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いきものがかり・山下穂尊 バンドの“現在”と、開催目前『米百俵フェス』への思いを語る

田中久勝音楽&エンタメアナリスト
Photo/堀 清香

『長岡 米百俵フェス』10月12,13日開催

2018年
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今年第2回目を迎える“米フェス”、『長岡 米百俵フェス ~花火と食と音楽と~ 2019』(2019年10月12日(土)13日(日) 新潟県長岡市・東山ファミリーランド)に、いきものがかりが出演する。いきものがかりの音楽フェスへの出演は、「ROCK IN JAPAN FESTIVAL 2016」以来3年ぶりで、昨年の集牧(活動再開)後、初となり注目が集まっている。メンバーの山下穂尊は、昨年同フェスのスペシャルナビゲーターとして、その魅力を各方面に発信し、テーマソング「輝き」を書き下ろした。今年も全面的にサポートすると同時に、出演者としてステージに立つ。第1回目を経て、今年の米フェスには何を期待し、どんな思いを抱いているのか、そしていきものがかりの現在と、ステージに立つ意気込みを聞かせてもらった。

「第1回目の去年は、全員が手探り状態だったけど、ちゃんとゴールでき、成功だったと思う」

――まずは昨年の第1回目の『米フェス』を振り返っていただけますか。

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山下 去年はガッツリ関わらせていただいて、1回目ということで、みんな手探りの中ではありましたが、ちゃんとゴールできたと思っています。長岡といえば花火大会というほど全国的に有名で、毎年何十万人という人が訪れることもあって、大勢の人をうまくさばけるノウハウは持っていて、でもフェスはやったことがないので、どうなるんだろうと思っていました。その部分も概ね問題なく、若い人はもちろん、ファミリーのお客さんも多く、理想的だったと思います。とはいえ色々な課題も出てきて、それは出てきてなんぼだと思っていたので、改善できることは早速反映させます。去年は台風も逸れてくれて、天候にも恵まれたので、成功だったといっていいと思います。

――去年はいきものがかりが“放牧中”というタイミングでしたね。

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山下 すごくタイミングもよかったと個人的には思っていて、じゃないとたぶんあそこまでの関わり方は難しいと思うんですよね。フェスをゼロから作るという機会にたずさわれることなんてなかなかないので、そういう意味では新鮮でした。

「ストイックな感じのフェスとは一線を画すというか、もっとのんびりとお祭りを楽しむ感覚で来て欲しい」

――長岡といえば花火大会と「米フェス」という風になるといいですよね。

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山下 長岡の人は地元愛がすごく強いし、このフェスが定着していって、地元の誇れるものになって欲しいです。継続していって、花火とフェスが長岡の文化のひとつになるといいですよね。そうなってくると、フェスに出ることが、ある程度ステータスになって、アーティストのみなさんからも、出たいって言ってもらえるようになるといいなと思います。もちろんライヴがメインではありますが、それ以外でも“花火と食と音楽”というキャッチフレーズ通り、お祭りに来るような感覚でみなさんに来ていただきたいです。親戚の集まりに顔を出すというか、そんなスタンスでいいと思います(笑)

――市民祭りの巨大版という感じですよね。

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山下 このアーティストを聴きにこの時間はこのステージに行こうって、ストイックな感じのフェスもあるけど、そういうフェスとは一線を画すというか。キャンプエリアもキッズパークもあって、子どもたちが走り回れる広い芝生もあるし、美味しい屋台もたくさん出店してくれているし、他とは規模が違う花火を観ることができるし、とにかくのんびり過ごして欲しいです。その方が独自性が出ると思っています。

「まずは長岡への恩返しのようなつもりでステージに立ちたい。そして“ド真ん中”なライヴで、みんなが楽しさを共有できるようにしたい」

――今年はいきものがかりも出演するということで、久々のフェスでもあるし、集牧後ファンクラブツアーを行いましたが、一般のお客さんの前でのライヴは久しぶりで、今どんな心持ちですか?

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山下 長岡では、いきものがかりの2012年のアリーナツアーで、アオーレ長岡アリーナという会場のこけら落とし公演をやっていますが、そのことを長岡の人達がすごく覚えていてくれて、去年色々な人からそれを言われました。そんなに覚えていてくれたことに逆にビックリして、その恩返しのような気持ちで、今回ライヴができればいいのかなと思っています。フェスなので、みなさん僕達のライヴだけを観に来るわけではないので、できるだけ“ド真ん中な”ライヴをやった方がいいのかなと。セットリストはまだ具体的に決まっていないですが(取材日は8月末)、新曲を並べるとか、そういう感じにはならないと思うし、老若男女、ファミリーに楽しんでもらいたいので、あれとあれはやるよね、という感じです(笑)。2016年に「ROCK IN JAPAN FES」に出演した時の経験が生かせるというか、フェスって結局誰かひとりを観に来ていないという意味では、みんなが一応知ってくれているものを演奏して、みんなが共有できる楽しさというのはすごく感じました。そこはメンバーもスタッフも同じ気持ちです。それからミュージシャンも、本間昭光さんをはじめ、いつも支えてくれている皆さんが後ろでドンと構えてくれていますので、それは非常に力強いですし、浮足立つことなく、安心してできるライヴだと思っています。みなさんにはハウスバンドの演奏も楽しんで欲しいです。本間さんと島田(昌典)さんが同じステージで演奏するのは貴重です。

