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峯岸みなみ アイドルを卒業して思うこと 「本当の自分を表現して、求められている場所で頑張る」

田中久勝音楽&エンタメアナリスト
写真提供/THECOO

峯岸みなみが“ママ”として登場するファンクラブ「スナック喫茶“31”」

先日AKB48を卒業した峯岸みなみが、コミュニティ型ファンクラブ『Fanicon(ファニコン)』で公式ファンクラブ『スナック喫茶 “31”(みぃ)』を開設。6月26日には「スナック喫茶“31”」のママ・峯岸がお酒を飲みながら生配信し、約1時間ファンとのコミュニケーションを楽しんだ。生配信を終えた直後の峯岸にインタビューし、「スナック喫茶“31”」を立ち上げた理由を聞かせてもらった。そして5月22日に行われた一年越しの卒業コンサート『~桜の咲かない春はない~』で感じた思い、峯岸にとってAKB 48とは何だったのか、さらにこれからどこに向かっていくのかまで、最新の峯岸みなみの思いに迫った。

「今までファンクラブというものに偏見を持っていたけど、間違いだった」

生配信の中で峯岸は、ファンクラブという存在について偏見を持っていたと語っていた。

「ファンクラブというものにあまりいいイメージがなくて、AKB48卒業前からファンクラブどうしようかなって考えていました。でもやっぱりファンの人が喜んでくれるなら、それが一番だなというのは、今日生配信をやってみて思いました。毎月お金がかかるし、申し訳ないという気持ちがどこかにあって、でもそういうことよりも、近くに感じられてコミュニケーションをとれることが嬉しいという生の声を聞くことができて、やってよかったんだなって実感できました。みんながファンクラブをやっている理由ってそういうことで、偏見だったと気づきました」。

「スタック喫茶“31”」はファンクラブよりも一歩踏み込んだ形で、ファンとより密なコミュニケーションが取れる「場所」になっている。

「そうかもしれないです。ファンクラブのイメージが昔で止まっていたというか、会報があってたまにバスツアーがあってというそんなイメージでした。でも今はこんなに密にコミュニケーションがとれて、配信も自分のタイミングで好きにできて、新しいファンクラブの形だと思いました。手軽さはあるのに、みんなと近い距離でつながっている感じが、私のような面倒くさがり屋の人間にはちょうどいいし、これなら続けられると思いました」。

「初めて自分の“ホーム”ができました」

飲みながらの「スナック喫茶“31”」はママ・峯岸がお酒を飲みながら、チャットで流れてくる質問に答えたり、人生相談に乗ったり、熱心なファン、味方しかいないという安心感も手伝って時に毒舌になったり、その圧倒的な“緩さ”がいい。

「今までインスタライヴやSHOWROOMとか、色々と配信はやってきましたが、不特定多数の人が観に来て、誰が観ているのかもよくわからない状態でやるよりも、会員数も自分でわかっているし、わざわざ私のために集まってくれている人達ということもわかった上でやるのは、大分気が楽で安心感が違います。今までそういう場所って意外となかったんです。AKBの時もチームにいたので色々なメンバーのファンがいて、自分だけの空間がなかったので、初めて自分のホームができました。ここでは何があっても何を言っても受け止めくれて、いい意味で叱咤激励してくれるファンの人ばかりだと思います。なので、例えば出演したテレビ番組のことも、感想を直接聞かせてもらったり、逆にうまくいかなくて自分で納得できなかったしても、その理由をきちんと話せたり。自分のことを好きでいてくれる人には、私のことを誤解して欲しくないし傷つけたくないけど、でもわざわざ公に言うようなことではないことを言える場所ができて、気が楽になりました。だからといってそこに甘えずに、常に新しいことを考えて、喜んでもらえるような空間にできたらいいなと思っています」。

