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NYから再び日本へ――歌い続けることで“希望”を見いだしたTiAが、再びメジャーシーンへ

田中久勝音楽&エンタメアナリスト
写真提供/アリオラジャパン

『THEカラオケ★バトル』で再び注目を集める

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3月6日にテレビ東京で放送された『THEカラオケ★バトル』“最強女子ボーカリストカップ”は、ジャンルも歌のスタイルも違う8人の女性ボーカリストの、見応えある戦いが話題になった。惜しくも優勝を逃したものの、“NYハーレム暮らしのゴスペルQUEEN”というキャッチフレーズで紹介され、MISIAの「アイノカタチ feat.HIDE(GReeeeN)」とBENI「見えないスタート」を歌った、TiAへの反響はSNS上でも大きかった。テクニックはもちろんだが、その圧倒的な「伝える」力に、感動した人が多かった。TiAは2017年にもこの番組に出演し、その圧巻の歌で、司会の堺正章を始め、その場にいる全ての人、そして視聴者を釘付けにした。

デビュー15周年、再びメジャーシーンへ

そんなTiAが今年デビュー15周年を迎え、約7年半ぶりのフルアルバム『MIRACLE』を、6月5日、古巣のソニー・ミュージックレーベルズ<アリオラジャパン>から発売するというニュースが飛び込んできた。歌い続けることで、再びメジャーシーンに帰ってきたTiAのストーリーを、少し紹介したい。

デビュー10年目、もう歌から離れようと渡米。しかし、歌うことの楽しさを再び感じ、歌から離れられなくなる

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現在31歳のTiAは、2004年、16歳の時に自作の「Every Time」でエピックレコードからメジャーデビューした。2ndシングル「流星」が、人気アニメ『NARUTO』の主題歌に抜擢されるなど、大きな注目を集める存在になった。順調にキャリアを重ねていたが、デビュー10周年を迎えた2014年、自身の方向性に悩んだ末に単身渡米。一昨年インタビューした際に、この時のことについて「歌う事が楽しくなくなり、絶望感とどん底感を抱え、10年という区切りで、大きく変わりたかったし、日本にいたくないと思った。変わるというのが、歌いたいという自分に変わるのではなく、歌わない人生を選ぶためにニューヨークに行きました」と語っている。しかしニューヨークのハーレムで、ゴスペルミュージックと出会ったことで、歌うことの楽しさを再び感じた彼女のシンガーとしての魂に火が付いた。2015年、配信シングル「I’m On My Way」でワールドワイドデビューすると、2016年にアメリカ最大級のゴスペル大会「マクドナルド・ゴスペル・フェスト」のグループ部門で、日本人初優勝を果たしたほか、その後も数々のコンテストやオープンマイクなどで優勝し、ニューヨークにその名を轟かせた。

「歌を辞めようって言っていた事がバカバカとしいとさえ思えて。ある人から「Trust Your Gift」と言われ、あなたのギフトを信じなさい、あなたの持っているものはあなたにしかないのだから、それを信じてください、「Trust myself」、自分自身を信じることが大切と言われた事が、一番心に響きました。そういうことを今まで思ったことがないし、自分の事を信じてあげるとか、自分の歌声に感謝する事をしてこなかったのかなって」――TiAに光が差した瞬間だった。

昨年、東京で“凱旋ライヴ”を行い、自身が通う教会のゴスペルクワイアと共演

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完全に覚醒したTiAは、昨年夏には全米15都市30公演のツアーを行い、成功させ「ニューヨーク・タイムズ」にも紹介された。昨年10月4日、そんなTiAの“凱旋ライヴ”『New York to JAPAN TiA Concert 2018〜Reach Week in Tokyo〜』(TOKYO FMホール)を観たが、TiAがニューヨークで通っている教会のゴスペルクワイアのメンバーも登場し、まさに圧巻のパフォーマンス。心が自然に躍り、歌の力に心を打ち抜かれた。エネルギーを与えてくれ、多幸感あふれる時間だった。

7年半ぶりのフルアルバム『MIRACLE』を、6月5日に発売

華々しいデビューと挫折。しかし歌い続けることで、様々な人々と出会い、その人達と幸せを分かち合うことで、TiAの人生は豊かになり、その歌はますます説得力を増し、聴いた人全てに感動を与える。7年半ぶりのオリジナルフルアルバム『MIRACLE』(初回生産限定盤はベストアルバム付きCD2枚組)には、オリジナル曲をメインに、ゴスペルの名曲カバーまで10曲、今のTiAにしかできない、TiAにしか歌えない、TiAだけのカラーがつまっている。自らの手で“MIRACLE”を引き寄せたTiAの奇跡の歌声を楽しみたい。

TiA オフィシャルサイト

音楽&エンタメアナリスト

オリコン入社後、音楽業界誌編集、雑誌『ORICON STYLE』(オリスタ)、WEBサイト『ORICON STYLE』編集長を歴任し、音楽&エンタテインメントシーンの最前線に立つこと20余年。音楽業界、エンタメ業界の豊富な人脈を駆使して情報収集し、アーティスト、タレントの魅力や、シーンのヒット分析記事も多数執筆。現在は音楽&エンタメエディター/ライターとして多方面で執筆中。

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