【インタビュー】峯岸みなみの真実~ネガティブさが創り出した陰に、光が当たる時~

峯岸みなみ『私は私』(竹書房)より

峯岸みなみ(AKB48)のフォト&エッセイ『私は私』(7月12日発売)は、あまりにも赤裸々すぎて、果たしてアイドルがここまでしゃべらなければいけなかったのかと思い、この本を出すことになった経緯、込めた想いを本人に聞いた。AKB48に捧げた青春。10年間彼女が何を考え、何に喜び、怒り、哀しみ、そして涙したのかを、嘘偽りなく記しているこの本は、峯岸みなみというアイドルの、ひとりの女性の10年間の心の葛藤の記録だ。指原莉乃へのコンプレックス、日本中が驚いたあの事件、ネット上に投稿された心ないコメントの数々、「ライザップ」でのチャレンジ、これまでのこと、これからのこと、様々なことについて本同様に、真っすぐ答えてくれた。

「家族のことを書くことには抵抗があった。でも予想外の反響の大きさに書いてよかったと思えた」(峯岸)

峯岸 赤裸々というのは周りの人、本を作る人たちが考えてくれた言葉で、自分的にはそんなに赤裸々という印象はなく、ただ自分のことを振り返る上で、嘘はつかないでおこうというのは大前提としてあって、結果、赤裸々になってしまったという感じなんです。

――確かに売り出す方は煽り文句をどうしても使いたくなります。でも自分の家族の事を、あそこまで詳細に書かなくてはいけなかったのかなと思いました。

峯岸みなみ『私は私』(竹書房/¥1,500+税)
峯岸みなみ『私は私』(竹書房/¥1,500+税)

峯岸 それは私も思っていました。それを言う事で何が変わるんだろうとか、別にそんなこと世間は興味がないんじゃないかなと思っていたので、最初それを本に入れるというのを聞いた時は、抵抗しました。今の家庭はうまくいっていますし、あえてそれを公にする必要があるのかという話し合いもありました。でも、過去を順序だてて振り返っていく上で、やっぱりひとつの大きな出来事だし、地元で撮影をした時に、色々思い出すこともあって、それぐらいなら書いてもいいかなと思えてきました。書いてみたらそこに一番反響があったので、結果的に書いてよかったと思っています。結構複雑だったんですよ、お父さんがテレビに出たりする事もあって、似ているとか似ていないとか言われて。「お姉さんの話をあんまりしなくなった」とか「弟がいるのは知ってるけど」とか、色々勘ぐられて、今までは家族のことについて言われることに対して、全部は正直に答えられないし、どこかで濁していたというか、若干もやもやしいていた部分でもあったので、今回いい機会ではありました。

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――世間の人はそういう下世話な事がどうしても気になるんですよね。

峯岸 そうですね、自分が予想していたより大きな反響だったので、「ああそんなに気になることなんだ」と思って、ビックリしました。

――内容に関しては、峯岸さんから色々アイディアを出して、という感じですか?

峯岸 結構難航しました。さっき出ました両親の話とか、普通のアイドルのフォトブックとかスタイルブックとは違う事を求められているんだなって感じたんです。ファッションやメイクとかそういうことではなく、人間性をさらけ出すこと、そっちの方向なんだなということを感じ取って、「ああ、自分の心を削ったり神経をすり減らす必要があるんだな」と思ったら、打合せの時点で疲れちゃって。その時点で一回泣いて、大人達を困らせました(笑)。

――自分のこれまでのことを包み隠さず話をするということは、身を削る作業ですよね。

峯岸 そうですね。最初、顔合わせくらいの気持ちで打合せに行ったら、これは結構大変な作業になるなということを実感してしまい、まず涙の打合せから始まったので、スタートの時は厳しいなと思いましたし、出版社の方も多分動揺したと思います。

「カメラマンの藤代冥砂さんに全てを委ね、新しい自分を引き出してもらった」(峯岸)

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――藤代冥砂さんの写真がインパクトがあって、強くて、これは峯岸さんと藤代さんとの信頼関係がなければ出ないものですよね。

峯岸 藤代冥砂さんという方の存在は知ってましたし、AKB48のメンバーが撮ってもらっているのも知っていましたが、実際お会いするとやっぱりすごい人でした。なんて説明すればいいのかわからないのですが、撮ってもらったからわかる空気感があって。本当に藤代さんに撮っていただけてよかったです。

