahoo!ニュース オリジナル 特集」)――これは山下達郎がインタビューでアレンジの重要性を語った言葉だ。アレンジが楽曲の耐用年数を決める、そうポップス界の巨人は教えてくれる。

この言葉を聴いて思い出すのは、やはり大村雅朗の音楽だ。八神純子「みずいろの雨」(78年)、ばんばひろふみ「SACHIKO」(79年)、松田聖子「青い珊瑚礁」(80年)」、「SWEET MEMORIES」(83年)、佐野元春「アンジェリーナ」(80年)、大澤誉志幸「そして僕は途方に暮れる」(84年)、渡辺美里「My Revolution」(86年)…数多くのヒット曲を手がけ、1997年6月29日、46歳という若さで他界した伝説の作編曲家だ。

スタイリッシュさの中に、品と優しさを感じさせてくれる大村サウンドが、80年~90年代の日本の音楽シーンを牽引

大村雅朗
大村雅朗

シティポップに代表される80年代、90年代の音楽が国内のみならず海外でも注目を集めている昨今、70年代後半から1600曲以上の楽曲を手がけた大村の音楽も、さらに評価が高まっている。大村については以前「大村雅朗 “時代の音”を創った早逝の天才音楽家が、日本のポップスシーンに残したもの」という記事でも取り上げたが、テレビやネットで大村とその音楽が取り上げられるたびにこの記事が読まれていて、今も注目の音楽家であることがわかる。

その記事の中でも書いたが大村が作る音楽は、時代の“気分”を敏感に嗅ぎ取り、その少し先をいく“音の魔術”とでもいうべきものだった。スタイリッシュさの中に、品と優しさを感じさせてくれる大村サウンドが、80年~90年代の日本の音楽シーンを牽引していたといっても過言ではないほど、その楽曲達は圧倒的な熱量と親しみやすさで、多くの人の心に響き、聴き継がれていった。

ばんばひろふみ、八神純子、渡辺美里、中川翔子、大澤誉志幸、川崎鷹也、槇原敬之、南佳孝が共演

大村がこの世を去って今年で25年。その功績を称えて9月23日(金・祝)、24日(土)に、大村の生まれ故郷・福岡・キャナルシティ劇場で『大村雅朗 25th Memorial Super Live』が開催される。縁の深いアーティストやミュージシャンらが福岡の地に集結し、時代を超え、決して色褪せることのない大村雅朗の音楽を響かせる。

出演アーティストは9月23日、ばんばひろふみ/八神純子/渡辺美里/中川翔子、24日、大澤誉志幸/川崎鷹也/槇原敬之/南佳孝。ヒットコンビから、彼の音楽DNAを今に受け継ぐフォロワーまで、豪華アーティストの競演で次から次へと名曲が演奏され、上質な音楽が駆け付けたファンの心を潤してくれそうだ。また、ゲストDJで砂原良徳が出演する(両日)。そして松田聖子作品を始め、大村と長年タッグを組んでいた作詞家の松本隆(両日)、さらに沢田研二、吉川晃司、BUMP OF CHICKENを始め、数多くのアーティストのプロデュースを手がけた音楽プロデューサー・木﨑賢治氏(24日)がトークゲストとして登場。大村の仕事術や素顔など、貴重な話を聞くことができそうだ。

「大村雅朗、彼の天才をぼくは深く深く深く歴史に刻んで永遠に残したい」(松本隆)

松本は盟友・大村について「大村雅朗は編曲家というより、繊細で傷つきやすく、苦悩する芸術家だった。松田聖子の作品作りはほとんど曲先で、サウンドも 7 割くらい仕上がったテープが回ってくる。大村君の弾く電気ピアノのメロディーに、あとは言葉をはめるだけだった。そうして彼とぼくの間に鋼鉄の信頼が構築された。聖子の結婚の時、アルバムからぼくの名は消えたが、その後『SUPREME』で復帰すると、今度は彼がいなかった。ぼくは彼の繊細さを守ろうとしたのだが、結局、彼は早逝してしまった。ぼくはかけがえのない才能を失ってしまった。大村雅朗、彼の天才をぼくは深く深く深く歴史に刻んで永遠に残したい」と語っている。

