「スーパースターの存在価値」~タイ戦が示唆するもの

(写真:中西祐介/アフロスポーツ)

初戦で「チョイス」の失敗を認めた指揮官の采配に注目が集まる第2戦。フレッシュさと競争をもたらしたかったと浅野と原口の起用について試合後に語った指揮官ですが、アウェイで「負けない」ために長谷部の相棒に山口を選び、サイドでしかけるべく原口を初戦の清武に替えたことは、予想の範疇だったとはいえ、背水の陣であった負けられない戦いで、絶対的エース岡崎でなく浅野を起用したことは僕を驚かせました。

それにしても初戦の敗戦から日本代表の劣勢を煽るような報道が実に目立つ数日間でした。経済成長背景に躍進著しいタイサッカー「界」、国や企業から支給される勝利ボーナス、スコールによる激しい雨、待ち受ける中東の笛、等々…ただ、これらが杞憂であることがキックオフ直後にわかります。わかりやすく言えば、タイ代表は強くなく、試合はワールドカップ常連チーム対東南アジアの新興チームの構図だったのです。注目の浅野がサイドで起点となり、忘れていたサイドアタックをしかけ、前半18分に酒井宏のクロスにあわせた原口がダイビングヘッドで先制点をあげます。後半30分に相手DFのロングボール処理ミスから浅野が追加点。

「采配的中」と評されるのでしょうか。初戦と入れ替えた2名の得点で、勝ち点3をもぎ取った指揮官のチョイスが正しかったのでしょうか。後半25分までシュートゼロの相手に展開されたワンサイドゲームで判断するのはなかなか難しい作業です。ただ果敢に裏を狙う浅野の動き出しやボールを失ったあと激しいチェイスでショートカウンターの起点になった原口のディフェンスは称賛に値するもので、初戦にはない「必死さ」がピッチの上で表現されていました。一方で、そのワンサイドゲームに似つかわしくなかったのは、目に見えて明らかだった本田と香川の低調なパフォーマンスです。ペナルティエリアに侵入した浅野の左サイドからのグラウンダーのクロスを本田が合わせきれなかった先制点直後のシーンに代表されるように、いくつかの決定機をものにできず、流れのなかでの「ボールの失い所」になっていました。

ハーフタイムのテレビCMでも活躍を目にするスーパースターの不調が際立つほどに、若手選手が必死にアピールできた第2戦。今日活躍した浅野や原口がヨーロッパで経験値を積みあげ、本田や香川のように強豪国相手でも対等に渡り合えるようになることで、今日不調であった二人をコンディションによっては、指揮官が自信をもって休ませられるようになったときに初めてワールドカップ本戦で戦える姿を想像できるようになるのかもしれません。忘れてならないのは、出場ではなく本戦での躍進が目標であることです。