日本唯一にして日本一の森林ジャーナリスト。自然の象徴の「森林」から人間社会を眺めたら新たな視点を得られるのではないか、という思いで活動中。森林、林業、そして山村をメインフィールドにしつつ、農業・水産業など一次産業、そして自然界と科学(主に生物系)研究の現場を扱う。自然だけではなく、人だけでもない、両者の交わるところに真の社会が見えてくる。著書に『鹿と日本人 野生との共生1000年の知恵』(築地書館)『絶望の林業』(新泉社)『獣害列島』(イースト新書)など。Yahoo!ブックストアに『ゴルフ場に自然はあるか? つくられた「里山」の真実』。最新刊は森の常識に異論を突きつけた『虚構の森』(新泉社)。
記事一覧
- 林業の主産物は木材よりキノコ?
林業産出額は、近年は5000億円前後を推移している。だが木材生産額は、その半分程度にすぎない。残りの多くは栽培キノコが稼ぎ出しているのだ。だが林業補助金の多くは、木材生産に関する分野に偏っている。
- 広がる盗伐を「伐採届の改定」は防げるか
立木を伐採する際に提出する伐採届。その洋式が今年4月から大きく改定された。盗伐対策の一環だ。木材価格高騰のウッドショックを受けて全国に盗伐が広がってきた。果たしてその動きを止めることはできるだろうか。
- 都会にある大木を伐るのは賛成?反対? 錯綜する市民の声
都市公園の木や街路樹を伐採するとなると、すぐ反対の声が上がる。一方で大木が身近にある人は、邪魔とか危険だからと伐ってくれという声も意外と多い。さて、どちらを選ぶか、都市の緑の効用も含めて考えてみよう。
- 意外?気候変動は世界の花粉症を減らすかも
気候変動によって花粉飛散量が増えるという研究が出ている。一方で森林や草原が減ることで花粉症を引き起こす植物が減る可能性も指摘される。また、新たな花粉症の登場も…。人類と花粉症、その関係は複雑怪奇だ。
- 「ウクライナの森」が日本に輸入される裏事情
ウクライナ危機でロシア材は入ってこなくなったが、ウクライナ材も輸入されていたことに気づいた。それも盗伐された木材の疑いが濃厚だ。戦乱は盗伐を加速させかねない。輸入する日本側も目を光らせる必要がある。
- ウクライナ危機で、ウッドショックはどうなる?
昨年は木材価格を高騰するウッドショックで騒がれた。今年はウクライナ危機。ロシアは木材輸出大国だけに、経済制裁が進めば影響が出そうだ。日本にロシア材は直接入らなくても、産地偽装される可能性もある。
- 建築のコンビニおにぎり?大型パネルが林業を振興する理由
建築業界に新たな工法が登場した。建物の壁を大型パネルとして工場でつくるのだ。この建築法だと「場所メリット」のある国産材が有利となり、山元の利益を増やすことができる。日本の林業を改革する一手になるか。
- 「間伐材を有効利用」という言葉に潜む勘違いと傲慢さ
間伐は、残す木を育てるため劣等なものを選んで伐ること。間伐材は質が悪いのに無理して使って環境に貢献している。だから間伐材の価格は安くすべき……そんな発想をする人が少なくない。これこそ傲慢な発想だろう。
- 林業が衰退したおかげでスギ花粉は少なくなった!?
「間伐遅れでスギが弱っているから花粉を多くつくる」。そんな発想が出回っているが、おかしい。弱っている動植物は繁殖活動は減らすのが普通だからだ。そうならば間伐遅れの現在の林業事情がもたらしたのは?