――藤代さんは文章も書く方で、写真がすごく“語っている”というか、人間的な部分をえぐり出している感じが写真から伝わってきます。

峯岸 私、写真に対してすごくコンプレックスがあって、普段はこの角度は嫌とか、この照明暗いなとか、逆光だな、ここで撮られても絶対かわいく写らないだろうなあとか考えてしまうんです。でも藤代さんだとそういうことは考えず、かわいいとかきれいとか写りがどうこうよりも、瞬間瞬間の感情を写してもらえるという感覚があって。何枚か撮ってもらった時点でそれがわかったので、もう全部任せよう、頼っちゃおうって思いました。いつもはあがってきた写真に対しても、割と細かい部分にまでこだわって選んでしまう方なんですが、今回は自分で見た時に、この角度も新鮮だなとか、いつもだと絶対嫌だけどこの顔もこの空気だったらいいなとか、そう思える写真が多くて、新しい発見がありました。

――フォト&エッセイだけあって、写真も1点1点説得力がありますが、かなり読み応えがあるというか、読む写真集という感じです。仲良しの高橋みなみさんや小嶋陽菜さんとの本、写真集とはまた違うテイストです。

峯岸 陽菜だったらファッションアイコンとして興味を持ってもらえる人だから、そういう写真集になるし、たかみなだったら総監督、リーダーという部分が売りだし。そういう意味では自分はキャッチーな肩書がある訳でもなければ、誰もが憧れるようなルックスでもないけど、でもこの本では自分にしかできないことができたと思います。

――峯岸さんのこの本には、峯岸さんのこれまでの心の葛藤が包み隠さず描かれていて、とにかく人間くささが出ています。

峯岸 ビックリしました、自分で読んだ時。本当に卑屈な人間だなあと思って(笑)。

「ネガティブで、ずっと同じことに悩んで生きてきた」(峯岸)

――卑屈という言い方より、ちょっとネガティブ?

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峯岸 ネガティブだし、ずっと同じような事に悩んで生きてるなあと。でもそれを第三者の方が読んで、どう思うのかすごく気になっていましたが、例えば部活や会社でうまくいかない事に、重ね合わせることができまたという声をいただいたり。「あの時みぃちゃんがバラエティで楽しくやっていたのに、一回引っ込んでしまった時期があって、その時にどう思っていたんだろうと気になっていたので、それがわかって納得しました」とか、「最近、卒業を感じさせるような発言をよくするけど、どうしてそんなに卒業したいのかがわかりました」という声をたくさんいただきました。自分に重ね合わせる人もいれば、AKB48の活動の中で、あの時はこういうことを考えていたんだなと分析しているファンの人達もいました。自分が思っているよりも、色々な角度から読んでもらえて、後輩が泣いてくれたり、すごく嬉しかったです。

――峯岸さんの発言や行動が気になっている全ての人の“もやもや”が晴れた感じですね。

峯岸 そうかもしれないですね。こういう事を言う機会があまりなくて。ブログは、自分の事を好きじゃない人も読めてしまうものなので、このネガティブな性格ゆえ、そこに書いて色々な人に色々な事を言われるのが怖いんです。そういう思いがあったり、ファンの人にもどうしても強がってしまう部分もあって、でもこの本は本当に私に興味を持ってくれている人しか読まないじゃないかなと思って。だから正直に書けました。

――男性にも女性にも、誰にも峯岸さんと似たような葛藤があると思うので、誰が読んでも自分が思ってる事、考え方は間違っていないという共感、納得する人がたくさんいると思います。

峯岸 自分もそう思いました。こんなにネガティブで、こんなに人と比べてしまう自分っておかしいんじゃないかと思いながら過ごしてきた10年を、みんなに共感してもらえる事で、みんな少なからずそういう気持ちがあるんだなという事がわかって、自分もちょっと安心出来ました。

「藤代さんに”すごくいい暗さを持っている”と言われ、AKB48での10年間の葛藤は無駄ではなかったと思った」(峯岸)

――本当に葛藤続きの10年だったんですね。でもファンの前では悲しい顔も見せられないし、泣けないし、愚痴も言えないし、ストレスが相当溜まっていたんじゃないかなと思ってしまいました。

峯岸 でもそういう経験が、自分のこういう言葉のチョイスや、表情の作り方につながっていると思っていて。カメラマンの藤代さんに写真を撮られながら「すごくいい暗さを持ってるよね」って言われたんです。で、「私暗いですか?」って聞いたら「いや、すごくいいよ。すごく暗いけどそれはいい意味での暗さだよ」って言っていただいて。多分、挫折続きで自分に自信がないからこそのオーラというか。やっぱり華やかな人ってずっと華やかだし、陰がない人もいると思うんですけど、10年間のこの経験が、藤代さんの目に映る“いい暗さ”になっているのなら、10年間の葛藤は無駄じゃなかったなと思いました。

――一人での番組出演も増えてきました。

峯岸 そうなんですが、まだまだです。とことん自分に自信がないので…。

―――今まで濃い10年を送ってきたという経験は、自信にはつながらないんですか?

