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13組の豪華アーティストが「今みんなに届けたい歌」26曲を披露 140分間のシアワセな“響演”

田中久勝音楽&エンタメアナリスト
写真提供 ソニー・ミュージックレーベルズ

5月31日に公開され大きな話題に。6月30日まで期間限定でアーカイブ配信中

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いきものがかり、宇多田ヒカル、Uru、小田和正、久保田利伸、CHEMISTRY、ゴスペラーズ、JUJU、鈴木雅之、TUBE、中島美嘉、平井 堅、渡辺美里(五十音順)――ソニー・ミュージックレーベルズ所属の、そして日本を代表するアーティスト13組のライヴを一挙に楽しめることができるスペシャルライヴコレクション番組『SING for ONE-Special Live Night-』が、5月31日にSony Music (Japan) YouTubeチャンネルで公開され、話題を集めた。

このスペシャル番組は、約48,000人が同時視聴しながら、チャットやSNS上でも大きな反応があり、再生数は現在までに180万回を超え(6月24日現在)、6月30日まで期間限定でアーカイブ配信中で、なかなかチケットが獲れないアーティスト、一度観てみたいと思っていたアーティストのパフォーマンスを一気に観るチャンスだ。この“超豪華フェス”を、改めて振り返ってみたい。

「みなさん一人ひとりのそばに歌がある」(広末涼子)

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この番組は、13組のアーティストが「代表曲」と「今みんなに届けたい楽曲」というテーマで選曲。選ばれた26曲はほとんどがYouTube初公開となる貴重なライブ映像ばかりだ。ナビゲーターは女優の広末涼子。広末は97年シングル「MajiでKoiする5秒前」で歌手デビューし、続く「大スキ!」も大ヒットを記録し、同年末の「紅白歌合戦」にも出場。さらにDJ和の人気ミックスシリーズ『ラブとポップ』の、ロングセラーになった『ラブとポップ~好きだった人を思い出す歌がある~ mixed by DJ和』(2017年)のジャケット、CMに登場し注目を集めた。番組はそんな広末の視聴者への「番組タイトルには、みなさん一人ひとりのそばに歌があるという思いが込められています」というメッセージ、そして医療従事者への感謝の言葉の後、本編がスタート。

宇多田ヒカル
宇多田ヒカル

カメラはステージの中央から静かにポップアップしてくる、宇多田ヒカルの背中を捉えている。それだけでなんだか鳥肌が立ってくる。そして「あなた」を歌い始めると、客席に一気に感動が広がっていくのが伝わってくる。「Play A Love Song」は心の中を“ほどいてくれる”ような感覚と高揚感、両方を感じさせてくれる不思議な歌だ。

Uru
Uru
いきものがかり
いきものがかり

Uruはステージに張られた紗幕の向こう側から、繊細で柔らかで、でも凛としたその独特の声質で包み込んでくれる。「プロローグ」をまるで語りかけるように、ひと言ひと言丁寧に歌う。「あなたにいることで」は一転してスタジオライヴで、光と影に包まれながらピアノだけで、やはり言葉を大切に届けてくれる。いきものがかりは代表曲「ありがとう」からスタート。豪華ミュージシャンをバックに歌う吉岡聖恵の表情が美しい。豊かな表情は、歌にも表情を与え、歌詞をそこにいる一人ひとりに届ける力がある。「ブルーバード」は力強く、いきものががかり三人の強い意志が“突き抜ける”。

JUJU
JUJU

JUJUの「奇跡を望むなら…」は、アカペラで始まり、ストリングス、ピアノが乗ってくるという、号泣必至のアレンジ。ひと筋の、でも強い力を持った光が、どんどん大きくなっていくような感覚を感じさせてくれる。名曲「やさしで溢れるように」は、JUJUの歌はもちろん、バックバンドの演奏を聴くだけでも感動する。楽器ひとつのひとつの音がきちんと主張し、聴こえてきてそれがひとつになって素晴らしいサウンドになっている。

中島美嘉
中島美嘉

中島美嘉は幅広い層、そして海外のファンからも愛されている名バラード「ORION」をしっとりと、そして情感豊かに歌う。しかし「ALL HANDS TOGETHER」では一転。アグレッシブに歌い、最後はこぶしを突き上げる、“動”の彼女を楽しむことができる。

