"服部メロディ"に包まれた夜 ――服部克久傘寿記念コンサートで、三世代共演が実現

服部克久80歳記念コンサートに、最高のミュージシャンとシンガーが集結

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服部克久といえば、父・良一と共に昭和の時代から日本の音楽シーンを支え、多くの人々に愛されてきた数々の“服部メロディ”を、世に送り出した名音楽家だ。長男で作曲家の隆之は大きな話題を集めたNHK大河ドラマ『真田丸』の音楽など、数多くの映画・ドラマの劇伴を作り上げ、アレンジャーとしても活躍、孫は、今世界で注目を集めるバイオリニスト・百音(もね)と、その音楽一家の血は現在も脈々と受け継がれている。

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服部は傘寿(80歳)を迎え、今も精力的に音楽活動を続けているが、傘寿を記念したコンサートが10月2日、昭和女子大学人見記念講堂で盛大に行われた。『80歳からの新たなスタート 服部克久 傘寿の音楽会』と題したそのコンサートには、五木ひろし、大黒摩季、荻野目洋子、サーカス、さだまさし、佐藤竹善、サラ・オレイン、白鳥英美子、Chage、平原綾香、堀内孝雄、南こうせつ、渡辺真知子、渡辺美里(50音順)という、人気アーティスト達が駆け付け、服部が関係している数々のヒットソングを披露した。

服部がこれまで作・編曲で関わってきた楽曲の数は約6万曲。とりわけ、オーケストラをポップスに取り入れた功績は大きく、そのアレンジは後に、多くの編曲家の作風に影響を与えた。この日も腕利きばかり総勢40名の「音楽畑オーケストラ」が、一曲一曲素晴らしいサウンド、聴き手を幸せな気持ちにさせる音を奏でていた。オープニングナンバーは、服部の代表曲のひとつでもある、人気ドキュメンタリー番組『新世界紀行』(TBS系)のテーマ曲「自由の大地」。壮大でどこか郷愁感のあるメロデイに、早くも客席には感動が広がっていった。

服部の音楽人生と、日本のポップス史を重ねた、3時間の時間旅行

前田憲男と服部
前田憲男と服部

服部の音楽人生と、日本のポップス史を重ねる時間旅行ともいえるこのコンサート。多くのミュージシャンに影響を与えた服部が、影響を受けた音楽、ルーツミュージックも披露した。映画『雨に唄えば』のテーマソングや、ミッシェル・ルグラン「シェルブールの雨傘」、ジャズのスタンダーナンバー『セプテンバー・イン・ザ・レイン』に始まり、ビートルズメドレーでは先述のシンガーが歌いつなぐ圧巻のステージ。盟友の音楽家、前田憲男も駆けつけ、指揮とビブラフォンを披露した。その変わらぬ瑞々しいビブラフォンの音色に、全員が聴き入っていた。

多くの人の記憶と心にしみ込んでいる”服部メロディ”

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五木ひろしは自身の歌手としての転機になったという、服部が音楽監督を務めた40年前のラスベガス公演の思い出話を聞かせてくれ、その公演の時の歌を、ボブ佐久間のアレンジ、指揮で再現し、「マイ・ウェイ」などを披露した。この他にも昭和の名曲、ヒット曲オンパレードで、アーティストがそれぞれの歌を、当時と変わらない歌声で聴かせてくれた。

服部家三代の共演が実現

左から服部隆之、克久、百音
左から服部隆之、克久、百音

服部は時にタクトを振り、ピアノを弾き、軽妙なトークで笑いを取っていたが、父の服部良一作品のメドレーでは、隆之の指揮で服部がピアノという贅沢な共演が実現し、「蘇州夜曲」などを聴かせてくれ、大きな拍手が沸き起こった。改めて昭和の歌謡曲のメロディが持つ骨格の太さと、繊細さ、人懐っこさを感じると共に、こんなにも多くの“服部メロディ”が身近にあって、包まれていて、記憶と心にしみ込んでいたんだと再確認した。ラストは服部と隆之がピアノ、バイオリンを百音という三世代で、服部作曲の「ル・ローヌ」を演奏するという、音楽一家の感動的な共演に、拍手が鳴りやまなかった。

オーケストラを率い、数々のポップスの美しいメロディを、より美しく、感動的に伝えるその才能と豊かな発想、そしてのちの作曲・編曲家に大きな影響を与えたという意味では、服部はまさに日本のヘンリー・マンシーニだ。今回の秋の一夜の夢ともいうべき3時間の豪華コンサートは、10月14日(土)にBS-TBSで、『祝80歳!服部克久傘寿メモリアルライブ』として放送される(19時~21時※コンサートを編集したサイズで放送され、年明けにTBSチャンネル(CS放送)で完全版が放送される)。至福の音と歌に酔いしれたい。

BS-TBS『祝80歳!服部克久傘寿メモリアルライブ』特設ページ