愚直なまでにポップスと向き合い、進化を続けるShiggy Jr.が追求する、最高のポップスとは?

「自分達が一番強いところ、わかりやすいところを含めて得意なものを追求した」

『DANCE TO THE MUSIC』(12月5日発売/通常盤)
『DANCE TO THE MUSIC』(12月5日発売/通常盤)

突き抜けたポップネス――Shiggy Jr.(以下シギ―)の音楽に一貫して感じる、聴いた人全ての心を躍らせ、時に切なくさせる、“ハッピー”さがその正体ではないだろうか。そのハッピーさをさらに深化させた、2年ぶりのオリジナルアルバム『DANCE TO THE MUSIC』が12月5日に発売され、好調だ。ドラマ『僕らは奇跡でできている』(主演:高橋一生/カンテレ・フジテレビ系)のオープニング曲に起用された「ピュアなソルジャー」をはじめ、タイトル通り、彼らの原点でもあるダンスミュージック、ストリングスとホーンが華やかなグルーヴを作り上げる、ディスコポップスが詰まっている。昨年のレーベル移籍後、『SHUFFLE!! E.P.』(2017年11月)『KICK UP!! E.P.』(2018年5月23日)というEPを2作発表し、チャンレジと進化を続け、今回のアルバムへと到達した。池田智子(Vo)、 原田茂幸(Gt/Vo)、森夏彦(B)、諸石和馬(Dr)の4人に、この作品に込めた思いを聞いた。

「2枚のEPで変化球を投げたので、2年ぶりのオリジナルアルバムは、“今のShiggy Jr.のど真ん中”の音楽をやったらどうなるか意識した」(原田)

原田茂幸(G/Vo) Photo/田中聖太郎写真事務所
原田茂幸(G/Vo) Photo/田中聖太郎写真事務所

「シギー的には変化球的な曲たちが割といっぱい入ったEPを2枚出したので、どちらかというと、その2枚を経てきて、今のShiggy Jr.のど真ん中の音楽をやったらどうなるか、ということを意識しながら作りました。自分たちが一番強いところというか、一番わかりやすいところというか、元々の自分たちの姿じゃないけれど、そういうところも含めて得意なことをやってみようと」(原田)

全曲の作詞・曲を手がける、メロディメーカーの原田がいう「自分たちが一番のところ」とは、モータウンサウンド、ブルーアイドソウルそしてロックをルーツに独自のセンスを融合させ、キュートで破壊力抜群の池田のボーカルと相まって生まれる、思わず体が動いてしまうシギ―流ポップスだ。ではメンバーはそれぞれの立場から、“ポップス”というものを、どういうものとして捉えているのだろうか。

「みんなの共通項としてちゃんと機能できる曲が最高のポップス」(池田)

「ポップスは“大衆に愛されるもの”。自分の中にあるハードロックの魂は、スパイスとして加えていく」(諸石)

池田智子(Vo)
池田智子(Vo)
森夏彦(B)
森夏彦(B)
諸石和馬(Dr)
諸石和馬(Dr)

「やっぱり“キャッチーなもの”、一度聴くと耳に残って、一回で歌えるものだと思っています。その時に流行っているものがポピュラーミュージックだと思うので、時代によっても変わると思いますが、僕のイメージは“キャッチーでメロディが立っているもの”がポップスです」(原田) 。

「ずっと思っているのが、普段どんな音楽を聴いてる人にも、性別や年齢に関係なくこの曲が流れたら、みんなの共通項としてちゃんと機能できる曲っていうのが、最高のポップスだということです。だから定義がすごく広くて難しいのですが、そういうものが最高のポップスとしてあって、バンドとして常にそこを目指してやってきました。ボーカリストとしても、そういう姿勢で歌っています」(池田)。

「ポップスは“愛されるもの”、大衆に愛されるものというイメージです。だからそこからあまりはみ出し過ぎないように、ドラムも気をつけている部分もあります。ポップスは好きで、でもこのバンドに入る前は、過激なドラムを叩いていて高速プレイとか得意だったので(笑)、そういう部分は少しだけスパイス的に出します。でも基本的には“ポップスであろうとする”というスタンスでやっています」(諸石)。

「“一番わかりやすくて一番難しい”って気がします。あやふやで、わかりそうでわからないもの、という感じがしています。それは演奏していてもそうです。わかりやすくてもそれがいいとは限らないし、ポップって言われたから、それがいいものとは限らないし、本当に難しいというか。ポップスをきちんと演奏するだけでも難しいし、だからその成果がみんなから愛されるものだと思うし、それが魅力なのかなとも思います」(森)。

