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朝食戦争に終止符か? 函館ホテル関係者に戦慄走る!

瀧澤信秋ホテル評論家
たっぷりのいくらを熱々ご飯に(著者撮影)

函館ホテル関係者から嘆きのメール

北海道新幹線の開業を契機に増え続けたホテル(著者撮影)
北海道新幹線の開業を契機に増え続けたホテル(著者撮影)

知己である某全国チェーンホテル北海道担当者から嘆きのメールが来たのが今年の春。「函館が大変です!ホテルの急増もそうですが人気のベイエリアに凄いホテルが開業します。ヤバいです!」といった内容だった。夏前にかけてご当地の別ホテル関係者数名からも同様の内容で連絡が来た。そもそも函館“も”ホテル供給過多といわれている。も、というのも函館ばかりでなく観光で人気の都市では近年ホテルの開業ラッシュが続き、軒並み供給過多が叫ばれているからだ。

函館のホテルラッシュは北海道新幹線の開業により一気に顕在化した。開業前である2014年度末を見ると168軒(8114室)だったが、2018年度末で213軒(9079室)と急増している(市保健所集計)。特に函館駅周辺はホテル立地として人気で、近年既存のホテルでは「ラビスタ函館ベイ」の独り勝ちといわれてきた。同ホテルはビジネスホテルの「ドーミーイン」で知られる共立メンテナンス運営のリゾートホテルで、ドーミーイン同様に温泉大浴場や朝食のクオリティの高さで多くのゲストを魅了してきた。

函館ベイエリアホテル朝食戦争

ラビスタ函館ベイで人気沸騰した海鮮丼コーナー(著者撮影)
ラビスタ函館ベイで人気沸騰した海鮮丼コーナー(著者撮影)

特に朝食は、ブッフェにして海鮮丼を作れることで人気が沸騰。大量に盛られたいくらをたっぷりとご飯にかける光景は衝撃的で、メディアでも頻繁に取り上げられ全国区の人気となった。いまとなってはビジネスホテルも含め、北海道のホテル朝食ブッフェで海鮮丼はデフォルトになりつつあるが、火を付けたのはラビスタ函館ベイと同じくメディアへ頻出した「ドーミーインPREMIUM札幌」といっても過言ではない。

函館国際ホテルでは朝からステーキ実演も登場した(著者撮影)
函館国際ホテルでは朝からステーキ実演も登場した(著者撮影)

そんな函館ベイエリア朝食事情に一石を投じたのが、ラビスタ函館ベイに並ぶ立地の「函館国際ホテル」。同じくブッフェ形式の朝食では、完全にラビスタ函館ベイを意識した充実の海鮮丼コーナーを設け、さらに目の前でグリルされる“ステーキコーナー”まで登場した。朝からステーキである。同ホテルはラビスタ函館ベイと異なり、会議室や展示場などのコンベンションを備えるフルサービス型のシティホテルであるが、差別化を図るべく近年巨額を投じて客室ほか施設をリニューアルした。

朝食戦争に終止符か?話題の最新ホテル

函館ベイエリアを一望できる客室(著者撮影)
函館ベイエリアを一望できる客室(著者撮影)

まさにベイエリア2大ホテルによる朝食戦争が繰り広げられてきたわけであるが、函館のホテル関係者に戦慄が走ったのが2019年5月の「ホテルセンチュリーマリーナ函館」開業だという。頭書のホテル関係者が「ヤバい」と憂慮したホテルである。既述の2ホテルに並び港に面した立地であるが、ラビスタ函館ベイ、函館国際ホテルよりも駅寄りで朝市へも至近。とはいえ朝市で海鮮グルメを楽しむ必要がないほどの朝食クオリティは圧巻の一言に尽きる。

ちょうど良い量のホカホカご飯(著者撮影)
ちょうど良い量のホカホカご飯(著者撮影)

肝心の海鮮コーナーではやはり“いくら”に注目。大皿にたっぷり盛られた光景はこれまでもよく見られたが、こちらは2段に皿を用いていまにも溢れんばかり。そのほかのメニューも他ホテルでは見られない多くの工夫が光る。中でも驚くのがご飯の提供。一般的にブッフェでは炊飯器から直接盛り付けるのが普通であるが、こちらでは小ぶりの陶器製お櫃(おひつ)に入れられ、さらに保温のため巾着袋に包まれている。見たことのない方法だ。なんと朝からスパークリングワインのフリーフローまで。これ以上の朝食は今後出現するのだろうか?という思いにかられる。

最上階の露天風呂からは函館山を望む(ホテルオフィシャル)
最上階の露天風呂からは函館山を望む(ホテルオフィシャル)

これまでの2ホテルでも天然温泉の温浴施設はご自慢だったが、ホテルセンチュリーマリーナ函館も負けず劣らず。最上階に設けられた大きな露天風呂からは函館山と港町の絶景が広がる。とにかく動線やゲスト同士の目線などにも気遣いを感じるホテルである。

さらに新規開業を控える函館ホテル事情

冬の函館も魅力的(著者撮影)
冬の函館も魅力的(著者撮影)

ホテルセンチュリーマリーナ函館は既存2ホテルの朝食や温泉施設を研究し尽くしたいわば後出しジャンケンホテルであるが、既存ベイエリア2大ホテルも黙っているわけがない。ベイエリア2大ホテル戦争が三つ巴合戦となり競り合っていくのかも注目だ。

また、函館ではいまでも多くのホテルの工事が進み今後も開業が控えている。客室数ベースでいえば、2019年以降の数年で2000室以上増える見込みで、函館駅周辺に加え五稜郭公園・湯の川温泉エリアでも新たな施設が増えるという。さらなる“後出しジャンケン”が誕生するのかにも注視したい。

※記載の各ホテルの情報・写真は取材時のものであり実際の利用に際しては最新の情報を確認いただきたい

ホテル評論家

1971年生まれ。一般社団法人日本旅行作家協会正会員、財団法人宿泊施設活性化機構理事、一般社団法人宿泊施設関連協会アドバイザリーボード。ホテル評論の第一人者としてゲスト目線やコストパフォーマンスを重視する取材を徹底。人気バラエティ番組から報道番組のコメンテーター、新聞、雑誌など利用者目線のわかりやすい解説とメディアからの信頼も厚い。評論対象はラグジュアリー、ビジネス、カプセル、レジャー等の各ホテルから旅館、民泊など宿泊施設全般、多業態に渡る。著書に「ホテルに騙されるな」(光文社新書)「最強のホテル100」(イーストプレス)「辛口評論家 星野リゾートに泊まってみた」(光文社新書)など。

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