グランド・モルト・テイスティング2017、今回の主役は「オー岬」

グランピングをイメージしたステージで新作を発表するラムズデン博士

 去る9月7日(木)、MHDモエヘネシーディアジアが主催するウイスキー・ラヴァーが待ちに待った「グランド・モルト・テイスティング2017」が東京・恵比寿アクトスクエアにて開催された。開場と同時に長蛇の列ができ、ウイスキー人気の衰えぬ様を目にした気分だ。

 2011年からスタートした本イベントは、2015年に開催されてから2年ぶり5回目。開催年毎にゴージャスな装飾が施される中、今回は「秋の夜長とシングルモルト」がテーマとなり「アクトスクエア」は今流行りの「グランピング」をテーマに飾り立てられた。

 

開場前、テイスティングカウンターに整然と並ぶモルト・ウイスキーたち
開場前、テイスティングカウンターに整然と並ぶモルト・ウイスキーたち

今回のテイスティングで味わうことができたスコッチ・ウイスキーは、アードベッグ、タリスカー、グレンモーレンジイ、ラガヴーリン、オーバン、カリラ、クライネリッシュ、クラガンモア、グレン・エルギン、グレンキンチー、ダルウィニー、モートラックの12銘柄。どれもシングルモルト好きなら定番…といった品々だが、それぞれ異なったビンテージが用意され、希少ボトルも散見されたので、バー・カウンターにはやはり長い列ができていた。

 目玉は本邦初公開、アードベッグの「An Oa(アンオー)」。ピーティでスモーキー、熱狂的支持を受けるアードベッグとして約10年ぶりの新作が、蒸留・製造責任者であるビル・ラムズデン博士から発表された。アードベッグ蒸留所が位置するのは、スコットランドの西に浮かぶ荒波著しいアイラ島。その島の最南端にある「マル・オブ・オー(the mull of Oa)」(オー岬)の崖は長年、大西洋の荒波を受け、今では険しい岩肌も丸みを帯びているという。大西洋の荒波と岬の内の静かな入江…そんなイメージが、新作「アンオー」の中で炸裂している。

 新作を作るにあたり完成間近といった状況で、ラムズデン博士はある朝目覚めると「これは違う!」とそれまでのレシピをすべて破棄。一からやり直し、今日の味に至ったと明かした。その味を「シルクで包まれた鉄の拳のよう」と表現していたのが印象的だった。

 アンオーは、リフュールアメリカンオークとチャーしたアメリカンオークの新樽とペドロヒメネス(PX)樽のバッティングからのフレンチオークの大樽でマリッジした独特のテイストを持ち合わすたまげる味だった。10月4日(水)に全国発売とのことゆえ、本イベントを逃したウイスキー・ラヴァーはそれまでの辛抱だ。

 毎回、華やかで愉しい本イベント。今回は、アンオーの発表会としての印象ばかりが強かったのは、BAR評論家として少々残念ではあった。