「私らしい私をたくさんの人に見てもらえるきっかけになると嬉しい」

自分のことを支えてくれる人には、嘘をつきたくないという峯岸の真っすぐな性格を生かせる、生き生きと表現できる、さらにその魅力が伝わる場になるはずだ。

「自分のことを好きでいてくれる人の前でしか、自分を曝け出せない性格なんです、怖くて。なので『スナック喫茶“31”』の中での自分が、自分らしい自分だと思います。でもここだけで完結していても、結局世間からの私のイメージや印象は変えられないので、どんどんここに注目してもらって、私らしい私をたくさんの人に見てもらえるきっかけになったらいいなと思っています。今までは自分のことは一部の人にだけわかってもらえればいいと考えていました。でもどうせなら、みんなに自分のいいところも悪いところも知って欲しいと思っています」。

「『スナック喫茶“31”』は、自分の大事な発表や人生のターニングポイント、全部一緒に共有できる場」

アイドルグループを卒業して、自分の名前だけが看板になる。これからの峯岸みなみに期待するファンが多いし、そういうファンと人生を楽しみたいと語ってくれた。

「アイドルではない私にファンの人がこれだけいてくれて、アイドルということだけに価値を感じていないということが、自信にもつながりました。そういう意味では人生を共にするというと大げさかもしれませんが、自分の大事な発表とか、人生のターニングポイントとか、全部一緒に共有できたらいいなって思います。例えば結婚する時が来ても、それでも会員数が減らずに、みんながよかったねって言ってくれるような、そういう人として魅力のある自分でいたいし、アイドルってそうはいかないじゃないですか。恋愛、結婚に対しては厳しいし、でも『スナック喫茶“31”』はそういう場ではないと思うので、例え結婚しても子供が生まれても、長い目でずっと見守ってもらえて、私もみんなの幸せを願えるような、そういう場所であり続けたいです」。

「卒業コンサートの後、エゴサをしていたら、私のエゴサ史上最高の言葉しか並んでいなくて、それを見て余韻に浸っていました(笑)」

5月22日に行われた卒業コンサート『~桜の咲かない春はない~』から一か月が経ったタイミングでのインタビューだったが、改めてあの“峯岸みなみの一番長い日”はどんな思いを抱えながらステージに立っていたのだろうか。

「一年前でなくてよかったと思いました。当時はできるかできないかがはっきりしなかったし、体も締まっていなくて心の準備もできていなかったし、セットリストも練り切れていなかった状況だったので、今年でよかったです。今年は個人の仕事もたくさんやらせていただいて、自分に少し自信がついた状態で、卒業生に会うことができたので、嬉しかったです。一か月前から体も作って、セットリストも組み直して、メンバー一人ひとりと話しをしてやって欲しいこともお願いできました。でもAKB48のコンサート史上、一番キツかったです(笑)。あれだけ自分にスポット当ててもらって、33曲全曲出させてもらって、自分で決めたこととはいえ、後半本当に辛くて(笑)。もう通しリハの時から辛くて、宮澤佐江ちゃんから『本番はアドレナリンが出るからいけるよ』って言われたものの、終わってから『全曲出るとは聞いてなかった。あれは疲れるよ」と言われました(笑)。卒業コンサートだからできたと思うし、普段だったらあそこまで頑張れなかったと思います(笑)。コンサートから帰ってきて、ずっとネットでエゴサしていたら、私のエゴサ史上最高の言葉しか並んでいなかった日だったので、それをずっと眺めながら余韻に浸っていました(笑)」。

「ドッキリ番組で、穴に落としたいって思ってもらえる存在になれたことが嬉しい」

記念すべき卒業コンサートの裏では、同時進行でドッキリ番組(『芸能人が本気で考えた!ドッキリGP』)の仕込みが行われていた。すっかりバラエティの常連になっていることについてはどう感じているのだろうか。

「あのドッキリも嬉しかったです。ゴールデンタイムの番組にAKB48のコンサートが取り上げてもらえることもありがたかったですし、あの場所に穴を作るってすごい労力だし、そこまでして落としたいって思ってもらえる対象に、この一年でなったんだなって実感できました。誰からも見向きもされなかった時間をたくさん過ごしたからこそ、注目してもらえることが本当にありがたいことだなって思ったし、お金も時間もかけて取り上げてくれる愛も、悔しいけど感じました(笑)」。

