Yahoo!ニュース

MACK JACK レゲエと野球、自分達の“原点”を歌う 「原点があるから今の自分達がある」

田中久勝音楽&エンタメアナリスト
写真提供/ソニー・ミュージックエンタテインメント

全員元高校野球球児の4本マイクのレゲエクルー・MACK JACK

神戸在住、全員元高校野球球児の4本マイクのレゲエクルー・MACK JACK(マックジャック)。7月に配信した「泥だらけドリーマー」は「2021tvk高校野球神奈川大会中継応援ソング」に選ばれ、がむしゃらに努力する全ての人への応援ソングである同曲が、高校野球に打ち込む選手の姿とリンクして、話題を集めた。

そして11月10日には高校野球球児だった彼らだからこそ歌えた新曲「原点」を配信し、こちらも注目を集めている。この曲についてM.C.L(ミッチェル)、ALI(アリ)、CHAI(チャイ)、JAGA-C(ジャガシー)の4人にインタビューした。

YANAGIMANプロデュースの「泥だらけドリーマー」は、頑張っている全ての人に贈る応援歌

全員元球児のMACK JACKのメンバー。M.C.L、ALI、CHAIの3人は神戸から、高知県の強豪校・高知中央高校に進学し甲子園出場を目指し、日々練習に明け暮れた。寮生活での楽しみは音楽。ある日ルームメイトが流したNANJA MANの音楽に衝撃を受け、レゲエミュージックと出会う。最後の夏の県大会で敗れ野球生活と別れを告げ、翌年地元・神戸に戻った3人は、「野球の次に燃えるものを見つけた」というM.C.LとALIが、2012年にMACK JACKを結成した。そこにCHAIと、やはり元球児であるJAGA-Cが合流し、4本マイクのレゲエクルーとして活動をスタートさせた。曲を作り始めた最初の頃は「どうしても自分を大きく見せるような、カッコつけた歌詞を書いていました。でも8年活動して、やっと角が取れてきたというか(笑)、等身大の言葉の方が聴いてくれる人の心に響くんだという感覚をつかめてきました」(M.C.L)と、できあがったのが「泥だらけドリーマー」だった。プロデュースを手掛けたYANAGIMANが、4人の熱い思いを、ストレートにより多くの人の心に届ける楽曲に仕上げた。

高校野球での経験が、今も人生の礎、原点になっているという思いを込めた新曲「原点」

そして11月10日に配信された「原点」は、文字通り彼らの原点の、野球部の寮で過ごした青春の日々、“野球部あるある”をユニークかつ真剣に描いている。メンバーそれぞれのキャラも歌詞から伝わってくる。「泥だらけドリーマー」と共にまさに名刺代わりの一枚と言ってもいいかもしれない。

M.C.L 自分達の“原点”でもあるレゲエと野球の歌を書いてみようということになって、まずCHAIが歌詞の土台を作って、そこにメンバーの意見を乗せていきました。

CHAI 上下関係、横のつながりも全部野球から学びました。

ALI 度がすぎないように(笑)、でもやっぱり厳しい練習を通して人として成長させてもらったという思いはあるので、そこはなるべく“薄めないように”しました。

CHAI 確かに周りから見ると、それは度が過ぎてるんじゃないかと思われてしまう部分はあるかもしれませんが、そこを戦い抜いて乗り越えたということがひとつの誇りだし、大事な部分なんです。どこまで伝えられるかわからないけど、でも伝えたい、そんな思いで歌詞を書きました。

高知中央高校の後輩で、全国高校女子硬式野球選手権大会で準優勝した選手6人がコーラスで参加。TikTok86万人超えの「野球girl」まつりのさんも「野球ダンス」を披露

メンバーの後輩にあたり、今年、史上初の甲子園球場での決勝開催となった全国高校女子硬式野球選手権大会で準優勝した、高知中央高校の選手6人もコーラスで参加している。メンバーのひとり、「野球Girl」まつりのさんは、Tik Tokでのフォロワーが86万人を超える(11/20現在)人気を誇る。同校で撮影されたMUSIC VIDEOにも参加しMACK JACKと共にオリジナルの「野球ダンス」を披露している。さらにカップリングでは、歌詞を野球ガールたちの目線で書き直した「原点(女子野球応援Version)feat.高知中央高校女子硬式野球部が収録されている。女子野球の世界を垣間見ることができて、新鮮だ。

左からALI、M.C.L、「野球Girl」まつりのさん、CHAI、JAGA-C
左からALI、M.C.L、「野球Girl」まつりのさん、CHAI、JAGA-C

M.C.L 高校の音楽室に機材を持ち込んでコーラスを録ったのですが、MVへの出演をお願いしました。

CHAI コーラスを引き受けてくれて、僕らも何かお返しをしたいと思い、レゲエのダブ(元々ある曲をトラックや歌詞を変えてオリジナルにする)みたいに、女子野球部バージョンをプレゼントしようということになりました。部員の皆さんにリサーチして歌詞を考えて、本人達も気づいていないところは監督さんにリサーチして、すごくいいものができあがって、これもリリースしようということになりました。

「原点」のジャケット写真には、メンバーの野球部時代の写真が使われている。

CHAI やっぱり原点なのでこれしかない、と(笑)。高知中央高校で教えてもらったことで、今も活きていることがたくさんあって。教室に貼りだされていた「元気・やる気・本気」というメッセージは学校全体の教育方針で、何事もやらされるな、なんでも本気でやった方が楽しいという考え方を叩きこまれました。その考え方が今の僕らの“原点”になっていて、歌詞にもそういう言葉がよく出てきます。なので、学校でMVを撮影した時は、ここで歌えてよかったと心から思いました。

原点である野球で、自分達の人生を語っていきながら、同時に探していく。そんな自分達の背中を押すような曲をMACK JACKは歌っている。聴いてくれる人への応援歌も、実は自分達を鼓舞させるために歌っているところが大きい。だから“伝わる”。

「野球では夢を果たせなかった。だから今度は音楽で甲子園やドームを目指し、リベンジしたい」

ALI 今年の夏、神戸三田ブレイバーズ(関西独立リーグ)の試合が行われた、地元・神戸あじさいスタジアムで「泥だらけドリーマー」を歌わせていただいて、球場で歌う気持ちよさを経験してしまったので、そこを目標にこれからも頑張っていきたい。

JAGA-C 野球をやっていた人は、甲子園やプロになることを目標にやっていた人が多いと思いますが、夢が叶わなかった人の方が多いと思います。僕らもそうでした。だから今度は音楽で甲子園やドームを目指して、自分達のリベンジを果たしたいという気持ちが強いです。

MACK JACK オフィシャルサイト

音楽&エンタメアナリスト

オリコン入社後、音楽業界誌編集、雑誌『ORICON STYLE』(オリスタ)、WEBサイト『ORICON STYLE』編集長を歴任し、音楽&エンタテインメントシーンの最前線に立つこと20余年。音楽業界、エンタメ業界の豊富な人脈を駆使して情報収集し、アーティスト、タレントの魅力や、シーンのヒット分析記事も多数執筆。現在は音楽&エンタメエディター/ライターとして多方面で執筆中。

田中久勝の最近の記事