林業界の差別、違法伐採……国際社会の冷やかな目

先日、某機関より聞き取り調査を受けた。この機関は、国際的な機関と関わりがあるのだが、日本の林業事情の調査の一環なのだそうだ。

聞き取りのテーマは、なんと「林業労働における差別はあるかないか」であった。とくに取り上げられたのは、女性差別に部落差別、そして障害者差別だった。私には振られなかったが、少数民族……アイヌ民族や沖縄人、朝鮮半島系の人々に対する調査も行われるようだ。

ちょっと盲点を突かれたような気分になった。林業界の問題は数あれど、「差別」を意識する機会は少なかった。実際、議論の俎上に上がることはほとんどなかったような気がする。

だが改めて考えると、たしかに女性が林業界に就職しようとすると、男にはない障壁がある。近年「林業女子」が持て囃されているが、実際に林業現場で働く女性は圧倒的に少なく、また職に就いたら就いたで様々な問題に直面していることは、私の耳にも多少は入っている。たとえば「女性だから」と就職希望を門前払いしたり、現場ではセクハラ的な言葉や行為が起きたり、男性との賃金格差が存在したり……などだ。だから林業界に差別問題はないとは言えない。

ただ、それが林業界ゆえの問題と言えるのか、日本の社会全体の問題として捉えるべきかは、迷うところだ。同じことは部落差別、障害者差別などにも言えるだろう。

むしろ林業職の中における待遇格差の方が気になる。公務員や森林組合の職員には、言うまでもなく月給制で有給休暇もボーナスもあるが、作業員の多くは日給制や出来高払い。休みも保証されないケースを聞く。昇給だってあるのかないのか。さらに労災認定などの権利もないがしろにされやすい。そこには「差別意識」が横たわっている気がする。

ただ、差別の内容に関して考える前に、私が驚いたのは、国際機関がそうした目を日本に向けている点である。おそらく世界各地では差別問題は林業界の重要な課題なのだろうが、同じ視点を日本にも直に確認を求めてくるのだ。

そういえば違法伐採問題でも、日本は国際社会から注目されている。

世界的に違法伐採による森林破壊が深刻化しているが、日本の輸入する多くの木材の中に違法木材が紛れ込んでいる可能性がある。とくにインドネシアやマレーシア、ロシア、中国、ラオス、ベトナムなどから輸入される木材、および木材製品の多くが、違法伐採によって得られた木材であるとされている。それは2010年の日本の輸入量全体の中で、丸太換算で12%を占めると見込まれている。一方で、調査された消費5か国のうち、日本は違法リスクの高い木材製品の100万人あたりの消費量はもっとも多かったという。

さらにメディアがそれを報道しているか、政府はどんな対応をしているかといった点もチェックしている。それが日本の対応が世界各国に比べて非常に遅れていることを指摘する。

輸入木材だけではない。国産材も問題視されている。

林野庁ガイドラインでは、グリーン購入法によって国産材には合法証明をつけさせるようにしたが、これがほとんど機能していないとされるのだ。なぜなら木材業界の団体による自主制度だからである。国際的に通じる合法証明は、第三者機関が審査しなければならないのだが、日本では木材の生産関係者が自ら書類を作成して証明を発行しているのだ。そして合法性が証明されたとする木材でも、その生産で大面積の皆伐が行われている例は少なくない。世界的基準では、とても森林環境に配慮したとは言えないだろう。

最近は、国産材の海外輸出も増えつつあるが、そうした合法性のあやふやな木材を輸出することは、さらに問題を複雑化してしまう。

ほとんどの指標において日本の状況は、2010年以降進んでいない。さらに違法伐採問題への世間の関心も、メディアの報道から判断すると低いとされている。

労働上の差別。木材生産の違法性。世界が日本の林業界を観る目は、想像以上に厳しいのではないか。そうした冷やかな目を日本の林業界、および国や自治体の行政機関は気づいていないのではないか。

昨今、経済のグローバル化が進んでいるが、こうした法律や倫理に基づく規定も対象になっている。問題の把握と解決に真摯に取り組まないと、いつか手ひどいしっペ返しが起きるかもしれない。