溢れる郷土愛――開催目前、『長岡 米百俵フェス』総合Pが語る、乱立時代に“勝てる”フェスの条件

「未来への投資の大切さが、長岡に昔から脈々と受け継がれてきた精神」

今年からスタートする“一番新しいフェス“『長岡 米百俵フェス~花火と食と音楽と~ 2018』(10月6日、7日/新潟県長岡市・東山ファミリーランド 以下『米フェス』)。ネーミング通り、長岡といえばの花火と、新潟県の食と酒、そして2日間で23組(【10月6日(土)】NGT48、神田莉緒香、岸谷香、GLIM SPANKY、琴音、サンプラザ中野くん&パッパラー河合、にゃんぞぬデシ、BEGIN、BIGMAMA、藤木直人、FLOW、wacci【10月7日(日)】いとうせいこう is the poet、Creepy Nuts、Shiggy Jr.、JUNNA、東京パフォーマンスドール、ねごと、ひなた、平原綾香、杏子/スキマスイッチ/松室政哉 from 福耳、安田レイ、横山だいすけ、渡辺美里)の多彩なアーティストが共演する、日本で一番ハッピーで、快適なフェスを目指している。そこで記念すべき第1回目を目前に、このフェスのキーマン3組に登場してもらい、「花火」「音楽」「食」について詳しく話を聞いた。

(株)キューブ代表取締役社長・北牧裕幸氏
(株)キューブ代表取締役社長・北牧裕幸氏

第1回目のスペシャル・ナビゲーターいきものがかり・山下穂尊とモデル/女優の長井短第2回目の、今回の音楽監督を務める、日本を代表する音楽プロデューサー・本間昭光と島田昌典に続いて、このフェスの立ち上げの中心人物で、総合プロデューサーであり、いきものがかかり、藤木直人、古田新太、中越典子を始め、数多くのアーティスト、俳優が所属するプロダクション、株式会社キューブ代表取締役の北牧裕幸氏が登場。北牧氏は長岡市出身。行政を始め、長岡を愛する多くの市民からの「長岡でフェスを」という声を受け、動いた。フェス乱立時代の中で“勝てる”フェスを目指す。長岡といえばなんといっても日本有数の豪華な花火、美味しい食べものの宝庫でもある。そして音楽は豪華J-POPアーティストが顔を揃え、3本の柱、どれもがメインの、ファミリー向けのフェスを立ち上げた。その経緯と狙い、魅力を北牧氏に聞いた。

「長岡市民のフェスをやりたいという声、熱意に心が動かされた」

ーーいつかはフェスをやりたいという思いがあったのでしょうか?

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北牧 今年、長岡開府400周年という記念の年ということで、さらに盛り上げたいので何かイベントやりたいという話が、市長はじめ市役所幹部の方たちからあって、手伝って欲しいと言われていました。それから長岡市の方たちと毎月のように打合せをしていくうちに、フェスがやりたいという話が出てきました。私としては、フェスはもう全国どこででもやっていて、後発になるし、実は腰が引けていました。でも市民の声を聞くとみんな音楽フェスをやりたいと。その熱意に動かされた部分もありますが、やるのであれば、勝たないと意味がないということで、勝てるフェスにするにはどうすればいいかということを、話し始めました。勝てる要素としては、まずは長岡市のアクセスのよさ。東京駅から新幹線で最短で87分、高速道路も北陸道、関越道、磐越道が合流する地点なので、鉄道も車も非常にアクセスがいいです。会場の東山ファミリーランドは広々とした敷地で、そんな場所がJR長岡駅から車で10分少々のところにあります。このアクセスの良さは大きなアドバンテージになります。現在多くのフェスは、若者に特化したロックフェスが多く、時期的なことも含めて過酷な環境で、なかなかファミリーで楽しめるフェスがありません。この『米フェス』はそこが違います。アクセスもよくファミリーで楽しめるような音楽フェス、音楽だけではなく色々な面で楽しめるフェスにしていきたいという構想を練りました。

若手からベテランまで多彩なJ-POPアーティストが集結。「幅広い層の方に楽しんでもらえるはず」

――若手からJ-POPを代表するアーティストまで豪華な顔ぶれが揃いました。

本間昭光
本間昭光
島田昌典
島田昌典

北牧 音楽面では、J-POPの二大音楽プロデューサーの本間昭光氏と島田昌典氏に、音楽監督として入ってもらって、アーティストの選定から、ハウスバンドのメンバー構成まで考えてもらい、オリジナルアレンジでやってもらおうと。新旧多彩な顔ぶれのアーティストが揃って、幅広い層の方に楽しんでもらえると思います。『紅白歌合戦』でおなじみのアーティストから、日本武道館でライヴを何度もやっているアーティスト、80年代から活躍しているアーティストから、最近のアーティストまで幅広くて、それぞれがヒット曲、代表曲、イントロを聴けば誰もが知っている曲を、歌ってくれるはずです。