CHEMISTRY
CHEMISTRY
平井堅
平井堅

CHEMISTRYは「PIECES OF A DREAM」で、改めて、二人の声が交錯して生まれるまさに美しい“化学反応”を感じさせてくれる。グルーヴが気持ちいい「ユメノツヅキ」は、そのハーモニーがさらにグルーヴを極上のものにしてくれる。「POP STAR」をマスコットを従え、踊りながら歌う平井堅は、まさにキラキラのポップスターだ。しかし「魔法って言っていいかな?」では、名手・石成正人がつま弾く素晴らしいアコースティックギターに乗せ、静かにそして時に強く、この切ないバラードを歌い、そのメリハリの大きさに引きつけられる。

ゴスペラーズ
ゴスペラーズ
久保田利伸
久保田利伸

昨年デビュー25周年を迎えたゴスペラーズの「永遠(とわ)に」は、聴くたびに深く“深化”し、芳醇な歌になっている。ラストのマイクなしで歌うその歌声は胸に迫る。続いてアカペラで披露した「いろは」は、5人それぞれの声質を楽しむことができ、それが重なりできあがる美しいハーモニーを堪能できる。久保田利伸のライヴは、誰もが一度は観た方がいい最高のエンタテイメントショウだ。おなじみの「LA・LA・LA LOVE SONG」は、よりソウルフルでファンキーになり、自然に体が動いてくる。メロウなイントロから引き込まれる「Wednesday Lounge」は、グルーヴィ―でカッコよく、そして心地よくていつまでも聴いていたいと思わせてくれる。圧巻の歌は圧倒的な親近感がある。それが久保田利伸の強さだ。

TUBE
TUBE
渡辺美里
渡辺美里

夏になると聴きたくなるTUBEは、そんな思いに応えるように「夏を待ちきれなくて」からスタート。前田亘輝の変わらないパンチのあるボーカルと、春畑道哉のギターの音色の相性に、改めて感動させられる。「涙を虹に」はスタジアムライヴらしいド派手な演出を楽しむことができる。渡辺美里はフルオーケストラをバックに「My Revolution-第2章-」を披露。オーケストラが作り出す音圧に負けない、いやそれを上回るスケールの大きなボーカルで、“繊細”に歌を伝える。素晴らしい表現力。TUBE同様、スタジアムライヴで気球に乗って歌う「GROWIN’ UP」には、元気を与えられる人が多いはずだ。

鈴木雅之
鈴木雅之
小田和正
小田和正

“ラブソングの王様”・鈴木雅之のライヴは、ゴージャスでハッピーでメロウで、そして渋くてクールで、歌を聴き手の心の深いところまで届けてくれる。ここでは「違う、そうじゃない」「め組の人」という、ライヴでは欠かせない2曲をチョイス。フルライヴが観たくなるはずだ。そしては、トリは小田和正。まずはオフコース時代の名曲「YES-YES-YES」をいつものように、客席の間を縫うように作られている花道を走りながら歌う。小田のライヴは何度か観ているが、この曲を客席全員で歌う時は誰もが感動して、涙を流しながら歌っているファンも多い。2曲目の「明日」は、明日という“希望”を感じさせてくれるこの企画のラストに相応しい一曲だ。

広末涼子は「やっぱり歌の力って強いパワーがあって元気をもらえます。最後の小田さんの歌は心に響いて、胸がぐっと締め付けられるような感動を頂きました。どこかで毎日のようにライヴやイベントが開催されていて、みんながひとつになるあのライヴの一体感。それが当たり前のようだったんだけれども、今となってはそれがとっても貴重で、大切な一瞬一瞬だったんだなというのを感じさせてもらいました」と、音楽のチカラを再確認していた。

まさに140分のシアワセな“響演”。ここまで多幸感を感じさせてくれるコンテンツを、観ない手はない。

<セットリスト>

■宇多田ヒカル

M1. あなた 『Hikaru Utada Laughter in the Dark Tour 2018』2018.12.9 幕張メッセ国際展示場

M2. Play A Love Song 『Hikaru Utada Laughter in the Dark Tour 2018』2018.12.9 幕張メッセ国際展示場