峯岸 やっぱり一人の力じゃないというのはずっと頭のどこかで思っているので、引っ張ってくれたメンバーと、支えてくれるスタッフさんと、もちろんトップの秋元先生あっての自分なんだなって。私のファンというよりも、AKB48という組織を応援してくれた、たくさんのファンの方との団体戦で10年間やってきた感覚なんです。個人戦というのは今まで一回もやった事がないじゃないですか、。だから正直怖いですが、卒業したら変わってくるんだろうなあと思っています。

アイドルが考える、今必要とされてるアイドルとは?

――日本一のアイドルグループで10年頑張ってきて、アイドルというものについて、AKB48のメンバーになった時と今とでは違う考え方になりましたか?

峯岸 どれだけかわいらしいことを言って、かわいい洋服を着て、いかに人が思うアイドル像に近づけるかということが、アイドルとして大事な要素だと思っていました。だから無理していた時期もありました。本当の事は言わないほうがいいのかなとか。そういう風にやっているアイドルの方もたくさんいると思うんですけど、AKB48というグループにおいては、そういう事よりも滲み出る人間性が大切なのかもしれないという事を感じました。やっぱりストーリーがない人って、あまり注目されないというか。その人のストーリーに起承転結があって、そこから滲み出てくるものがあるからこそ、ついていこうと思ってくれたり、離れないでいてくれるファンの方が増えていくのかなと思います。だからみんなさっしー(指原莉乃)に魅力を感じて、総選挙で1位になるのだと思います。

――アイドルは、より見えやすいところにファンが魅力を感じる時代から、中身を見て感じてもらわなければいけない時代に変わってきたと。

峯岸 考え方が真逆になりました。極端なことをいうと、アイドルはかわいければそれでいいと思っていました。だけど今はAKB48でもかわいいだけのメンバーが伸びて来ないというのは、やっぱりその人に物語があったり、内面がすごく重要になってきている時代だからなのかなって。昔のアイドルさんて、ソロの方が多くて、どこか宝石の様なキラキラした存在だったじゃないですか。それだったら別に内面は知らない方がいいですし、かわいくて歌が上手でオーラもあって、そういう部分では今のアイドルとは全く違うなと思います。昔のアイドルさんが今のアイドルを見たら、何がアイドルだよって思われてしまいそうで。

「本の中で色々な方からメッセージをいただき、こういうかた達から言葉を頂けること自体、自信につながる」(峯岸)

――本の中で峯岸さんの友人から、峯岸みなみという人間についての証言コメントが数多く寄せられています。映画とドラマで共演した大泉洋さんからは、トークもうまいし、バラエティ向きで、役者としてももっと見てみたいというメッセージが贈られています。

峯岸 本当に自分に自信が持てなくて、でもこうやって言葉をくださっている方たちのラインナップを見ると、こういう人達に言葉を頂ける事自体が、すごく自信に繋がります。本当にありがたいです。大泉さんの言葉にある演技の部分も、やっぱり私はネガティブなので、演技に興味があるということを言いづらいといえば言いづらいんです。「何でお前なんかが」って思われたくないから、言えませんでした。

――ネガティブすぎます。

峯岸 そうなんですけど、でもお芝居には興味があります。観るのがすごく好きで、あとお芝居をやっている時って、人からどう思われているかが、あまり気にならないというか。「だってしょうがないじゃん、そういう役なんだもん」というところに逃げられるというのもあって(苦笑)。バラエティだとやっぱり自分ひとりで、自分の事を切り売りをしながら戦うという感じがあるじゃないですか。でもお芝居ってそうではなくて、自分とは違う何かになりながら、表現できるというのは面白そうだなと思って。

――色々な方からの証言コメントと共に、秋元さんからの「峯岸みなみ評」もありますが、やっぱり一番峯岸さんの事をわかっていらっしゃるのは、秋元さんですよね。秋元さんからのメッセージを読むと、本の中で峯岸さんが言っている事が、すとんと腑に落ちる人がたくさんいると思います。