佐橋佳幸と亀田誠治が音楽監督を務め、錚々たるミュージシャンが顔を揃えたスーパーバンドが、大村サウンドを奏でる

このコンサートの音楽監督・総指揮を務めるのは、日本の音楽シーンにはなくてはならない存在のプロデューサー・ミュージシャンの佐橋佳幸(G)と亀田誠治(B)。二人が率いるスペシャルバンドは山木秀夫(Dr)/今剛(G)/石川鉄男(Mp)/斎藤有太(Key)という、名前を見ただけでどんな音になるのかが楽しみになる、錚々たるミュージシャンが顔を揃えた。

「時代を超えて色あせることのない彼の音楽の輝きを、多面的に掘り下げ、ステージで甦らせたい」(佐橋佳幸)

佐橋は今回のコンサートについて『チーム・バク(大村さんの愛称ですね)』の"レッキング・クルー"の一員として 20 代半ばからたくさんの作品に参加させていただいた僕と、大村作品を聴いて編曲家の道を志した亀ちゃん(亀田誠治)と、二人で音楽監督を務めることになりました。大村さんの人柄や仕事の流儀などを当時の仕事仲間らと共に回想しつつ、時代を超えて色あせることのない彼の音楽の輝きを、多面的に掘り下げ、ステージで甦らせたいと思います」とコメント。

「『そして僕は途方に暮れる』で大村サウンドの洗礼を受けた。今度は僕が大村さんから受け取ったバトンをみなさんに渡していく番」(亀田誠治)

亀田は「20歳の時に『そして僕は途方に暮れる』で大村サウンドの洗礼を受けて以来、『この曲かっこいいな』と思うとそこには【編曲:大村雅朗】のクレジットがありました。実は僕は音楽家としてのブレイクが遅く、生前の大村雅朗さんにお会いする機会がありませんでした。だからこそ今度は僕が大村さんから受け取ったバトンをみなさんに渡していく番です。25周年のメモリアルで大村さんゆかりのアーティストが、大村さんの故郷福岡に集います。ステージでは心を込めて大村さんの音楽を鳴らしたいと思います」とコメントしている。

大村が手がけた大江千里や渡辺美里を始め、数多くアーティストのレコーディングに参加していた佐橋と、大村をリスペクトする亀田の二人が音楽監督を務めることで、大村が残してきた音楽を、2022年の“現在”の音で、“過去”を振り返りながらも、“未来”に向けて発信していこうという思いが込められていることがわかる。

2枚組LP『大村雅朗の奇跡 compiled by 佐橋佳幸&亀田誠治』他、9月21日に関連作品が相次いでリリース

『大村雅朗の奇跡 compiled by 佐橋佳幸&亀田誠治』(9月21日発売)
『大村雅朗の奇跡 compiled by 佐橋佳幸&亀田誠治』(9月21日発売)

またこのコンサートに連動した作品として、この二人が厳選した大村雅朗作品集『大村雅朗の奇跡 compiled by 佐橋佳幸&亀田誠治』が、9月21日に2枚組LPで発売される(完全生産限定盤・ソニー・ミュージックレーベルズ/GREAT TRACKS)。誰もが知るヒット曲はもちろん、二人の視点が捉えた、大村雅朗の凄さを感じるマニアックな曲までをセレクト。リマスタリングは砂原良徳が手がけている。もちろん佐橋、亀田が寄稿した楽曲解説が付属している。

さらに大村が編曲した作品を集めた、河合奈保子の2枚組CD『Masaaki Omura Works~大村雅朗作品集~』(日本コロムビア)、大村初のプロデュース作品として知られる吉川晃司主演映画のサウンドトラック盤『The Soundtrack "YOU GOTTA CHANCE" Original Motion Picture Soundtrack by MASAAKI OHMURA』(ワーナーミュージック・ジャパン)のリマスターも、同日に発売される。

時代の音を創ってきた稀代の音楽職人・大村雅朗の音楽が、今また人々の心に響き渡る。

『大村雅朗 25th Memorial Super Live』オフィシャルサイト

otonano『大村雅朗の奇跡 compiled by 佐橋佳幸&亀田誠治』オフィシャルサイト

音楽&エンタメアナリスト

オリコン入社後、音楽業界誌編集、雑誌『ORICON STYLE』(オリスタ)、WEBサイト『ORICON STYLE』編集長を歴任し、音楽&エンタテインメントシーンの最前線に立つこと20余年。音楽業界、エンタメ業界の豊富な人脈を駆使して情報収集し、アーティスト、タレントの魅力や、シーンのヒット分析記事も多数執筆。現在は音楽&エンタメエディター/ライターとして多方面で執筆中。

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