「語る」ように歌い続け57年 常に挑戦を続ける五木ひろしが、3人のアレンジャーとセッション

写真提供/BS-TBS

男の色気を感じさせてくれるオトナの歌の数々

“時を超えた、ここでしか聴くことができないサウンド”がコンセプトの音楽番組『Sound Inn S』(BS-TBS)。2021年最初のオンエアは、57年のキャリアを誇る五木ひろしが登場し、3人のアレンジャーと共にこの日限りのアレンジで、オリジナルとカバー曲をセッション。男の色気を感じさせてくれるオトナの歌を披露した。

“こぶしポーズ”はこの曲から始まった

1曲目は自身の1972年のヒット曲「待っている女」(1972年)。アレンジはギタリスト・編曲家の佐々木貴之。ギターをフィーチャーし、ストリングとホーンが美しく絡むロックアレンジで彩る。この作品の元になっているのはマーク・リンゼイ&レーダーズの「嘆きのインディアン」(1971年)で、五木は「当時、ロックを歌謡曲に落とし込むのはすごいこと。だから色褪せない」と語っているように、強烈なリズムが息づいているこの曲を、圧倒的な感情表現で歌っている。ちなみに五木の代名詞にもなっている“こぶしポーズ”は、この曲から始まった。

「色々な音楽を知ることによって、自分自身が見えてくる」

2曲目は「この日一番のチャレンジ」という洋楽のカバーを披露。「大好きな」レイ・チャールズがカバーしたことで大ヒットし、その後様々なアーティストがカバーした「Georgia On My Mind」(1930年)を、笹路正徳のアレンジで披露。“五木節”をたっぷりと感じさせてくれる。五木は演歌・歌謡曲だけではなく普段から様々なジャンルの音楽に挑戦し、自身の曲も英語やフランス語、イタリア語でセルフカバーしている。「色々な音楽を知ることによって、自分自身が見えてくる」と語っている。笹路は五木の歌について「あのスタイルでどんなジャンルでも歌える。専門外感が全くない」と改めてその“凄み”を語ってくれた。

3曲目は、ドラマ「日本沈没」(1974年)の主題歌で、筒美京平さんが作曲を手掛けた「明日の愛」を、坂本昌之のアレンジで披露。坂本は五木のことを「歌謡界の扉を開けてくれた恩人」と語り、再会を喜んでいた。五木は「歌詞と曲はもちろん大切だけど、僕は編曲も重要視していて、坂本さんが手がけた徳永(英明)君のカバーアルバムのアレンジがすごくいいなと思って、お願いしました」とその出会いを教えてくれた。その後坂本は由紀さおりや坂本冬美の楽曲のアレンジを手がけるようになり、そういう意味で歌謡界の扉を開けてくれたのが五木だった。この日も坂本渾身の美しいアレンジに乗せ、情感豊かに歌った。この曲もそうだが、五木の歌は、歌い出しの第一声からグッと引き込まれる。ひと言目から感じる豊かな感情。それは五木の歌の原点、ギターの弾き語りで培ったものだった。

「語る」ように歌うスタイルは、ギターの弾き語りが原点

五木は元々ギターの弾き語りがキャリアのスタートだった。売れる前の1960年代、小さなクラブの片隅で弾き語りをしていた。弾き語りといっても、お客さんの会話の邪魔にならなうように“BGM”としての歌だったという。それでも歌を伝えたくて、ギターの弦の音とマッチする声で「『語る』ように歌うということを身につけた」と教えてくれた。この日もギターの弾き語りで「よこはま・たそがれ」と「契り」を披露。哀愁を帯びたギターの音色と、語るように歌う唯一無二のスタイル、その表現力に坂本を始めミュージシャンも聴き入っていた。“歌の上手さ”のその向こう側にある“味”と“凄み”が、感動となって伝わってきた。

「一味違ったアレンジで、楽曲の新しい魅力を発見していただけたら」

全てのセッションが終わり五木は「豪華なバックバンドの演奏に、私もひととき音楽を心から楽しみました。一味違ったアレンジで、楽曲の新しい魅力を発見していただけたら嬉しいです」と満足した表情で語っていた。

「常にチャレンジしていく」キャリア57年の歌手の、その生き様が映し出された歌が楽しめる『Sound Inn S』(BS-TBS)は、1月16日(土)18時30分からオンエアされる。なお、番組放送終了と同時に「Paravi」で未公開映像と共に独占配信される。

※徳永英明の「徳」は正確には旧字体。

BS-TBS『Sound Inn S』オフィシャルサイト