「芸能界に味方がたくさんできるようにガムシャラに頑張ることが、自分の生きやすさ、仕事のしやすさにつながると思う」

バラエティの常連ではあるが、これからの峯岸みなみはどこに向かい、自分自身を表現していこうとしているのだろうか。

「正直、自分を客観視することが苦手で、ビジョンを持って行動するというのもすごく苦手で、求められていることをやっていくことが、まず最初に自分の将来としてできることなのかなって。バラエティを特別やりたいというわけではなく、でも今一番自分が求められる場所がバラエティで、頑張ってやっていったら次につながっていくのがすごく楽しくて。でも、バラエティを特別やりたいわけじゃないって言いながら、呼ばれなくなったら絶対悲しむ自分もいるし、今求められている世界でどこまで次につながっていくのか、どこまでステップアップできるのかなという意味では、バラエティの世界は興味があります。今まではバラエティに出ることが、演技をやってみたいと思う自分に対して、デメリットになるのでは?と思ったりもしました。でもよく考えたら、何もできていない私に、急に演技の仕事が入ってくるわけもなくて、バラエティで突き抜ければ突き抜けるほど、違った角度からの興味で演技につながることもあるかもしれないと思っています。バラエティに出られていない自分よりも、バラエティで頑張っている自分の方が、自分のやりたいことに近づけるんじゃないかなって。それからバラエティを頑張ることによって、すごく味方でいてくれる方が増えている感じがしていて、ファンクラブの話にも通じるんですけど、自分のことを好きって言ってくれる人たちの中でこそ、自分の魅力が一番発揮できるタイプの性格だと思っているので、だからこそ芸能界にもたくさん味方を作って、自分のことを好きでいてくれる人に囲まれていたら、自然と自分の魅力が出てくると思っています。なので芸能界に味方がたくさんできるようにガムシャラに頑張ることが、自分の生きやすさというか、仕事のしやすさにつながると思っています」。

「これから本当の自分を表現していいんだという楽しみを感じています。30歳からの自分が楽しみ」

いい意味で、解き放たれた――現在の峯岸を見ていると強烈にそう感じる。人間力で勝負する峯岸みなみはとてつない力を発揮してくれそうだ。

「こういう人間になったのもAKB48があったからだと思います。小学生とか中学生の時は、明るいキャラで自分に自信があって、そういう人間がAKB48という自分の得意ではない世界に飛び込んで、色々と比べられたり競ったりして、たくさん目標に向かって頑張っていく中で挫折もしたし、その中で言葉の選び方や傷ついた時の感情とかを重ねていって、今の人間性ができあがったと思っています。なのでAKB48にいなかったら、割と何も考えない明るい人間だったと思います。もしかしたらアイドルが向いていなかったのかなって思うこともありました。言いたいことややりたいことが、アイドルである以上ダメなことが多かったというか、だけどアイドルとしてはダメだったけど、人間としては普通だぞっていうことが、やっと主張できるようになって。アイドルじゃなくなって気持ちが軽くなったのと、でもアイドルでいたことは全然無駄ではかったし、制約がある中で楽しんでいた部分もあります。でもこれからの方が本当の自分を表現していいんだという楽しみを感じているし、今28歳で、30歳からの自分が本当に楽しみです」。

峯岸みなみオフィシャルファンクラブ 「スナック喫茶“31”」

音楽&エンタメアナリスト

オリコン入社後、音楽業界誌編集、雑誌『ORICON STYLE』(オリスタ)、WEBサイト『ORICON STYLE』編集長を歴任し、音楽&エンタテインメントシーンの最前線に立つこと20余年。音楽業界、エンタメ業界の豊富な人脈を駆使して情報収集し、アーティスト、タレントの魅力や、シーンのヒット分析記事も多数執筆。現在は音楽&エンタメエディター/ライターとして多方面で執筆中。

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