福岡県はなぜ“アーティスト王国”なのか?その秘密はノリの良さと意志の強さと心意気!?

(写真:アフロ)

アーティスト・俳優・タレント・文化人王国・福岡県

先日、福岡のラジオ局の方と、福岡で宣伝担当の経験があるレコード会社のスタッフと食事をする機会があり、その席で「なんで福岡はこんなにもアーティストを、しかも売れている人たちを多く輩出しているのか」という、もう何十年も前から語られているであろうテーマについての話が始まり、でもやはりそういう話題は話が尽きなくて、それは「こうだから」という確証がないからで、かなりの時間をその話題に費やした。そこで、すでに語りつくされているかもしれないが、今一度「アーティスト王国・福岡県」をクローズアップしてみたいと思う。福岡は高倉健やタモリ、黒木瞳をはじめ、俳優やタレント、アイドルも数多く輩出していているが、今回は音楽に絞って、なぜ“アーティスト王国”なのかを探ってみたい――そこにはやはりその県民性が大きく影響している!?

福岡県が生んだアーティストというと、井上陽水、そしてチューリップ、郷ひろみ、甲斐バンド、海援隊、CHAGE&ASKA、松田聖子、長淵剛、チェッカーズ、KAN、MISIA、浜崎あゆみ、ナンバーガール、175R、草野マサムネ(スピッツ)、徳永英明、氷川きよし、椎名林檎、YUI、西内まりや、家入レオetc……もう書き切れないほどの数で、確かにこうして名前を並べるだけでも、男女共まさに日本の音楽シーンで一時代を作ったビッグネームがきら星のごとく、という感じだ。

ではなぜアーティストの出身地が福岡に集中しているのか?ちなみに吉田拓郎、浜田省吾、吉川晃司、奥田民生、ポルノグラフィティ、Perfumeらを輩出した広島県も、アーティスト・タレントの量産県として有名だ。

どこかラテン気質!?人を楽しませることに長けている目立ちたがり屋が多い

そこには福岡県の県民性が大きく影響しているといわれている。よくいわれている福岡県人の特徴として、目立ちたがり屋、お祭り好きで、勢いと面白さを重視する傾向があって、派手好き、楽天的、おしゃべり好き、酒好き……というキーワードがでてくる。ちなみにこれは男性の性格。女性はというと、酒と祭りにうつつをぬかしている男性に代わって、しっかり家を守らなければいけないので、気が強くしっかり者で、流行に敏感、というタイプが多いのだとか。もちろんすべての人がそうではないが…。

でもひと口に福岡といっても175Rを生んだ北九州市もあれば、松田聖子、チェッカーズ他多くのアーティストやタレントらを輩出した久留米市もある。地区によってもその性格は違うようで、一概には言えないが次のような特徴があるといわれている。

出典:福岡県観光連盟
出典:福岡県観光連盟

<福岡地区>

くよくよ悩まない楽天家で、おしゃべりで人懐っこく義理人情に厚い。「おもてなし」の精神=サービス精神が旺盛。女性は酒と祭りにうつつをぬかす男性に代わり、家庭を守ってきたため気が強い。流行に敏感で新しいもの好き。

<北九州地区>

工業地帯で、口が悪く気性が荒い。でも気風のよさは少なく小心者で保守的なところも。女性は控えめで地味な傾向。

<筑豊地区>

かつての一大炭田地帯で「川筋もん」と呼ばれ気性は荒いが、弱い者を助ける任侠肌で人は良い。おおらかでくよくよしない。

<筑後地区>

都会的で、陽気。愛想はいいが底意地が悪い。目立ちたがり屋で見栄っ張りだけど、生活面では堅実(ケチともいう)で、粘り強い性格。真面目で働き者が多い。女性は活発で明るい人が多い。

当然、当てはまる人、そうじゃない人がいると思うが、そこは悪しからず。こういう人たちの生活から作られる土壌や文化から、数々のアーティストが生まれてきたことになる。

高い志を持った若い人を応援する、人情に熱い人間・メディア他、“バックアップ態勢”がしっかり構築されている

ここはやはり福岡の人に話を聞くのが一番ということで、福岡のラジオ局で長年アーティストに携わり、多くのアーティストと親交がある、福岡のミュージックシーンには欠かせないラジオマン、横山修司氏に話を聞いた。。

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「福岡は、昔から若い人たちを応援しようという資質を持った大人が多い街で、例えば居酒屋で若い人達に「お金ないんだったらうちで働けば?」と言ってあげる店主は多いし、まだバンドが売れてない頃に、みるからに汚い格好して飲み屋に行って、そこの親父が「あんたら音楽かなんかしようとね?まぁ飲んでいかんね」というとメンバーが「今日お金これ(だけ)しか持ってなくて…」と言うと「よかよ!」と言って飲ませてやる。そのバンドが売れた後も変わらずいつものように飲みに行って、売れようが売れまいがその関係は変わらない、そんな人情を大切にする人が昔から多い街だと思います」。熱い気持ちを持った人情派の大人が、夢を追いかける若い人たちを応援するという、そんな“バックアップ態勢”が福岡では昔からあった。

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1970年、博多・天神に産声をあげたLIVE&喫茶「照和」からは、チューリップ、甲斐バンド、井上陽水、武田鉄矢、長淵剛ら、スターが次々と誕生し、福岡のミュージックシーンは熱い風が吹いていた。そんな熱い風に影響され、アーティストを夢見た若者が、どれだけ多かったことか。夢を実現させプロになった人間、残念ながら夢を実現させることができなくて、別の道へと進んだ人間、当然その両方がいるわけだが、後者の中には飲食店他商売を始めた人も多く、その人たちが、昔の自分に若いミュージシャンの姿をダブらせ応援したくなる……そんな素敵な関係が、福岡の街ではあちこちで“成立”している。

また、プロを目指している人や、メジャーデビューを目指している若手をバックアップする、横山氏のようなミュージシャンに愛情を持って接するラジオマンやTVマンも多い。そして地元音楽情報誌、フリーペーパー、webサイトなどのメディアも充実。情報の収集・発信に関して非常にアクティブで、さらにライヴハウスやレコード・CDショップなど、音楽に携わる全ての人がやはり愛情を持って、その“チャンス=きっかけ”を与えていたことを忘れてはいけない。それは今も変わらない。音楽をやっている人間にとってはとてもやりやすい、でも厳しい目を持ったプロが多い、そんな恵まれた肥沃な“土壌”があるのが福岡だ。

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先人に続け!そんな気概を持った精神力が強い人が多い

また、何かイベントや催しものがあれば、積極的に参加する人が多いのが福岡の人たちの特徴なのだとか。ここにも目立ちたがり屋という一面が出ているが、見方を変えればチャンスを自分でつかみに行く人が多いともいえる。そういう気質は、例えば久留米市は大正琴や踊りを習っている老人の数が、全国的にみても多いといわれており、これはお盆やお正月など親戚が集まるとその人たちの前で歌や踊り、大正琴など芸を披露する風習があるためで、人前で何かをやるのが好きな血が、昔から脈々と流れているようだ。

ちなみに、芸といえばあの渡辺プロダクションの創業者・渡辺晋氏も福岡県出身だ。

多くのアーティストを生み出し、今も生み出し続けている福岡。先輩たちに続けという気概に満ちた人達も多いのだろう。そんな、大きな目標に何が何でもたどり着くんだという、意志と精神力の絶対的な強さと、周りの人達の“熱い心意気”とがアーティスト王国・福岡を作り上げた、とても大きな要因のひとつなのではないだろうか