峯岸 そうですね。最初の自分語りみたいところで、これ言っていいのかな、あれ言っていいのかなという部分があったのですが、結果、秋元さんが全部解決してくれているから大丈夫だよと言われて。自分の言葉を読んでから、秋元先生の言葉を読むとすごく繋がるものがあるし、秋元先生は最初から全部わかってくれていたんです。泳がせて見守ってくれていたんだという部分も含めて、答えは全部秋元先生からのメッセージに書いてあるのかなって。秋元先生は、昔から「芸能界に残るのは峯岸だと思ってる」ということを言ってくださっていて、それをちゃんと実現して、そういう言葉を言って下さった秋元先生の顔に泥を塗らないように頑張ろうって思いました。こんなに凄い方が言ってくださっているのだから、きっと一生懸命頑張れば、そうなれるかもしれないと思えるので、自信にもなりました。

2013年の”例の事件”で改めて感じた、AKB48メンバーからの愛

――この本の中でも触れていますが、峯岸さんというとどうしても2013年のあの“坊主事件”が忘れられないのですが、衝撃的な出来事でした。高橋みなみさんが怒り狂ったと自分で言っていました。

峯岸 たかみながあんなに怒っているところを見たのは初めてだったし、私はすごく愛されていたんだなってその時に思いました。坊主にするまではもちろん悩みましたし、でもいざ坊主にしてしまってからは腹を括ったというか、だから、むしろたかみなには「何やってんの~」みたいな感じのテンションで来られるのかなと思って、たかみなにわざわざ見てもらおうと思って、笑ってくれるんじゃないかなって呼び出したら……。多分その時私の感覚がどこかズレていたのかもしれないです。本当にどうかしていて、メンバーみんなが「何やってんの~」って笑ってくれると勝手に思っていたんです。その前にさんざん泣いて、少し気持ちが落ち着いて、多分自分の中だけである程度消化してしまって、私の坊主頭を初めて見るメンバーの気持ちを考えられなかったのだと思います。そうしたらたかみなが信じられないくらい怒って。そこでまた泣けちゃいました。陽菜も陽菜で、普段あまり感情を出さないんですけど、会った瞬間に「違う方法なかったの~?」って泣いてくれました。その時に「そうだ、この状況では泣くというリアクションが正しいのかも」と正気に戻った感じでした。

「ここまで書くのなら納得いくものを出したかったので、言葉にはこだわりにこだわった」(峯岸)

――本に寄せられている友人、後輩からの証言コメントを読んでも、峯岸さんが愛されキャラというのはよくわかります。本当に濃密なフォト&エッセイですね。

峯岸 もうここまで書くのなら、自分でも気に入るものにしたいと思って。完成したものを見た時にすごく納得のいくものになっていたので安心しました。でも本当に大変でした。自分語りの部分はライターさんとのインタビューで、ライターさんがある程度書いてくれたのですが、話をした中で、先方が感じ取った事が文章に入っていたり、この文とこの文の間には流れとしてこういう文があったほうがいいんじゃないかと、喋っていない事が入っていたりして、でも私はこんな言葉や言い回しは使わないってすごく気になってしまって…。それを一から全部直すという作業を、入稿の一週間前に始めてしまい、迷惑をかけてしまいました。編集の方には本当にわがままに付き合ってもらって。でもこれは自分の言葉じゃないと納得できないものを、世の中に出すのはどうしても嫌だったので、最終的にはちゃんとつきつめて良かったと思っています。

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――後半のセクシーショットは、ボディメイクも一生懸命やって、美しい体の写真を残しておこうという気持ちだったんでしょうか。

峯岸 ほとんど藤代さんの言うがままです(笑)

――本当に色々な表情を見ることができて、文章と合わせて様々な感情が伺えます。

峯岸 もうちょっと時間が経って見返すのが楽しみです。また全然違う感情になっていたりする部分もあるし、ああやっぱりここは変わらないんだなって思う部分もあると思うので。宝物になりました。こうやってしっかりした本を出せる事って、人生で1回あるかないかだと思いますので、次いつ出せるかわかりませんし、大切にします。初めてかもしれないです、こういう本にすごく愛着を持ったのは。15歳の時、写真集を出させてもらったのですが、よくわからないまま沖縄に行って、わー写真集だーみたいな感じで、楽しく明るい写真をたくさん撮りました。そういう光をバッチバチに当てたかわいい写真もいいなと思いますが、今回は敢えてそういう写真は使わず、味のある本になりました。

――この本を読んだお母さんからはどんな感想が?

