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矢井田瞳 20周年で“原点”と“現在”を映す3曲を歌う「これからも色々な形で色々な音楽を楽しみたい」

田中久勝音楽&エンタメアナリスト
写真提供/BS-TBS

2月8日に20周年記念ツアー『Keep Going』をスタートさせた、“yaiko”の愛称でおなじみのシンガー・ソングライターの矢井田瞳が、“時を超えた、ここでしか聴くことの出来ないサウンド”がコンセプトの音楽番組『Sound Inn “S”』に登場。その「原点」と「現在」を映し出す3曲を、3人の音楽プロデューサーのアレンジでセッションし、変わらない思いと変わった思いを、深く深化した歌に込め、聴かせてくれた。

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まずは彼女の代名詞ともいえる一曲「my sweet darlin’」(2001年) をギタリスト/アレンジャー佐々木貴之のアレンジで披露。憧れのアーティストとのセッションで、テンションが高めの佐々木が作り上げたアレンジは、矢井田が「エレキ3本は初めて」という、ギターをメインに、ホーンセクション、ストリングスを含む総勢15名のビッグバンドが紡ぐ、ゴージャスでカラフルなサウンドが印象的だ。矢井田の変わらないパンチのあるハイトーンボイスは瑞々しく、名曲の最新系を楽しむことができる。

原点はスナック!?

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矢井田が自身の音楽のルーツを辿るコーナーでは、今女性に大人気のスナックを訪ねる。彼女は幼い頃、父親に連れられよくスナックを訪れたという。そこで「大人たちが歌う人生や恋の歌を意味がわからないながらも聴くのが大好きだった」という彼女は、そんな大人の歌を覚え、歌うことが表現者としての原点になっている。中でも父親が歌うフォークソングが特にお気に入りだったといい、この日2曲目に選んだのははしだのりひことシューベルツの「風」(1969年)だ。

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アレンジは坂本昌之。温かでクールなアレンジに乗せ、フォークの名曲を愛おしそうに歌った。「70年代にタイムスリップしたような不思議な気分で、自然といつもの唄い方とは変わったような気がいたします。サウンドが新しい私の声を引き出してくれた感じです」と、自身の歌に新たな発見もあったようだ。

「音楽で苦しんでいる時も、助けてくれたのは音楽だった」

矢井田は2000年にデビューし、すぐに「my sweet darin’」の大ヒットでブレイクし、順調にミュージシャン人生を送っていたように見えたが、「5~6年目で自分の中で限界を感じていた」と壁にぶち当たり、苦悩したことを吐露するシーンも。「考えすぎて」落ち込んで時期もあったが、周りや先輩のミュージシャンに「音楽ってそもそも楽しいものじゃんということを思い出させてもらえて」、気が楽になり立ち直ることができた。「音楽で苦しんでいる時も、助けてくれたのは音楽だった」と、20年間歩んできた道を改めて振り返っていた。

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「Over The Distance」(2001年)は、笹路正徳のどこまでも美しいアレンジが、この曲のメロディの素晴らしさを最大限に引き出し、「とても贅沢な気持ちで歌えました」と本人が語っているように、素晴らしい表現力で胸に響く歌を聴かせてくれる。

「これからも色々な形で色々な音楽を楽しみたい」

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全てのセッションを終えた矢井田は「全くカラーが違う3曲で、一曲ごとに違う気持ちになれた濃厚なセッションだった」と語り、20年間歌い続けてきたからこその表現、そこから滲み出る思いをきちんと歌に乗せ、伝えることができるそのすべをしっかりと見せてくれている。今後を聞かれた彼女は「誰かと一緒に曲を作ったり、ライヴのスタイルも色々と楽しみたいし、色々な形で様々な音楽を楽しみたい」と、これからはしなやかに楽しみ、そして新人のような新鮮な気持ちで、音楽に取り組んでいくという強い意志を感じさせてくれた。

矢井田瞳と3人のアレンジャーとの一夜限りのセッションは、2月15日(土)オンエアの『Sound Inn “S”』(BS-TBS/18時30分~)で楽しむことができる。

BS-TBS『Sound Inn “S”』オフィシャルサイト

音楽&エンタメアナリスト

オリコン入社後、音楽業界誌編集、雑誌『ORICON STYLE』(オリスタ)、WEBサイト『ORICON STYLE』編集長を歴任し、音楽&エンタテインメントシーンの最前線に立つこと20余年。音楽業界、エンタメ業界の豊富な人脈を駆使して情報収集し、アーティスト、タレントの魅力や、シーンのヒット分析記事も多数執筆。現在は音楽&エンタメエディター/ライターとして多方面で執筆中。

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