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様々な音楽性を持つメンバーが集まり、Shiggy Jr.というポップバンドは構成されている。原田は「サブスク世代なので、ルーツミュージックと言われるとなかなか絞れなくて難しいのですが、アース・ウインド&ファイアー、MR.BIGや山下達郎さんは好きでよく聴いていました」と言い、池田は、チャットモンチーを聴き、バンドでボーカルをやりたいと思い上京し、卒業後に偶然にも同じ大学だった原田と出会い、Shiggy Jr.を結成した。学生時代は、YUKIやaiko、浜崎あゆみなどのJ-POPを聴き、影響されているという。元々ポップスやブラックミュージックが好きだったが、周りに影響され、ハードロックバンドで活動していた諸石、その諸石と高校時代から一緒に音楽活動をしている森は、クイーンや相対性理論、フィッシュマンズなどを、ルーツミュージックとして挙げている。だからシギ―の音楽は多彩で、あらゆるサウンドを極上のポップスとして昇華させることができる。

そんな4人に、アルバム『DANCE TO THE MUSIC』の中から特に思い入れが強い曲を挙げてもらった。

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「やっぱり音源としては初めて全編自分で歌っている「you are my girl」は、自分で推さないといけないですよね(笑)。元々ライヴではたまに自分が歌うコーナーがあったので、アルバム的にも1曲くらい、俺が歌っている曲があってもいいかなと思って」(原田)。  

「女性が歌う男性目線の曲、その逆の、男性が歌う女性目線の曲も好きなので、「you are my girl」は個人的に大好きです。(原田)茂幸君が作って自分で歌っているという、間に何も挟まない強さみたいなものを感じるというか、ドーンってくるものがあります。やっぱり私が歌うのと茂幸君が歌うのとでは違うなって。ちょっと悔しいけど(笑)、でも曲も歌もいいから好きです」(池田)。  

「恥ずかしい(笑)」(原田)。

「「you~」も含めて全部推し曲ですが、リード曲の「ピュアなソルジャー」が、やっぱり思い入れが強いです。シギ―のシングルは恋愛の曲が多いのですが、「ピュアなソルジャー」は主人公に性別がないっていうか。主人公というよりは、私が私として歌える曲です。メッセージ性があって、世の中で頑張っている人、みんなのことを想像して歌っています。自分もその中の一人だと思うし、きっとみんなそれぞれの場所で、守るものや信じているものがあって、その中で傷ついたりしながら日々頑張っているはず。その息抜きやご褒美で、私たちのライヴに来てくれてる人もいるということを、お手紙で知ったり、ライヴで見る表情から教えてもらっています。私たちもそうだし、そういう思いが歌になっている気がして、みんなのことを照らせる曲になったらいいなと思いながら、歌いました」(池田)。

「シャンパンになりきれない私を」と「we are the future」は特にリピートして聴いている」(森)

「僕は「シャンパンになりきれない私を」です。ライトノベルっぽいというかドラマを観ているような歌詞で、情景が浮かんできて、トレンディな感じがするのがいい(笑)。男の妄想心をくすぐる歌詞が、この曲に限らず好きですね(笑)。アレンジも、スリリングな印象で響くホーンが、恋の駆け引きをスリリングに描く歌詞と合っていると思います。すごくバランスがいい曲で、踊れるし、ベースも納得のいく演奏ができたので(笑)、この曲と「we are the future」は、特にリピートして聴いています」(森)。

「僕は「looking for you」です。この曲はずっとライヴでやってきていて、最初にライヴでやってから、音源になった珍しいパターンの曲で、ライヴで温めてきた、泣かせどころでのバラードというところで、まず思い入れがあります。元々ロックバラードだったのが、今回、プロデューサーの釣(俊輔)さんのアレンジで、エレクトロなテイストが加わって。それまでの感じのドラムだと、雰囲気と乖離してしまうので、今回のレコーディングでは、冷たいけどちょっと人間味がある感じを出したかった。そういう意味で一番こだわって音を作った曲なので、思い入れが強いです」(諸石)。

年明けから『Shiggy Jr. LIVE TOUR 2019-DANCE TO THE MUSIC-』がスタート。「ライヴ映えする曲が多いので、ダンスミュージックを皆さんと楽しんで、幸せな気持ちを共有したい」(池田)

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年明けからは『Shiggy Jr. LIVE TOUR 2019-DANCE TO THE MUSIC-』がスタートする。このアルバムの世界観とメッセージをさらに深く伝え、シギ―の現在地をしっかりとファンに見せ、同時に、向かうべき「次」の場所を提示する場でもある。

「割とライヴ映えする曲が多いから、やり様がすごくあるなって思っていて、楽しみです。リリースツアーと銘打つものは久しぶりだし、ダンスミュージックを皆さんと楽しんで、幸せな気持ちを共有したいです」(池田)。

Shiggy Jr. オフィシャルサイト