「いきものがかりは、自然体でやっていく方がいい。それぞれ違うベクトルがあることで、いきものがかりとしてもさらにいいものができると思う」

――米フェスへの出演をきっかけに、いきものがかりもエンジン全開、という感じになりそうですか?

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山下 エンジンをかけ始めたのが去年で、でもフルスロットルにしようという感覚ではないというか。それまでずっと3人でやってきて、でも一旦止まって、それぞれでやってみたいたいことをやってきて、その良さももちろんあるので、それを無下にしたくないし。そういう意味では、3人でも活動するし、それぞれでも活動するということを、自然体でやっていく方がいいのかなというのが、今の感じですね。僕はいきものがかりとしても関わるけど、個人としてもこのフェスに関わっていくし。3人で10年以上やってきて、それぞれ違うベクトルがあることで、いきものがかりとしても、さらにいいものができるというところがあると思います。ニュートラルでいいと思います。

――山下さんが書き下ろしたこのフェスのテーマソング「輝き」を、小学生たちの合唱を流しながら花火を観るというのが感動的でした。

山下 今年も地元の小学生に学校で歌ってもらったものを録って、それを去年と同様に流しながら花火を打ち上げます。小学生には毎年の楽しみにして欲しいですし、この歌が長岡の子どもたちに根付いて欲しいですね。音楽って作り手の手を離れていって、それが受け手の中で大きなものになることもあるので、そうなってくれると作り手冥利に尽きます。

「このフェスは『紅白歌合戦』のような感じが理想。音楽がずっと流れていて、それぞれがやりたいことをやる感覚でいいと思う」

――今年もバンド、ソロ、アイドル、HIP-HOP、フォーク、演歌、韓国のミュージカルスターで構成されたグループetc.と、魅力的なアーティストが揃いました。

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山下 幅広いです。小学生がここで初めてHIP-HOPを聴いて、影響を受けるかもしれないですし、ある意味「紅白歌合戦」じゃないですけど、あの感じが理想的だと思っていて。大晦日、家のテレビで紅白が流れていて、観たい人はずっと観ているし、お目当てのアーティストの登場を待ちながら、違う事をしている人もいて、ご飯を食べている人は食べているけど、何か音楽が聴こえてるくらいの感じの方がみんな集まりやすいと思うし。さっきも出ましたけど、音楽だけを楽しまなくてもいいフェスだと思うので、いい音楽をBGMに美味しいものを食べて、雰囲気を楽しむ、そういう感覚でいいと思います。

――小学生以下は無料ですね。

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山下 これが推しです(笑)。だからこそ縁日みたいな感じのフェスになればいいなと思っています。チケットに関してもまだまだ考える余地があると思うし、例えば思い切りキャンプを目的に来ていただいてもいいですし、スキー場で広大なスペースなので、まだまだこれから色々な可能性が考えられる場所、フェスです。無理をせず、少しずつ進化、発展していって欲しい。

<出演者> ※五十音順

■10月12日(土)

KICK THE CAN CREW、きゃりーぱみゅぱみゅ、サンプラザ中野くん、DISH//、BIGMAMA、ひなた、日向坂46、南こうせつ、横山だいすけ、wacci /MC:加藤諒、楠雄二朗/U.K.

■10月13日(日)

天月-あまつき-、いきものがかり、K-Musical Stars、琴音、C&K、TEAM SHACHI、DUBFORCE、つるの剛士、中澤卓也、BILLIE IDLE(R)、小林幸子(スペシャルゲスト)with 中川翔子 /MC:ファーストサマーウイカ、楠雄二朗/U.K.

『長岡 米百俵フェス』オフィシャルサイト

音楽&エンタメアナリスト

オリコン入社後、音楽業界誌編集、雑誌『ORICON STYLE』(オリスタ)、WEBサイト『ORICON STYLE』編集長を歴任し、音楽&エンタテインメントシーンの最前線に立つこと20余年。音楽業界、エンタメ業界の豊富な人脈を駆使して情報収集し、アーティスト、タレントの魅力や、シーンのヒット分析記事も多数執筆。現在は音楽&エンタメエディター/ライターとして多方面で執筆中。

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