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小池徹平、愛希れいから5人のミュージカルスターが共演 一夜限りの美しい“シンフォニーポップス”に酔う

田中久勝音楽&エンタメアナリスト
写真提供/BS-TBS

「Sound Inn S」×「billboard classics」=『ミュージカルスターズ・シンフォニーポップスコンサート』

小池徹平
小池徹平

愛希れいか
愛希れいか

小池徹平佐藤隆紀(LE VELVETS)愛希れいか桜井玲香東啓介という、今をときめくミュージカルスターが一堂に会する『ミュージカルスターズ・シンフォニーポップス・コンサート』が、3月27日(日)中野サンプラザで行われる。それぞれが出演したミュージカルで歌った曲以外にも、有名ミュージカルの人気曲、映画の主題歌を、東京フィルハーモニーと、日本を代表するスタジオミュージシャンが集まったバンドが作り出す極上の音をバックに響かせる。新型コロナウイルス、地震、戦争…不穏な空気に包まれた毎日を過ごす中で、ほんの一瞬だけでも美しい音楽に触れ、ほんの少しだけ幸せな気持ちなり、心を潤したい――そんなリスナーの思いを叶えてくれるコンサートだ。

出演者の小池徹平、愛希れいか、さらに音楽監督を務める音楽プロデューサー/編曲家・斎藤ネコ、そして演出を手掛け、このコンサートの“起点”にもなっている音楽番組『Sound Inn S』(BS-TBS)のプロデューサーでもあるTBS服部英司氏に、見どころや狙いを聞かせてもらった。

フルオーケストラ×スタジオミュージシャン×ミュージカルスター

斎藤ネコ(音楽監督・指揮)
斎藤ネコ(音楽監督・指揮)

このコンサートは、毎回一組のアーティストと日本を代表する編曲家・ミュージシャン達が、その日限りのアレンジでセッションをし、上質なサウンドにこだわり続けている音楽番組『Sound Inn S』(BS-TBS/毎月第3土曜日18:30~)と、シンフォニーとヴォーカリストの組合せで、やはり上質な音楽を追求するコンサートで、多くの音楽ファンを魅了して来た「billboard classics」とのコラボレートだ。東京フィルハーモニー交響楽団に、日本を代表するスタジオミュージシャンを加えた総勢60名による豪華なサウンドで、一夜限りのステージを創っていく。音楽監督の斎藤ネコは、これまで椎名林檎を始め数多くのアーティストの楽曲のアレンジを手がけ、現在放送中のNHK連続テレビ小説『カムカムエヴリバディ』の主題歌で、AIが歌う「アルデバラン」(作詞・曲森山直太朗)のアレンジも手がけている。自身が主宰する「斎藤ネコストリングスカルテット」でライヴも精力的に行なっている。

毎回一人のシンガーと3人のアレンジャーが向き合い、その日限りのアレンジを凄腕ミュージシャンとセッションするという、徹底的に音にこだわる番組と、シンフォニー×ヴォーカリストで、歌をリスナーの心のさらに深いところに届ける「billboard classics」。このコラボで想像できるのは“いい音楽”以外ない。

小池 今回、声をかけていただけて嬉しいです。他の出演者のみなさんとは初めてステージに立たせていただきますが、逆に知らないからこそのワクワク感がすごくあります。今こういうコンサートやイベントが増えていて、僕もそうですが、お客さんにとってもそれまで見たことがない役者の演技や歌、キャラクターに触れることで、新しい発見がたくさんあると思います。不安に包まれた世の中ですが、みなさんが少しでもウキウキした気分になって欲しいです。

愛希 私もすごく楽しみです。

「『私だけに』は一番好きで一番難しい、奥が深い曲」(愛希)

それぞれが歌う曲について聞かせてもらうと、本人と楽曲の間に流れるストーリーがあり、それを理解してから当日聴くと、また違った感情や感動が生まれてきそうだ。愛希は出演したミュージカル『エリザべート』(今秋再演が決定している)で歌っている「私だけに」を披露するが、この曲について「ひと筋縄ではいかないけど愛する曲」と教えてくれた。

