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今また躍動するレベッカ 28年ぶりの全国ツアーと、語り継がれる伝説のライヴに集まる注目

田中久勝音楽&エンタメアナリスト
REBECCA、2015年8月横浜アリーナ公演

レベッカ、28年ぶりの全国ツアースタート。待ち侘びていたファンが殺到

レベッカの28年ぶりの全国ツアー『REBECCA LIVE TOUR 2017』が25日、大阪フェスティバルホールからスタートした。9月1日の日本武道館2daysまで全9公演が予定されているが、チケットは入手困難な状況であり、改めて注目度の高さを見せつけた。

レベッカは1984年にシングル「ウェラム・ボートクラブ」でデビュー。当初はロック色が強かったが、キーボード土橋安騎夫の鍵盤の音を前面に立たせ、元々あったメロディアスさとエモーショナルな部分に、よりポップ色を強めて加え、4枚目のシングル「フレンズ」が大ヒットになり、以後「RASPBERRY DREAM」「MOON」などのヒット曲を連発。「フレンズ」 以降に発表されたアルバムは、全てランキングの1位を獲得し、一躍シーンを代表するバンドになった。そのリードボーカルNOKKOは、まさに“ニューヒロイン”だった。当時バックに男性を従えた女性ボーカルバンドというスタイルは珍しく、レベッカの登場以降そのフォロワーは増えたが、当時は斬新だった。NOKKOはそのファッションアイコン、セクシーアイコンとして絶大な支持を得、コケティッシュな魅力と、彼女が書く歌詞に若い女性ファン、男性ファンは熱狂した。

当時は、カラオケがようやく普及してきたタイミングで、若い人達の間にも広がっていき、そこでもレベッカの歌が人気だった。その歌謡曲の構成に似た親しみのあるメロディセンスと、昂揚感のあるテンポで、大学生を始め、若いファンがこぞって歌っていた。カラオケでも人気を博した事が、レベッカの人気を強固なものにした。しかし1991年2月14日に解散。1995年に阪神・淡路大震災の復興支援を目的として、5月26、28日に横浜アリーナでライヴを行ったが、以降再結成されることはなかった。

2015年8月横浜アリーナ公演
2015年8月横浜アリーナ公演

それは突然だった。2015年8月に再結成を果たし、20年ぶりのライヴ『Yesterday, Today, Maybe Tomorrow』を7月28日豊洲PIT(Preview Live)、8月12、13日横浜アリーナで行い、11月には追加公演をさいたまスーパーアリーナで行った。

2つの”伝説のライヴ”の完全版を、ファンの声に応えパッケージ化

レベッカの数ある作品の中でも、特に人気が高く、名盤と言われているのが1985年11月に発売された通算4枚目のアルバム『REBECCA IV ~Maybe Tomorrow~』だ。もの凄い熱量を閉じ込めたこの作品は、レベッカの名前を一躍世に知らしめたと同時に、お茶の間にロックを広めた傑作だ。ポップでキャッチーな楽曲を、ロックのビートで届けるそのスタイルは唯一無二だった。そんな“強い”アルバムを引っ提げたツアー「REBECCA WORLD CONCERT TOUR~Maybe Tomorrow」は、元々ライヴパフォーマンスには定評があったレベッカが、さらにライヴバンドとしてひとつ上のステージに上がったツアーと言われている。そのハイライトとなったのが12月25日の渋谷公会堂のライヴで、デビュー2年目の大ブレイクの瞬間を捉えた伝説のステージとして、今もファンの間では語り継がれている。

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そんな伝説のライヴ全編の商品化を希望するファンの声はライヴから32年が経った今でも大きく、遂に商品化が決定した。映像素材を再編集、音源もマルチテープからリミックスが施されている。6月25日にはその「一夜限りのプレミアム上映会」が行われ、全国19の劇場で、劇場版『REBECCA LIVE’85 Maybe Tomorrow Complete』として上映された。「新宿バルト9」では、メンバーのNOKKO(Vo)、土橋安騎夫(Key)、高橋敬之(B)が登場し、NOKKOは改めてこのライヴを観て「レベッカとしてバンドの若いエネルギーが一番ピークの時」と語った。

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伝説と呼ばれるライヴは実はもう一つあった。それがブレイク後の1986年11月1日に早稲田大学で行ったシークレットギグ「REBECCA SPECIAL LOVE LETTER」だ。降りしきる雨に打たれながらの熱いパフォーマンスは、過去に一度だけテレビで放送され、そのうち2曲のみが商品化されているが、渋谷公会堂ライヴ同様、全編の商品化を希望する声が多く、7月26日にこの二つのライヴの全貌を収めた『REBECCA LIVE ’85-’86-Maybe Tomorrow & Secret Gig Complete Edition』が発売された。同時に名盤『REBECCA IV ~Maybe Tomorrow~』のアナログ盤が復刻された。

『REBECCA IV ~Maybe Tomorrow~』
『REBECCA IV ~Maybe Tomorrow~』

レベッカをきちんと聴いた事がないという人にとっては、時代がひと回りして、80年代のマナーを湛えているダンスポップが日本も含め、世界的にも流行している昨今、レベッカの音楽は、新鮮に、どこか懐かしく感じるだろうし、彼らの影響を受けたアーティストのルーツを辿る旅にもなる。

そして1980年代中盤から1990年初頭までの、J-POPの歴史の流れの中で、最も熱い、圧倒的なエネルギーを放熱していた、歴史に残るバンドのその“熱”を、“きちんと”次の時代に伝えていかなければいけない。

『OTONANO』レベッカ特設ページ

音楽&エンタメアナリスト

オリコン入社後、音楽業界誌編集、雑誌『ORICON STYLE』(オリスタ)、WEBサイト『ORICON STYLE』編集長を歴任し、音楽&エンタテインメントシーンの最前線に立つこと20余年。音楽業界、エンタメ業界の豊富な人脈を駆使して情報収集し、アーティスト、タレントの魅力や、シーンのヒット分析記事も多数執筆。現在は音楽&エンタメエディター/ライターとして多方面で執筆中。

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