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城 南海 『ムーラン』日本版主題歌に込めた人生のテーマ 「恐れず色々なことに挑戦し、私を生きる」

田中久勝音楽&エンタメアナリスト
写真提供/ポニーキャニオンアーティスツ

公開延期になっていた、城が日本版主題歌を歌うディズニー映画『ムーラン』が、9月4日からディズニープラスで独占公開決定

公開が延期されていたディズニー実写映画『ムーラン』が、 9月4日からディズニー公式動画配信サービス Disney+(ディズニープラス)で、プレミアアクセスとして独占公開されることが決定した。この映画の日本版主題歌「リフレクション」を歌っているのが城 南海だ。城は訳詞も手がけ、“私を生きる”という言葉にムーランと自身を重ね、思いを届ける。改めてこの「リフレクション」という作品について、そして先日行った松本俊明との初の無観客生配信ジョイントライヴについて、さらに9月に行われるクラシカルコンサートについて、インタビューした。

「訳詞に込めた、自分らしさを思いきり出したいという気持ちは、私の人生のテーマ」

『ムーラン』の主題歌「リフレクション」は、1998年公開のアニメーション版の主題歌としてクリスティーナ・アギレラが歌い、世界中で愛されている壮大なバラードで、今回もオリジナル版はクリスティーナ・アギレラが担当する。日本版を歌う城は、訳詞も手掛けているだけに、いっそう力が入る。

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「『リフレクション』はディズニーソングの中でも人気の曲なので、曲のイメージをあまり壊してはいけないと思いました。“私を生きる”ということがテーマになっている曲で、私も故郷から出てきて、東京に住んで十数年、なかなか自分らしくいられない時や、本当の自分ってなんだろうって考えることがすごくあって、そんな自分と歌詞を重ねながら、ムーランの姿も重ねて歌いました。いつの日か、自分らしさを思いきり出したいというその気持ちは、私の人生のテーマでもあるので、今回の訳詞は自然に出てきました。私の曲には月がよく登場します。月を見上げるのが好きで、奄美の月も忘れられなくて、月を見上げている景色から描きはじめました。自分らしさを出すことができたと思います。老若男女幅広く観られるディズニー映画なので、子供たちにも理解できるように複雑な表現ではなく、ストレートに書くことは意識しました。歌もそうです。みなさんが歌いやすい方がいいと思い、敢えて“グイン”(こぶし)を抑えて歌っています。でもステージでは、もっと自分の個性を出して歌っていこうと思っています」。『ムーラン オリジナル・サウンドトラック』は9月4日 デジタルアルバム配信、9月11日にはCDが発売される。なお8月26日(水)放送の『FNS歌謡祭 夏』(18:30~23:03/フジテレビ系)で城は、宝塚歌劇団退団後初歌唱となる明日海りおとコラボレーションし、「リフレクション」を披露する。

松本俊明とのジョイントコンサート『Together with Friends ~松本俊明&城 南海~』を生配信

城は7月20日、親交のある作曲家・ピアニスト・音楽プロデューサーの松本俊明とジョイントコンサート『Together with Friends ~松本俊明&城 南海~』を、初の無観客で行い生配信した。5か月ぶりのライヴが、初の配信ライヴになったが、“手応え”を感じたようだ。なおこのライヴは、子供たちの未来を応援するために、チケット代から1枚あたり500円が“セーブ・ザ・チルドレン”に寄付された。

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「初めてだったので、独特の緊張感があったし、歌も朗読もトークも、難しい部分はありました。最初はこちらだけの世界になっていないかな、伝わってるかな?という不安はありましたが、普段のコンサートの時は歌った後にお客さんから直接感想が聞けないので、チャットが新鮮でした。今回は二人で新曲を作ったのですが、その反応がチャットですぐ見ることができたので、そこはいい部分だなと思いました。お客さんの顔は見れないけど、言葉で伝えてくれる感じは、これはこれでよかったです。でもずっと配信だけだと寂しいですね。やっばり生で聴いてもらわないと伝わらない、ニュアンスや雰囲気はあると思います。どんな形になるかはわからないですが、この企画は第二弾、三弾と続けていきたいと思っています」。

9月に『城南海 with 1966カルテット クラシカルコンサート 2020』開催

その生の歌と音を響かせる『城南海 with 1966カルテット クラシカルコンサート 2020』が9月に愛知・東京・大阪で開催されることが決定した。昨年も行い、好評だったコンサートで、1966カルテットは松浦梨沙(Vn)、花井悠希(Vn)、増田みのり(Pf)のクラシックのテクニックを駆使した洋楽カバーを演奏する女性カルテットで、海外でも高い評価を得ている。

