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加藤ミリヤ 「THE FIRST TAKE」であの名曲と改めて向き合い、生まれた名演、深化した歌

田中久勝音楽&エンタメアナリスト
写真提供 ソニー・ミュージックレーベルズ/ソニー・ミュージックレコーズ(以下同)

名曲「Aitai」が「Aitai- From THE FIRST TAKE」として配信スタート

今話題のYouTubeチャンネル「THE FIRST TAKE」は、マイク一本が置かれたスタジオで、アーティストが緊迫感の中で歌と向き合い、パフォーマンスするその一部始終を“一発撮り”したコンテンツだ。剥き出しの歌から伝わるその作品の“本性”、そしてアーティストの人間性、観ている側はその“臨場感”に、これまで感じた事がない感情を抱き、それが評判となり、スタートからわずか8か月で登録者数が124万人(6月18日現在)という人気チャンネルに成長した。

「Aitai - From THE FIRST TAKE」(6月19日配信スタート)
「Aitai - From THE FIRST TAKE」(6月19日配信スタート)
「ほんとの僕を知って - From THE FIRST TAKE」(6月19日配信スタート)
「ほんとの僕を知って - From THE FIRST TAKE」(6月19日配信スタート)

この企画がスタートしたのは、2019年11月。その11回目、12月27日に公開されたのが、昨年デビュー15周年を迎えた加藤ミリヤだ。そこで披露した彼女の代表曲のひとつ「Aitai」が、大きな反響を呼び、配信から約6か月経った今もそのコメント欄には、多くのメッセージが寄せられている。その「Aitai」が、6月19日に「Aitai- From THE FIRST TAKE」として配信された。さらに、加藤が今年1月、「THE FIRST TAKE」に2回目に登場した際に披露した「ほんとの僕を知って- From THE FIRST TAKE」も、同時に配信された。2曲共ハイレゾ音源も配信されることが決定しており、その“生々しさ”をよりダイレクトに感じることができるはずだ。

オリジナル音源とも、ライヴ音源とも違う「THE FIRST TAKE」シリーズに集まる注目

「THE FIRST TAKE」からの音源配信は、4月29日にDISH//(北村匠海)「猫」の映像を音源化した「猫~THE FIRST TAKE ver.~」が配信され、LINE MUSICで1位を獲得し、総ストリーミング再生数が配信開始からわずか一か月半で1000万回を達成、さらに2018年に配信したオリジナルの「猫」もあわせて総再生数2500万回を突破するなど、各サブスクリプション配信サービスで大ヒットを記録している。「THE FIRST TAKE」発の音源は、オリジナル音源とも、ライヴ音源とも違う、そのアーティストの魅力に新たな側面から光を当てる、ひと味違う音源として、注目が集まりそうだ。

昨年発売したベスト盤に「Aitai with 清塚信也」として収録

アルバム『Ring』(2009年7月8日発売)
アルバム『Ring』(2009年7月8日発売)

「Aitai」は、アルバム『Ring』(2009年7月8日発売)に収録されている楽曲で、発売当時も70万DLを記録し、着うたのみの累計でも330万DLを記録している人気曲だ。さらにストリーミングが主流になった現代でも累計ストリーミング再生回数は3274万回と伸ばしている。昨年11月に発売された、15周年記念のベストアルバム『M BEST II』の“BALLAD SIDE”に、「Aitai with 清塚信也」として収録されていて、今注目を集めているピアニスト・清塚信也の手によるピアノアレンジで、同曲がまた違う表情を見せている。

「『Aitai』は、好きで嫌いな曲」

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彼女が「THE FIRST TAKE」で見せた「Aitai」のパフォーマンスも、ピアノ一本と歌だけというシンプルなスタイル。この時のピアノは、加藤の盟友であり、久保田利伸やAI、DA PUMP、堂本剛=ENDRECHERI等、数々のアーティストのライヴサポートやアレンジを手掛けるキーボーディスト・GAKUSHIだ。そのパフォーマンスを振り返ってみると――。

彼女の「感情」と、素晴らしい音色から感じるピアノの「感情」とが交錯して、大きな感動が生まれる「THE FIRST TAKE」

無機質なスタジオでイスに座り、マイクと向き合う加藤は「何百回も歌っている曲ですが、今日は特別な気持ちで歌わせていただきます。好きで嫌いな曲です、『Aitai』」と、同曲を深い愛情を込め紹介すると、GAKUSHIのピアノに導かれ歌い始める。ライヴではダンスなど動きのある観せるパフォーマンスで盛り上がる加藤だが、この“一発撮り”では、静かにそして深く歌と向き合う。

繊細かつ情感あふれる表現力で、ひと言ひと言を紡いでいく。発売当時の「Aitai」は、若さゆえのもどかしさを、前面に押し出した中に流れる切なさが多くの人の涙を誘ったが、今回の「Aitai」では、年を重ね変わってきた一人の女性の恋愛観や価値観、キャリアを重ね手にした歌への思い、その全てが込められ、圧倒的な切なさの中に力強さ、逞しさを感じさせてくれる。もちろん瑞々しさは色褪せていない。その独特のビブラートは、まるで聴き手の心のひだひとつひとつにまで響いてくるようで、心を揺さぶられる。彼女の「感情」と、素晴らしい音色から感じるピアノの「感情」とが交錯して、大きな感動が生まれる。

「声の震わせ方とか語尾とか吐息の混ぜ方とかの繊細さがたまらなく響いてくる」「ピアノの伴奏が始まった瞬間に、ミリヤの顔つきが変わるの見てて歌に入り込んでるんだなってすごい伝わってくる。表情、声、歌い方全部に胸が締め付けられてものすごく苦しくなった」「歌が泣いてるみたいでめっちゃ感情移入してしまう」「ミリヤの歌声は透き通っていて、ブレスさえも気持ちを込めていて心の片隅のモヤモヤが浄化されていくような感じになります」など、感動した視聴者から多くのコメントが寄せられている。人の心に訴え続けてきたシンガーの、深く“深化”した歌が人の心を打ち抜いた瞬間を捉えている。

6月19日“Mステ”に清塚信也と出演し「Aitai with 清塚信也」を披露

加藤は6月19日放送の『ミュージックステーション』(テレビ朝日系/21時~)に清塚信也と共に出演し、「Aitai with 清塚信也」を披露する。また、自身の誕生日である6月22日には今年2月以来となるパフォーマンス、オンラインライヴ『MILIYAH BIRTHDAY BASH LIVE 2020』を行う。このライヴは、有料配信ライヴ番組『SUPERLIVE by OPENREC』の第1弾として、CyberZの動画プラットフォーム「OPENREC.tv」を通して生配信される。

加藤ミリヤ オフィシャルサイト

音楽&エンタメアナリスト

オリコン入社後、音楽業界誌編集、雑誌『ORICON STYLE』(オリスタ)、WEBサイト『ORICON STYLE』編集長を歴任し、音楽&エンタテインメントシーンの最前線に立つこと20余年。音楽業界、エンタメ業界の豊富な人脈を駆使して情報収集し、アーティスト、タレントの魅力や、シーンのヒット分析記事も多数執筆。現在は音楽&エンタメエディター/ライターとして多方面で執筆中。

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