『エリザベート』(写真提供:東宝演劇部) 
『エリザベート』(写真提供:東宝演劇部) 

東京公演2022年10月9日(日)~11月27日(日)/帝国劇場※愛知・大阪・福岡公演あり
東京公演2022年10月9日(日)~11月27日(日)/帝国劇場※愛知・大阪・福岡公演あり

愛希 「私だけに」は一番好きな曲で、一番難しい曲。何万回練習してもうまくいかなくて、一度も納得したことがない、それくらい奥が深い曲です。私は実はコンサートで歌う経験がこれまでにあまりなくて、どちらかというと苦手意識が強いかもしれません。芝居があってこその歌だと思っているので、芝居の部分がなくなってしまうと“自分”として歌わなければいけないので、緊張してしまいます。だからこの曲を歌うかどうか悩みましたが、メッセージ性が強い曲で、みなさんに少しでも勇気を感じてもらえたらと思い、歌うことを決めました。そして『レ・ミゼラブル』から「On My Own」を歌わせていただきます。この曲は昔ニューヨークでミュージカルのレッスンを受けている時に、すごく練習した曲ですが、みなさんが知っているスタンダードナンバーなので、緊張しそうです。それから、 (桜井)玲香と『Journey to The Past』(『アナスタシア』より)をコラボさせていただきます。玲香とは以前ミュージカル『フラッシュダンス』で共演してその時親友役で、そのまま親友になりました(笑)。

桜井玲香
桜井玲香

小池 僕もミュージカル『キレイ』の中で一番好きな「宇宙は見えるところまでしかない」を歌わせていただくのですが、セリフが入っている繊細な歌で、役になりきって複雑な感情で表現してきたので、芝居なしで歌うと恥ずかしくなりそうです。

「自分の中でも整理がついて、約一年半ぶり『Soul of A Man』を歌おうと決めました」(小池)

小池は「大切で大好きなミュージカル『キンキーブーツ』で思い入れのある楽曲」『Soul of A Man』を約一年半ぶりに披露する。

ブロードウェイミュージカル『キンキーブーツ』2019年公演より
ブロードウェイミュージカル『キンキーブーツ』2019年公演より

ブロードウェイミュージカル『キンキーブーツ』2019年公演より
ブロードウェイミュージカル『キンキーブーツ』2019年公演より

小池 「Soul of A Man」は自分の中ですごく大事にしている、特別感のある楽曲です。今までもこういうコンサートに出演する際にも、歌うかどうかすごく悩んで「今はやめておこう」という結論に至ることが多かったです。自分の中で抑えていましたが、でも一昨年(三浦)春馬くんのパフォーマンスを収録した映像(「Kinky Boots Haruma Miura Tribute movie」)が公開されたり、今年の秋に3回目の上演が決まって、スタッフと話し合って、今回自分の中でも整理がついて、約一年半ぶりこの曲を歌おうと決めました。清々しい気持ちで、気持ちよく歌いたいと思っています。

服部 「Soul of A Man」はすごくストレートなロックで、劇中で歌うときよりも、もう少しリッチで感情的に高ぶるようなロックストリングスを入れたいと思っています。この曲は原曲にはコーラスが三声で入っているので、コーラス部分は、出演者の皆さんにお手伝いをお願いしました。

愛希:大好きな曲なので、参加できてうれしいです。この曲もそうですが、今回のコンサートは自分も大好きなミュージカルナンバーがたくさん並んでいます。私は小池さんが出演している舞台はほとんど観させてもらっていて、ミュージカル『1789 -バスティーユの恋人たち-』は3回観に行きました(笑)。でも『デスノート THE MUSICAL』だけ観ることができなくて、なのでここで聴けるのがすごく嬉しいです。

小池:僕は、東啓介さんが歌う『僕こそ音楽 / Ich Bin, Ich Bin Musik』(ミュージカル『モーツァルト!』より)が大好きで、すごくテンション上げてくれる曲ですよね。この曲と愛希さんが歌う「On My Own」が続くんですよね?激アツゾーンだ(笑)

愛希 ここ頑張ります(笑)