- パーム油は悪か。人類の油脂依存症に目を向けろ
パーム油に対する批判が強まっている。だが、本当にパーム油、ひいてはアブラヤシの栽培はケシカランことなのだろうか。むしろ森林破壊を抑えている面もあるのだ。より大きな問題は、油脂を求め続ける人類側にある。
- ありえない!木を燃やして脱炭素という虚構と欺瞞
二酸化炭素排出削減を旗印にバイオマス発電の建設が加速している。だが、そもそも木を燃やして二酸化炭素を削減できるという理屈が怪しい。木を燃やしてカーボンニュートラルという虚構を考え直すべきである。
- 地上権が消える?分収造林裁判でびっくりの判決
名古屋高裁で「分収造林契約が終了したら、植えられた木は全部土地の所有者のもの」とする判決が出た。これは林業界で歴史的に持たれていた「立木と土地の権利は別」とする意識を変えるかもしれない。
- 「考えるな、感じろ」。森のようちえんの底力を探る
森のようちえんが盛り上がっている。野外教育や環境教育に携わる人々も続々と参入してきた。その理由を探ると、頭で考えてから動くより、まず肌で感じよう、というブルース・リーの言葉を思い出したのである。
- オオカミよりも柴犬を放て。獣害対策に有効な「放し飼い」
獣害対策に、訓練されたイヌを集落に放し飼いする「忠犬事業」が広がっている。おりしもニホンオオカミにもっとも近い種は柴犬だとわかってきた。ならば柴犬こそが獣害に対する切り札になるかもしれない?
- 木材自給率爆上がり!その理由は途上国的木材需要にあり?
2020年の木材自給率は、前年比44%と爆上がりした。だが木材需要は落ちている。上がった理由はバイオマス燃料の用途が増えたからだった。これは燃やすために木を伐っていることを意味する。これでいいのか?
- 首里城のためならカシの大木の伐採OK? いや反対?
首里城の再建のため、石垣島のオキナワウラジロガシの大木が伐られようとしている。だが地元には複雑な歴史的感情もあり反対運動が起きている。文化財ではない復元建築物に、なぜ無垢の大木を使いたがるのだろうか。
- 木材利用促進が林業を狂わす? 木あまり時代を直視しろ
10月は、木材利用促進月間だそうである。なぜ木材利用を増やそうとするのか。実は木があまっているからだ。ただ政策的に木材を増産したものの使い道がない、だから価格は下落するという悪循環に陥っている。
- 割り箸こそSDGsなアイテム。今こそ復権を!
レジ袋やストローなど身の回りのプラスチック製品の追放が広がる中、不思議と誰も指摘しないのが飲食店のプラ箸。これを木製の割り箸に代えることはSDGsにも合致している。とくに国産割り箸に目を向けてほしい。
- 奈良県が止めたメガソーラー計画の現場から見えてきたもの
メガソーラーの建設が進む各地で反対運動が起きている。しかし、なかなか止められないのが現状だ。このほど奈良県平群町で工事が進んでいた計画を県が止めた。何がそれを可能にしたのか。現場から紹介しよう。
- CO2削減の切り札?再エネの拡大は可能なのか
公約のCO2削減46%を達成するためにバイオマスや太陽光、風力など再生可能エネルギーを増やす計画が進んでいる。だが、それは可能なのだろうか。そして達成したとしても気候変動を止める効果があるのだろうか。
- いつまで続く?ウッドショックから見えてきた「断絶」
木材不足と価格高騰によるウッドショック。これを機に国産材を増産して林業を復活させようという声も強い。だが、よく観察すると、林業界と木材・建築業界の深い断絶が浮かび上がる。本当のウッドショックとは何か。
- 5年後が危険!伐採跡地が崩壊するとき
熱海の土石流災害で、改めて崩壊しやすい山地に注目が集まる。たしかに全国で伐採跡地は増えてきた。だが本来の盛り土は崩壊しにくい。伐採直後の裸地も崩れにくい。本当に危険なのは、どこか。そしていつなのか。
- 保安林解除を迅速化?森林破壊進める再生可能エネルギー
気候変動を抑えるため、再生可能エネルギーの拡大が至上課題となった。そのために森林保全のための保安林指定を解除しやすくする動きが進み出した。だが本当に、再生可能エネルギーは二酸化炭素を削減するのか。
- 国産材の評判落とすかも?改正された木材利用促進法
木材利用促進法が改正された。脱炭素社会のため公共建設だけでなく民間も含めて木材利用を促している。ただ、そこに「国産材」という言葉はない。なぜ使えないのか、外材を使ってもよいのか。問題は根深い。
- ウッドショックの価格は安すぎる!木材価格を決めるのは何か
木材価格が2倍になった、と騒がれるウッドショック。しかしまだ安すぎる。30~40年前の木材は、今の3倍4倍の価格だったのだ。それがなぜ凋落したのか探ると、日本林業復活の方向性も見えてくるだろう。