――今回、長岡市出身のシンガー・ソングライター琴音さんも出演していますが、オープニングアクトをつとめるアーティストを選ぶ『COME100 オーディション』もやっていて、やはり地元からスターを輩出したいという思いが強いですか?

北牧 そうなんです。その追加オーディションもやっていて、新潟在住、出身、新潟で活動をしているアーティスト、年齢制限無しという感じで、プロアマ限定しないで、色々な才能に出会いたい。でも地元に限らず、あのアーティスト『米フェス』から出てきたよねって言われるようになれば、フェスとして非常に名誉なことだと思っています。

「花火と食・酒、音楽、全部がメインのフェス」

――なるほど。音楽以外の部分を、どう“勝てる”ようにするかが、やはり悩んだところですか?

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北牧 そうですね。それで、長岡といえば当然花火だろうと。『長岡まつり大花火大会』は、今年も8月の平日ながら2日間で100万人のお客さんが足を運んでくれました。フェスの花火というと、エンディングで数分間というレベルのものが多いと思いますが、『米フェス』はちゃんとした花火大会がついていると考えて下さい。長岡花火財団に協力してもらって、有名なフェニックス花火をはじめ“本気”の花火を打ち上げます。それと開催時期の10月というのは、新潟の代名詞ともいえるコシヒカリの新米が獲れたり、秋の味覚が出揃う時期でもあるので、とにかく美味しいものが提供できます。長岡の名店、老舗と言われているお店を一件一件口説いていき、それプラス、公募で応募してきたくれたところ、合わせて27のお店が出店します。さらにいうと長岡は、日本全国で日本酒の酒蔵が2番目に多い自治体で、16の酒蔵があります。その16蔵全てが参加してくれます。利き酒を楽しむもよし、販売もしています。さらに、フェスといえばキャンプだろうと。会場の東山ファミリーランドは広大で、いつも、キャンプをしている人で賑わっています。フェスの期間中はキャンプの設備も整えて、手ぶらでキャンプができるようなサービスも用意しました。キャンプ場ではキャンプファイヤーをやろうと思っていて、アウトドアの達人・山下穂尊(いきものがかり)がいるので、そこはアーティストの気分が乗ったら、ギター一本で歌ったりとか、そんなサプライズもありかなと思っていて。さらに子供たちが遊べるようなキッズパークも作って、ある意味、音楽だけではない楽しみを味わってもらうためのイベントにしようと。

「『米フェス』を長岡まつり大花火大会と並ぶ、長岡の2大イベントに育てたい」

――夏の「長岡まつり大花火大会」が終わって、10月にフェスというのは、受け入れる側の長岡市は慌ただしそうですが…。

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北牧 先述した、市からの協力要請という部分がまさにここで、長岡の花火大会に毎年100万人来場するといっても、大抵の人が花火だけ観て帰ってしまうそうです。アクセスのよさって諸刃の刃で、みんなバスでやってきて、花火を観終わったらすぐ帰ってしまって、結局経済効果という部分は意外と低いと。やっぱり市としても、交流人口を増やして、長岡の魅力をわかってもらう誘客を、きちんとやるべきだという声が高まって、花火以外のイベントがほしいということでした。それで花火財団や酒蔵の方、企業、飲食業の方ともよく話をして、『米フェス』を長岡花火大会と並ぶ長岡の2大イベントにしようという意見で一致しました。

「フェス乱立時代の中、絶対的な差別化が必要」

――新潟といえば苗場スキー場を舞台にした「フジロック」がおなじみですよね。

北牧 「フジロック」もありますし、新潟市では「音楽と髭」もやっています。フェス乱立時代ともいわれてますが、その弊害としてラインナップもセットリストもあまり変わらないような状況です。それではつまらないと。だからこのフェスは、ここでしか見られないコラボやカバーをやりましょうということで、アーティストと島田さん、本間さんとで話を進めてもらって、この日だけしか見ることができない貴重なコラボが飛び出します。