■Uru

M3. プロローグ 『Uru Live T.T.T 』2019.3.10 TOKYO DOME CITY HALL

M4. あなたがいることで Premium Studio Live Sony Music Studios Tokyo

■いきものがかり

M5. ありがとう 『超いきものまつり2016 地元でSHOW!! ~厚木でしょー!!!~』2016.9.11 厚木市荻野運動公園

M6. ブルーバード 『いきものがかりの みなさん、こんにつあー!! 2015 ~ FUN! FUN! FANFARE! ~』2015.7.11 横浜アリーナ

■JUJU

M7. 奇跡を望むなら… 『JUJU BEST STORY ARENA TOUR 2013』2013.6.21国立代々木競技場第一体育館

M8. やさしさで溢れるように 『JUJU BEST STORY ARENA TOUR 2013』2013.6.21国立代々木競技場第一体育館

■中島美嘉

M9. ORION 『GREATEST LIVE ~LIVE BEST SELECTION 2003~2017~』2016.12.25 台湾TICC

M10. ALL HANDS TOGETHER 『MIKA NAKASHIMA CONCERT TOUR 2015 “THE BEST” DEARS&TEARS』2015.6.9 Bunkamuraオーチャードホール

■CHEMISTRY

M11. PIECES OF A DREAM 『CHEMISTRY LIVE TOUR 2017-18「Windy」ファイナル公演』2018.3.7 Bunkamuraオーチャードホール M12. ユメノツヅキ 『CHEMISTRY LIVE TOUR 2017-18「Windy」ファイナル公演』2018.3.7 Bunkamuraオーチャードホール

■平井 堅

M13. POP STAR 『Ken Hirai 20th Anniversary Special!! Live Tour 2016』2016.5.8 国立代々木競技場第一体育館

M14. 魔法って言っていいかな? 『Ken Hirai 20th Anniversary Special!! Live Tour 2016』2016.5.8 国立代々木競技場第一体育館

■ゴスペラーズ

M15. 永遠(とわ)に 『ゴスペラーズ坂ツアー2018~2019 “What The World Needs Now”』2018.12.25 東京国際フォーラム ホールA

M16. いろは 『ゴスペラーズ坂ツアー2014~2015“G20”』2015.5.23 東京・中野サンプラザホール

■久保田利伸

M17. LA・LA・LA LOVE SONG 『TOSHINOBU KUBOTA CONCERT TOUR 2015 “L.O.K Supa Dupa”』2015.10.4 国立代々木競技場第一体育館

M18. Wednesday Lounge 『25th Anniversary Toshinobu Kubota Concert Tour 2012 “Party ain’t A Party!”』2012.1.21/22 国立代々木競技場第一体育館

■TUBE

M19. 夏を待ちきれなくて 『TUBE LIVE AROUND SPECIAL 2010 Surprise!』2010.08.21 横浜スタジアム

M20. 涙を虹に 『TUBE LIVE AROUND SPECIAL 2010 Surprise!』2010.08.21 横浜スタジアム

■渡辺美里

M21. My Revolution-第2章- 『misato‘99春 うたの木』1999.5.28 Bunkamuraオーチャードホール

M22. GROWIN’ UP 『MISATO V20 スタジアム伝説~最終章~NO SIDE』2005.8.6 インボイスSEIBUドーム

■鈴木雅之

M23. 違う、そうじゃない 『masayuki suzuki taste of martini tour 2016 step1.2.3 ~ dolce Lovers ~』2016.9.22 Bunkamuraオーチャードホール

M24. め組のひと 『masayuki suzuki taste of martini tour 2016 step1.2.3 ~ dolce Lovers ~』2016.9.22 Bunkamuraオーチャードホール

■小田和正 

M25. YES-YES-YES 『Kazumasa Oda Tour 2019 ENCORE!! ENCORE!! in さいたまスーパーアリーナ』

M26.「明日」『Kazumasa Oda Tour 2019 ENCORE!! ENCORE!! in さいたまスーパーアリーナ』

音楽&エンタメアナリスト

オリコン入社後、音楽業界誌編集、雑誌『ORICON STYLE』(オリスタ)、WEBサイト『ORICON STYLE』編集長を歴任し、音楽&エンタテインメントシーンの最前線に立つこと20余年。音楽業界、エンタメ業界の豊富な人脈を駆使して情報収集し、アーティスト、タレントの魅力や、シーンのヒット分析記事も多数執筆。現在は音楽&エンタメエディター/ライターとして多方面で執筆中。

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