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「2月以来のお客さんがいるライヴなので、本当に楽しみです。音作り関してはお互いが遠慮せずにやりたいことをディスカッションしながらやってきたので、5人の“ハーモニー”を楽しみにして欲しいです。今年は例えば、去年はできなかった全員での演奏だけでなく、小編成での楽曲も演奏してみたいと思ってます。 “組み合わせの妙”を感じていただけるような構成も考えています。昨年はクイーンとか、盛り上がる洋楽のカバーもやりましたが、このご時世なので、みんなで一緒に歌って盛り上がったりはできませんので、もちろん洋楽のカバーも歌いますが、じっくり聴けるようなセットリストにしたいと思っています。落ち着いて聴ける空気感というのをメインに、お客さんには是非手拍子で盛り上がっていただきたいです(笑)」。

『城 南海「ウタアシビ」10周年記念コンサート Bunkamuraオーチャードホール-2019.11.08-』(7月29日発売/通常盤(DVDのみ 5940円(税込))
『城 南海「ウタアシビ」10周年記念コンサート Bunkamuraオーチャードホール-2019.11.08-』(7月29日発売/通常盤(DVDのみ 5940円(税込))

城は一昨年10周年を迎え、昨年11月にその締めくくりととして初のBunkamuraオーチャードホールでコンサートを行い、そして12月に約3年ぶりのオリジナルアルバム『one』をリリース。20代最後の作品、11年目、新しい城 南海を提示したいというシンガーとしての強い思いが込められている。オーチャードホール公演の様子を収めたライヴDVD『城 南海「ウタアシビ」10周年記念コンサート Bunkamuraオーチャードホール-2019.11.08-』が7月29日に発売された。

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「デビューのきっかけになったオーディションで歌った「童神~私の宝物~」の、オリジナルを歌っている古謝美佐子さんも来てくださったし、デビュー曲「アイツムギ」を書いてくださった川村結花さん、『西郷どん紀行~奄美大島・沖永良部島編~』でピアノを弾いて下さっている山下洋輔さんと、ずっと一緒に生でお届けしてみたかったので実現できて夢のようでした。これまでの10年をぎゅっと詰め込んだコーナーと、新しい城 南海のチャレンジ、10周年の感謝の気持ちと、次に繋げていけるものを表現できたと思います」。

「“点”が“線”になっている。もっと色々なことにチャレンジしたい」

自粛期間にこれまでのことを考える時間が増え、一番感じたことは「やっぱり歌を生で届けたいという思いがさらに大きくなった」ことだという。そして、これまでの活動を振り返ると、全てが“つながっている”と教えてくれた。

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「私は音楽の道に進んでいなかったら、保育士になろうと思って大学に通っていたので、子供たちのために何かをしたいという思いはずっとありました。『Together with Friends ~松本俊明&城 南海~』もそのひとつで、ライヴでお披露目した、2人で作った新曲は子供たちに向けて作ったものです。こういう状況だったからこそできたライヴですし、作れた曲だと思います。このライヴはこれからも続けていきたいです。それから世界中の人に私の歌を聴いて欲しいという気持ちもずっと持っていたので、洋楽のカバー中心のセットリストのライヴ『ウラアシビ ~10th Anniversary~』をやって英語詞で歌ったり、今後YouTubeなどSNSを使って世界に発信していったり、『西郷どん』で作詞に挑戦したことも、全てが今回のディズニー映画『ムーラン』の日本版主題歌「リフレクション」を歌わせていただけることにつながっているなと感じています。外出自粛期間中に、原点に立ち返って色々考えましたが、色々なことやらせてもらったからこそ、もう一回自分の魅力ってなんだろうということを考えて、恐れずに色々なことにチャレンジしていきたいです」。

これまでの活動=「点」が「線」となっていることを実感し、それを力に新たな挑戦を続ける決意をし、新しい城 南海の未来へと続く道を自らの手で切り拓いていく。

BSフジ 『城南海 with 1966カルテット クラシカルコンサート 2020』特設サイト

城 南海 オフィシャルサイト

音楽&エンタメアナリスト

オリコン入社後、音楽業界誌編集、雑誌『ORICON STYLE』(オリスタ)、WEBサイト『ORICON STYLE』編集長を歴任し、音楽&エンタテインメントシーンの最前線に立つこと20余年。音楽業界、エンタメ業界の豊富な人脈を駆使して情報収集し、アーティスト、タレントの魅力や、シーンのヒット分析記事も多数執筆。現在は音楽&エンタメエディター/ライターとして多方面で執筆中。

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