――スペシャル・ナビゲーターの山下(穂尊)さんが、小学生以下無料というのが、このフェスの一番強いところになるのではないか、と言っていました。

いきものがかり・山下穂尊
いきものがかり・山下穂尊

北牧 まずファミリーで楽しんでもらおうということと、何より『米百俵フェス』というネーミングに思いが込められていて。「米百俵の精神」というのは、その昔、長岡が戊辰戦争の時、焼け野原になり、ここから復興するためには何より人造り、教育が大切だということで、贈られた米百俵を売り、そのお金で学校を作ったというところからきています。未来への投資の大切さということが、昔から脈々と受け継がれている精神です。僕らとしても、『米百俵フェス』という名前を付けている以上は、子供たちに未来に対して夢や希望を持ってもらいたいということで、たくさんの子供たちに来てほしいので無料にしようと。(山下)穂尊が書いたテーマソング「輝き」に合わせて、花火があがる企画がありますが、その曲を歌っているのは、米百俵で建てた流れを汲む小学校の生徒です。フェスの名前の由来を、きちんと踏襲しています。

「長岡は花火だけではない。文化も歴史もあり、食の宝庫でもある。このフェスを通して、長岡という街をもっと知って欲しい」

――今回、お話を聞かせていただいたみなさんが共通して言っているのは、長岡の人は郷土愛が強いということでした。

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北牧 長岡のアクセスのよさは、つまり人材が流出しやすいということにもつながります。高校を卒業すると、かなりの数の人材が、東京や他の都市に出て行っていて。僕は県立長岡高校出身ですが、同窓会を東京でやると、毎回600人~700人くらい集まります。高校の同窓会ってそんなに集まります?(笑)。僕も含めて、みんな郷土愛は強いと思います。長岡?花火でしょ?という単純な印象を持つ人が多いと思いますが、それが悔しい。山あり川あり、海もあって、食の宝庫だし、温泉もあって文化や歴史もあって、長岡という街がもうちょっと知られてもいいんじゃないかと。北陸新幹線が完成して、金沢の賑わいとかを考えると、もちろん金沢も歴史や文化があって、能登半島があったり観光名所が色々あるけれど、東京からは新潟の方が近いし、色々な楽しみ方があると思います。でもなかなか観光地化できないというところも含めて、おもてなしというかサービスということに対して、苦手な県民性なのかもしれません。朴訥というか(笑)。

――でも毎年、花火大会で100万人もの人を迎えて、少しでも楽しんでほしいという気持ちで接していると思いますので、それがもうおもてなしになっていると思います。街が混雑慣れしている(笑)というのも、フェスではホスピタリティの部分につながる、大事なところですよね。

北牧 確かに、毎年対100万人に気持ちよく過ごして欲しいと思って接していると思うので、さばきに関しては、非常に柔軟にやってくれると思います。シャトルバスも駅からすぐに乗れるようにしました。

「ディズニーランドや遊園地に行く感覚で、ファミリーで楽しんでほしい。そこには常にグッドミュージックが流れている、そんなフェスが理想」

――メインのひとつ、花火について詳しく教えてください。

北牧 長岡の花火大会と同じ花火師さんが手掛けてくれます。4つのプログラムを用意していて、約20分間、日本一の花火が楽しめます。オープニングで大スターマイン、「東山に咲く華」というタイトルの大スターマイン、復興祈願花火のフェニックス、それと先ほど話に出た、山下穂尊作詞・作曲のテーマソングに合わせた、米百俵フェスオリジナル超大型スターマイン「輝き」と、長岡花火でいう大型、超大型ものを4つ仕込んでいます。

――なかなかフェスの第1回目に立ち会うことってないと思う貴重な場ですが、やっているほうはいくら準備を完璧にしても、どきどきですよね。

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ロゴデザイン/森本千絵
ロゴデザイン/森本千絵

北牧 ドキドキだし、でも肚を決めて、5年10年かけて育てていきたいと思っているので。初年度はどうなるかわからないと思うけれど、長い目でやっていけば、確実に育ってくれるフェスだと思っているし、関わってくださっている皆さんも、そう言ってくださいます。普通の音楽フェスと違ってファミリーで楽しめて、変な話、音楽を聴かなくても食べものだけ楽しんで、キッズパークで遊んで、花火を観て帰るという感じでもいいと思っていて。それこそディズニーランドとか遊園地に行く感覚で来ていただいて、そこに常にグッドミュージックが流れているというのが理想です。

『長岡 米百俵フェス ~花火と食と音楽と~』オフィシャルサイト