小池 『Dear Evan Hansen』もめっちゃ好きなミュージカルなので、「Waving Through A Window」が聴けるのも嬉しい。

愛希 「Waving Through A Window」、本当にいい曲ですよね。私も楽しみです。

斎藤 オーケストラコンサートってともすると、最初から最後まで重厚で濃厚な感じになってしまいますが、今回はバンドも入っていてリズムを活かす曲も多く、とにかく歌を立てて、スムーズに伝えることを大切にしていきます。

愛希×桜井、佐藤×東など、貴重なコラボにも注目

東啓介
東啓介

佐藤隆紀(LE VELVETS)
佐藤隆紀(LE VELVETS)

「Waving Through A Window」を歌う東啓介は、ソロでこの曲を歌うのはこの日が初めてになる。また、このコンサートでは、愛希×桜井を始め、ミュージカル『マタ・ハリ』でラドゥーを演じた佐藤隆紀とアルマンを演じた東が、舞台では実現できなかった組み合わせで「Man to Man」を披露するなど、魅力的なコラボも多く観られそうだ。

レジェンドから若手まで、豪華アレンジャー陣の競演にも注目

違う角度からこのコンサートにスポットライトを当てると、船山基紀、斎藤ネコ、笹路正徳、三宅一徳、大嵜慶子、深澤絵梨香、園田涼という、レジェンドから若手まで豪華アレンジャー陣の競演というのも聴きどころのひとつだ。そしてその中には服部克久、中村八大、宮川泰、前田憲男というレジェンド音楽家の名前も入っている。

服部 楽曲を決めている時、ネコさんからの提案で、日本の大衆音楽史を彩ったレジェンドの方々のスコアが残っている曲は、それを使おうということになりました。服部先生と前田先生は「Sound~」にも出演していただいていました。お亡くなりになってしまいましたが、その譜面を通してこのコンサートに参加していただきます。

斎藤 「Sound~」では数年前まで服部先生も、前田先生も指揮をしていて、私も勉強させていただきました。今回はそんな偉大な先人の方々からバトンを受け取ったような気持ちで臨みたいと思います。もちろん若手アレンジャーの方にも助けていただいて、愛希さんが歌う「私だけに」のアレンジをお願いした大嵜慶子さんは、今回のバンドメンバー(ピアノ)でもあり、数々のミュージカルの音楽監督もされています。小池さんが歌う「宇宙は見えるところまでしかない」のアレンジを担当している園田涼さんもバンドメンバー(キーボード)で、プレイヤーとしてポップスからミュージカル、フルオーケストラとの共演経験もあるので頼もしい存在です。私も愛希さんが歌う「On My Own」や、小池さんのナンバーでは「Soul of A Man」他のアレンジを担当させていただきました。

「生のオーケストラの素晴らしい音に包まれて、僕達の歌でみなさんに少しでも元気になってもらえると嬉しいです」(小池)

ラストはオールキャストで『レ・ミゼラブル』から「民衆の歌」「ワン・デイ・モア」を披露することが発表されている。5人の歌、オーケストラとバンドが作り出す美しい響きが重なり、胸に迫るエンディングになりそうだ。

服部 『レ・ミゼラブル』自体が、悪政や試練と戦う民衆の物語なので、この不穏な空気の中で暮らしている私達も含めて世界中の人達に向けて、公演として平和への祈りを込めたいと思いました。

小池 生のオーケストラの素晴らしい音に包まれて、僕達の歌でみなさんに少しでも元気になってもらえると嬉しいです。

『ミュージカルスター・シンフォニーポップス・コンサート』オフィシャルサイト

音楽&エンタメアナリスト

オリコン入社後、音楽業界誌編集、雑誌『ORICON STYLE』(オリスタ)、WEBサイト『ORICON STYLE』編集長を歴任し、音楽&エンタテインメントシーンの最前線に立つこと20余年。音楽業界、エンタメ業界の豊富な人脈を駆使して情報収集し、アーティスト、タレントの魅力や、シーンのヒット分析記事も多数執筆。現在は音楽&エンタメエディター/ライターとして多方面で執筆中。

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