竹内力「俳優には固執しない。ただ人がやっていない、面白い事をやりたいだけ」

ドラマ『闇の法執行人』

『闇の法執行人』と『大馬鹿代』、全く違うタイプのドラマの共通点とは

『闇の法執行人』
『闇の法執行人』
『大馬鹿代』
『大馬鹿代』

俳優・竹内力が原案・製作総指揮を手がけ、主演を務める全くタイプの違う2つのドラマシリーズ『闇の法執行人』と『大馬鹿代』がDVD化され、12月20日から3か月連続リリースされる。男たちが闇の社会で巨悪と戦う『闇~』と、謎の強烈オバハンが大暴れする『大馬鹿代』。共通しているのは勧善懲悪ものであるという事と、ホロっとしてしまうところ、老若男女が楽しめるというところだ。全く異なる二つのキャラクターが主人公のドラマをどうやって思いついたのか、竹内に聞かせてもらった。「誰かと同じことをやってもダメ」――。

(C) 2017「闇の法執行人」製作委員会
(C) 2017「闇の法執行人」製作委員会

俳優としてキャリア30年以上、主演作250本超を数えるまさに怪優と呼ぶにふさわしい、圧倒的存在感を放つ竹内が総指揮を務めた2作品は、まさにこれまでの竹内のキャリアの中で培われてきた、アイディア、発想、そして“技”が詰まっている。「闇の法執行人」は竹内扮する元エリート弁護士が、世に潜む巨悪を裁くため壮大な正義の闘いに挑む新たなシリーズだ。現代の「必殺仕事人」的な勧善懲悪もので、これは『大馬鹿代』にも共通している。

「『闇の~』は、スカッとする現代版時代劇」

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「「闇の法執行人」は、「スーパーマン」や「水戸黄門」「ドラえもん」と同じですよ。そういうヒーロが本当にいたらいいなって、みんな思うじゃないですか。龍崎というエリート弁護士がハメられて、刑務所に行かされたその復讐劇でもあり、そこに俺の人間として、役者としての想い、色々なものが相まって、「必殺仕事人」のように悪を懲らしめれば、お客さんが楽しめると思った。だからオレオレ詐欺とか、今世間を賑わせている、世の中を怒らせている時事ネタをテーマにして、リアリティを持たせました。今テレビでスカッとするような時代劇がないじゃないですか。だから勧善懲悪の現代版時代劇を作りたかったんです」。

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竹内の出演作、『難波金融伝 ミナミの帝王』と『仁義』シリーズのストーリー展開と、まさに“萬田銀次郎”と“神林仁”をかけわせたような、頭脳明晰でアクションに長けているキャラクター・龍崎剛を作り上げた。そんな龍崎と、プライドが高い新米女性弁護士、警視庁の元○暴担当だったが今は閑職に追いやられている刑事、そして女性ハッカーがチームとなって悪に立ち向かっていく。龍崎は孤高のヒーロのような佇まいだが、“仲間”を助け、助けられという設定が、老若男女、誰もが楽しめる“親しみのあるハードボイルド”として成立させてくれている。

「俺が演じてみんなが驚く事って何だろうと考えて、女役だと思った。だから『大馬鹿代』は女装ものではなく、ヒロインもの」

(C) 2017「大馬鹿代」製作委員会
(C) 2017「大馬鹿代」製作委員会

一方、『大馬鹿代』は “男の中の男” の竹内が、まさに奇想天外としかいえない女性役に挑み、過去を持つ謎の最強オバハンとして大暴れするという、まさに“笑撃” エンターテインメントだ。「『大馬鹿代』に関しては、今から10年程前に撮影現場での空き時間を使い、台本の裏にキャラクターデザインを描いてたんですよ。自分は女装もしたことないし、オカマの役もやったことないし、でも俺が演じてみんなが驚く事って、女役だなと思って。それを女装じゃなくて、女性として演じるけど男みたいに強いヒロインで、映画『男はつらいよ』のような笑って泣ける人情ドラマに、アクションシーンを入れました。本当は『男は~』のように、全国でロケをやりたいですよ。それが町興しにつながると嬉しいですし」。

「娯楽作品はとにかく勝たなければいけない。ありとあらゆる人に観てもらえるものを作っていく」

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奇抜なファッションで、ケンカに滅法強いオバハン・大馬鹿代のアクションが毎回観ものだが、竹内は「白目を剥いて相手をやっつけるシーンもあるので、余計に大馬鹿代の愛らしい部分を作りあげなければいけない。そうじゃないと女性ではなくて、ただの女装になってしまうので、一瞬でもいいから竹内力が女装しているのではなく、大馬鹿代って本当にいるんだって、観ている人に思わせないといけない。だからそういう芝居を心がけている」と語ってくれた。古き良き昭和のドラマの風情が漂っているところも、今の時代は逆に新鮮だ。登場人物も子供からお年寄りまであらゆる世代が、それぞれがきちんとした濃いキャラクターとして存在して、観ている人が感情移入しやすいところも特長だ。さらにセリフも「子供は宝。みんなで育てるもの」といった、“絆”や“つながり”など今の社会や世の中で、希薄になっている事を、登場人物の口を借りて“言わせている”。これも人間・竹内力の思いが、脚本にしっかりと反映されている。

