<イラク・シリア>ワールドカップをともに観戦できる日を願って(画像9枚)

ラッカでスパイをしたとしてISはサッカー選手らを処刑。(2016年:IS写真)

◆サッカー選手やスタジアムもISの標的に

盛り上がりを見せるサッカー・ワールドカップ。イラクやシリアの子どもたちの一番の人気スポーツは何といってもサッカーだ。

「どのチームが好き?」と聞くと、「僕はレアル・マドリード」「断然、FCバルセロナさ」と各国のチーム名がいくつも挙がる。

いまからちょうど4年前、ワールドカップのブラジル大会が開かれていた頃、イラクとシリアでは過激派組織イスラム国(IS)が急拡大していた。

2014年6月、ISはイラク第2の都市モスルを制圧し、「国家」樹立を宣言。8月にはシンジャルのヤズディ教徒を襲撃し、大量虐殺と女性拉致が起きる。9月にはシリア・コバニの総攻撃を開始した。

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当時、イラクやシリアの知人、友人たちがネットで発信したいくつもの悲鳴。

「どこにも逃げる場所がない」「親戚が殺された・・・」

ワールドカップに世界が沸くなか、数十万の人びとが家族や土地を失い、悲しみのどん底にあった。

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ISはサッカー自体は否定せず、シリア・マンビジではサッカーをする子どもたちの映像も。シリア入りした外国人戦闘員の子どもが施設で集団生活を送っていた。(2015年・IS映像)
ISはサッカー自体は否定せず、シリア・マンビジではサッカーをする子どもたちの映像も。シリア入りした外国人戦闘員の子どもが施設で集団生活を送っていた。(2015年・IS映像)
シリア・マンビジでサッカーをする子どもたち。外国人戦闘員らの家族移住者の施設では、こうしたスポーツ活動に加え、信仰教義学習や軍事訓練などもおこなわれていた。(2015年・IS映像)
シリア・マンビジでサッカーをする子どもたち。外国人戦闘員らの家族移住者の施設では、こうしたスポーツ活動に加え、信仰教義学習や軍事訓練などもおこなわれていた。(2015年・IS映像)

サッカーもまた戦争に巻き込まれてきた。多数の人が集まるサッカーの試合は、ISの標的となった。

2015年、フランス・パリで起きたISによる連続襲撃事件では、オランド大統領とドイツ外相も観戦する仏独サッカーの試合中のスタジアムが狙われ、入口近くで自爆テロが起きた。

2016年にはバグダッド南部の町でアマチュア・サッカーの試合で自爆攻撃があり、30人以上が死亡。ISの自爆犯はまだ10代とみられる少年だった。

2015年、ISはイラク・アンバルで完成間近のスタジアムを爆破。イラク軍が拠点に使うのを妨害する意図があったとみられる。(2015年7月・IS写真)
2015年、ISはイラク・アンバルで完成間近のスタジアムを爆破。イラク軍が拠点に使うのを妨害する意図があったとみられる。(2015年7月・IS写真)

サッカー・スタジアムも被害を受けている。イラクでは2015年、完成目前だったアンバル・スタジアムがISによって爆破された。

昨年にはシリア・デリゾールで政府軍の弾薬備蓄場として使われていたスタジアムに、ISドローンが爆弾を投下し、備蓄弾薬が大爆発を起こしている。

サッカー選手も犠牲となっている。ISはシリア・ラッカでスパイ活動をしていたなどとして、地元サッカー選手ら5名を公開斬首し、殺害した。処刑を見に集まった群衆のなかには子どもの姿もあった。

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ISの「国家宣言」から4年。いまISは支配地域を大きく失い、壊滅寸前ともいわれる。だが、戦火や混乱は収まったわけではない。シリア・イラクで故郷に帰れず避難民となったままの住民は数百万にのぼる。

次のワールドカップは2022年、カタールで開催される。シリアやイラクの子どもたちが、世界とともにサッカーを心から楽しんで観戦できる日がくることを願うばかりだ。 

2016年、バグダッド南部のアマチュア・サッカー試合で自爆したISの少年戦闘員。30人以上が犠牲となった。ISは声明で「シーア民兵を狙った」などとした。(2016年3月・IS写真)
2016年、バグダッド南部のアマチュア・サッカー試合で自爆したISの少年戦闘員。30人以上が犠牲となった。ISは声明で「シーア民兵を狙った」などとした。(2016年3月・IS写真)
イラク・タラファルでは、2015年にIS行政部門が小規模のサッカー場を新設した様子を伝えている。(2015年・IS写真)
イラク・タラファルでは、2015年にIS行政部門が小規模のサッカー場を新設した様子を伝えている。(2015年・IS写真)
イラク北部クルド自治区でサッカーをする小学生。FCバルセロナのメッシ選手が好き、という声が圧倒的だった。(2016年:撮影:玉本英子)
イラク北部クルド自治区でサッカーをする小学生。FCバルセロナのメッシ選手が好き、という声が圧倒的だった。(2016年:撮影:玉本英子)