クリーンウッド法は、違法木材の隠れ蓑になる?

木造住宅に使われる木材の何割が合法的に生産されたものだろうか。(ペイレスイメージズ/アフロ)

 日本でも、ようやく違法伐採木材の取引を規制するためのクリーンウッド法が昨年より施行され始めた。オリンピック・パラリンピックの開催に合わせて作られたわけだが、内容を細かく見ていくと、「これって、むしろ違法伐採された木材を合法のように見せかけるのに使えるんじゃないの?」と思わせる項目に気がついた。その点をツッコンでみたい。

 クリーンウッド法がザルであるのは、関係者ならみんな感じているはずだ。

 まず合法木材を使うのは努力義務であり、罰則もない。欧米では「合法だと確認できない」グレー木材の使用も罰則対象だが、日本ではグレー木材は何ら規制されていない。そもそも基本理念からして違法木材の追放ではなく、合法木材推進である……。

 これらだけでもかなりのザルなのだが、合法木材を扱う業者は任意で登録することになっている。登録すると消費者PRできる、地域から信頼されるなどのメリットを上げているが、逆に言えば登録しなくても何のお咎めもないわけだ。

 さらに条文を読んでいくと、登録にも2種類あった。第一種木材関連事業を行う者の登録と、第二種木材関連事業を行う者の登録だ。第一種は、木材の輸入や伐採、製材などを扱う業者。第二種はさまざまなところから木材を購入して使う業者で、集成材やプレカットの工場、製紙、バイオマス発電、そして建築関係など木材加工や利用者が対象と思っていいだろう。こちらの登録は、木材等すべてではなく、種類を限定して行うこともできる。

 登録すると、「クリーンウッド法に基づく業者」であることを表示できる。つまり、我が社は合法木材を扱っていますよ、という宣伝に使えるわけだ。ここで問題は第二種の業者だ。

 第一種業者は、樹種、原材料となる樹木が伐採された国または地域などの情報を収集するのだが、それを他社に販売する際に、それらの情報を記載しない。だからそれらを手にする第二種業者は、樹種や原材料の樹木の産地などについて把握できない(する必要もない)。また合法性確認の対象は、自ら調達するものに限られる。たとえば下請事業者が木材などを調達し施工する場合、元請事業者は合法性確認の対象とならない。購入元から提供を受けた書類その他により合法性の確認を行うとしているが、確認できなかった場合もOKなのだ。

 

 それでも登録できれば世間には「クリーンウッド法を守って合法木材を扱う業者です」と説明できる。表示は「第一種登録木材関連事業者」、「第二種登録木材関連事業者」と違うが、その差を一般人が知ることはほとんどないだろう。

 これらをもう少しかみ砕いて説明すると、第二種業者は、一部の樹種や一部の商品(建材)に限って登録すればよい。すると登録事業者になっても、合法木材でない木材も扱える。結果的に違法な木材を扱ったとわかっても、登録は取り消しにならない。そして消費者に売るときに、合法木材であるかどうか確認の有無を示す必要もない。

 たとえば一部の柱材に限って登録しただけの住宅メーカーが「合法木材を使っています」と宣伝できるようになる。ところが内装など柱以外の木材は、出所のわからないグレー木材を使えるわけだ。それでは「我が家は(全部)合法木材で建てられた」と信じている施主を裏切ることになりかねないだろう。

 登録も使い方次第で、違法木材の隠れ蓑にすることを合法的にできるのだ。ようはクリーンウッド法に登録したからと言って、合法を約束するわけではない。

 私の手元に、「建築・建設事業者の方へ クリーンウッド法に基づく事業者登録のすすめ」というパンフレットがある。全国で開かれている登録を推進するセミナーで配られたものだという。

 その中の第二種業者に関する項目には、「合法性が確認できない場合でも、追加の措置は求められません」「木材等の樹種、伐採された国や地域を把握する必要はありません」と赤字で強調されている。まるで、これが抜け道ですよ、と教えるかのように。

 日本は、産官上げて違法伐採の規制を骨抜きにしたいのだろうか。