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「脚本は2作品とも時間をかけて何度も何度も書き直しています。俺はゼロからは書けないので、脚本家に色々と話をして書いてもらいましたが、脚本家は物事をどうしても自分の世界の中だけで見てしまうところがあって。そこを俺が視聴者の目線になって意見を言います。「ストレートにわかってくれればいいけど、謎解きできなくなる可能性があるから、もっとわかりやすく」とか。映画やドラマに興味がなかった人も引き込むくらいの戦略というか、本作りをしなければ絶対にダメ。負け戦はしたくないし、娯楽作品はとにかく勝たないといけない。ファンだけ、興味がある人だけに観てもらえればいい、という考え方で作品を作りたくないし、そういう製作会社にはしたくない」。

近年は、映画、ドラマ製作に注力する

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竹内は、1997年にマネジメント事務所で映像製作会社の「RIKIプロジェクト」を設立し、独立。以来映画やドラマの製作を精力的に行っている。今回の2作はもちろん、昨年公開され話題を集めた松山ケンイチ主演の『聖の青春』や、杏主演の『オケ老人!』他、映画の製作も数多く手がけている。「俺は最初の頃、大根役者と言われて、すごく悔しい思いをしました。その悔しさをバネにして生きてきた成り上がりだし、そういう「見返してやる」という強い気持ちを持ってずっと生きてきました。活動している中で、テレビに15年くらい出ない時期を作って、俺は自分なりに“武装”という名の進化を求めて、製作会社もだんだん大きくしていって、手がける本数も増えています。だから役者よりも、もしかしたらプロデューサー向きなのかもしれない。『聖の青春』や『オケ老人!』もそうですけど、映画製作はやっぱりおもしろい。これからもどんどん作っていくし、今は会社経営の方が面白いというか大切かもしれない」。

「俳優に固執しない。ただ面白いものを作りたいだけ」

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2012年頃からテレビへの出演も増え、バラエティ番組で存在感を発揮している。しかし制作側に立ってやっていると、逆に役者魂に火が点くというか演技したいという欲は出てこないのだろうか?「あまりないですね、ただ面白いものを作りたいというだけです。面白い発想をして、これは俺がやるしかないなというものはやっています。大馬鹿代なんて演じられる役者は、他にはいないですよ(笑)。俺が思い描いている芝居をやれと言ったら、みんな恥ずかしがると思う。現場で思いつく色々なアイディア、「そこまでやっていいんですか?」と言われれる事までぶっこんでいくわけだから、自分にしかできない役はこれからもやっていきます」。

「誰かと同じ事をやってもダメ。人がやっていない事をやりたい」

竹内のポリシーは「誰かと同じ事をやってはダメ」だ。それが作品作りを始め、全てに貫かれている。「俺は人がやっていない事をやりたいんですよ、人がやっていることをやっても大手や老舗に負けるし、だから人がやっていないところを攻めていく」。『闇の~』と『大馬鹿代』の主題歌になっている、演歌歌手・竹内力が歌う「恋月夜」(C/W「紅い川」)もそのひとつだ。「年齢でいうと、氷川きよしくんと小金沢昇司さんの間って、スター演歌歌手が不在だと思って、俺がちょうど二人の間の世代なので、そこを担いたいと思って、演歌歌手を始めました」と、常にチャレンジ精神を忘れていないのと同時に、ドラマの視聴者に最初から最後まで楽しんで欲しいという、旺盛なサービス精神の表れでもある。

「視聴者、エンターテインメントに関わっている人全てに夢を与えたい」

また竹内は役者の発掘・育成にも力を入れている。今回の2作品にも、今はまだ無名だが、これらから注目を集めそうな実力のある役者が出演している。「大体の映画もドラマも、少ない予算の中でやっているので、どうしても演者のギャラとスタッフの数を抑えるしかない。そうなると無名でもこんないい役者いるんだという部分を宣伝していくしかないし、逆にいうと、まだ売れていない人はこういうところでチャンスをもらっていくしかない。いい演技をすれば、大きな映画へのキャスティングもできるし、急にテレビやCMに出始める人もいるじゃないですか。実力のある人で売れていない人もたくさんいて、そういう人が売れていくと嬉しい。それが映画、ドラマ作りの醍醐味のひとつですね。視聴者にも、エンターテイメントに関わっている全ての人にも、夢を与えたい」とプロデューサーとしての視線で語ってくれた。

「演技は何年やってもよくわからないが、よくわかっている」

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最後に、役者としてキャリアを重ねてきて、演技というものの捉え方は変わってきたか?という質問をぶつけると、「演技は何年やってもよくわからないが、よくわかっている」と、怪優ならではの、ある意味素直な答えが返ってきた。竹内が自分で作りたいと思う、自身で演じたいと思うキャラクター、作品と出会った時、それこそが老若男女、誰もが楽しめるエンターテインメント作品として、大きな注目を集めるものになる。

『闇の法執行人』『大馬鹿代』DVDオフィシャルサイト