峯岸 買ったよとは言っていましたが、感想はまだ聞いていないんです。。

――親友の高橋みなみさん、小嶋陽菜さんからは?

峯岸 たかみなからもまだきちんと感想は聞いていません。陽菜は本とか雑誌の記事にはすごく厳しい目を持っていますが、この本の写真すごくいいねって褒めてくれました。たぶん文章はあんまり読んでいないと思われます(笑)

「色々言われ、聞かれても「この本が名刺代わりなので、詳しくはこの本を読んで下さい」と言えるくらい、今の自分が詰まっている」(峯岸)

――こういう自分の想いがひとつ形になって、それを世の中に出せたことで、区切りが付けられたという感じはありますか?

峯岸 頭の中にあったことや、今までの活動が整理できた感じがすごくあります。自分でもあの時何であんな事をしちゃったんだろう、あんな事を言っちゃったんだろうという過去もあったりしながら、それがあの時はああいう風に思っていたんだなというのを、こうやって取材で話をしてる中で思い出し、整理もできました。よく坊主事件の時の事とかも聞かれて、色々な事を興味本位で聞いてくる人とかもいるのですが、そういう時はこれからは「この本が名刺代わりなので、詳しくはこの本を読んで下さい」と言えるくらい、今の自分が詰まっています。あまり私の事を知らなくても、冷やかしとか野次馬感覚でも構いませんので、ちょっとでも興味がある人に読んでもらえたら、私の中身を理解してもらえるんじゃないかなと思っています。

――峯岸さんの事を全然知らない人が、何かのきっかけでこの本を読んだら、人間くさい人なんだなっていうことがわかると思います。先述の現代のアイドル像の話じゃないですが、内面的な部分に惹かれる人も増えそうですね。図らずも帯の秋元さんからの“峯岸みなみのネガティブはいつか武器になる”というメッセージが、武器になり始めていますね。

峯岸 だといいのですが、ただのネガティブで終わらないようにします。自分に求められていることをしっかり理解して番組等に臨みたいと思います。嘘をついても仕方ないですし、本当の事しか言わなければ、何を聞かれても“本当”で返せますが、嘘をついちゃうと、途中で詰まってしまうと思うんです。突っ込まれると、嘘でしたってなってしまうと思うので。そういう事も、この本を書くにあたって色々感じていました。嘘をつくとどこかでゴールができちゃうんですけど、本当のことを言い続ければそれがずっと続いていくんだと。だからこの本を出せた事をきっかけに、テレビ番組の出演の仕方とかも変わりました。

「AKB48という巨大な組織から解放された時に、もう少し面白い事ができそうだとポジティブに思えるようになった」(峯岸)

――番組を作る側からすると、どうしてもわかりやすいキャラを求めてしまうだろうし、峯岸さんはちょっとどこか暗い部分があって、割とぶっちゃけキャラ、という感じなんでしょうか?

峯岸 昔は出しゃばる事を喜んでくれた大人がいたので、それが正解だと思って、今までそれでずっと来てしまったので、多くの人にもそう思われているかもしれません。でも歳を取るにつれて、それに疲れてしまい……。本当の自分はそういう性格じゃないのに……。でもこの本を出した事での内面の変化も一つのきっかけとして、これからは卑屈で、こいつなんか面白いなって思ってもらえたらそれが本当の姿なので、楽な気持ちでテレビに出ていけるんじゃないかと思っています(笑)。本当の私が伝わっていくのは簡単な作業ではないですが、一度ついたカラー、印象を変えていくのはすごく難しいのかもしれませんが、徐々に世間の人に、私という人間を知ってもらえたらいいなと思います。

――AKB48での10年、ということを何度も言ってきましたが、でもこれからの人生の方が全然長いんですよね。

峯岸 それが私のこれからの人生においての一番の課題というか。本当に濃かったですし突っ走って頑張ったのはたったの10年で、これから後何十年も生きていかなければいけないと思った時、「これ以上楽しいことなんてないよ、もう」という感じになっていました。でもこれから自分がどんな大人になるのか楽しみだし、AKB48という巨大な組織から解放された時に、面白い事がもう少しできそうだなと最近は思えるようになりました。

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<Profile>

1992年11月15日生まれ、東京都出身。2005年12月28日、AKB48の1期生メンバーとしてデビューし、チームA,K,B,4の全てを経験。現在はチームKのキャプテンを務めるほか、高橋みなみ、小嶋陽菜とのユニット「ノースリーブス」としても活動。

峯岸みなみオフィシャルサイト