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満室時でもホテルを予約する“3つの3+Tの法則” ダメ元で体当たり宿泊してみた

瀧澤信秋ホテル評論家
秋の行楽シーズンはホテルも高稼働(著者撮影)

ホテルの予約が集中する旅行シーズン

今秋は大きな台風の影響もあり、旅行のプランを立てていた人にとっては予定の変更など強いられた方も多かったことだろう。人気観光地でもいまだ復旧の目処が立たない場所もある。一方、秋は旅行のベストシーズンといわれ、11月の初めには三連休も控えている。

連休をはじめ、多くの人々が移動するような時期やイベントなどの際には、ホテル予約も集中することは周知の事実。特にここ数年は訪日外国人旅行者の激増もあり、大都市部を中心にホテルの予約が困難になる傾向が指摘されてきた。

また、最近では東京オリンピックの観戦チケットを確保したのにホテルが取れないという声が多数あり、蓋を開けてみると大会組織委員会で大量の事前キープをしていたという問題も発覚した。

ホテルが取れないときの確保術

筆者は日常的にホテルに宿泊するのが仕事という側面があり、稼働率や料金変動には人一倍敏感だ。ホテル評論家としてデビューした当初よりメディアから多いオファーが予約術に関すること。中でも繁忙期に予約する方法といった裏技的な問い合わせが多い。

今回は、以前の記事『3倍5倍は当たり前!? ラグビーワールドカップなど大イベント時の「ホテル取れない、料金急上昇」問題』で、次回考察するとした“ホテルが取れないときの確保術”について考えたいと思う。 

筆者が初めて予約術といった記事を執筆したのが2016年5月。ちょうど訪日外国人旅行者の激増でホテル不足が叫ばれた時期だ。某媒体で「満室でも諦めない“3つの3+Tの法則”」として発表、大きな反響がありテレビのワイドショーをはじめ各種メディアで紹介された。

多くの方から予約できたといった嬉しい声をいただいたが、何より執筆媒体の社長自身が方法を実践、満室で諦めていたがホテルを予約できたとの報告が。当該媒体の年間アワードに記事を選出もいただいた。かような情報なので既にご存じの方もいるかもしれないが、今年に入り筆者自身も実証実験的な実践を試みており再度整理したいと思う。

いまやキャンセル狙いは王道

3つの3+Tとは、ホテルが満室でも予約のタイミングによっては、キャンセルされた客室が直前に確保できる可能性が高い方法を示したものである。ホテル業界でもキャンセル率の高さが問題視される中、繁忙期であってもキャンセルが出ることがあり狙い目だ(キャンセルしたいホテル予約の売買といったサービスも人気)。

キャンセルのタイミングとしては注目したいのがまず3日前。ホテルの予約をキャンセルする際にキャンセル料の設定を気にする方も多いかと思うが、よく見かけるのが“2日前や3日前からキャンセル料の発生”を明記してあるケース。すなわち3日前はキャンセルが出るタイミングといえる。

次の3は当日の午後3時。キャンセル料を承知の上でやむなく当日キャンセルという人もいる。ホテルへ申し訳ないという思いもあるのか、とにかくチェックイン時刻前には連絡しようと考える人が多いという。すなわち、当日であれば昼くらいからチェックイン開始の午後3時をひとつのメルクマールにしたい。

最後の3は3時間前。例えば東京~大阪への出張でホテルが確保できず、やむなく最終21時の新幹線で帰ることにしたといったケースでも、3時間前、18時くらいまでにはもう一度空室をチェックしてみたい。当日キャンセルは遅い時間でも発生することは多く料金も安くなる傾向が。東京~大阪の出張を例にしたが、当日予約ということで観光旅行では使える可能性は低いとしても、出張旅で3時間くらいあれば急なプラン変更でも何とか対処できるかもしれない。

最後のTはTelephone、電話のTだ。ホテル予約に際しては宿泊予約サイトを利用される方が多いだろうが、ホテルの担当者へ聞いたところ、繁忙日の直前キャンセルなどは予約サイトへ掲載されないこともあるという。予約サイトに掲載されていなくても電話で確認したら予約できたという声は多い。ただし、電話対応はホテル側の業務効率を下げることもあるので、節度ある問い合わせに留めたい。

体当たり宿泊記

このような方法を紹介してから時間を経たこともあり、特に当日予約という観点について2019年のゴールデンウィーク10連休というタイミングで、筆者自身が【GW10連休10ホテルに当日予約で“体当たり宿泊”】として実証実験をしてみた。

体当たり宿泊にあたり、5つのルールを決めた。

ルール1:予約できなかったときに備え車中泊できるように車で移動する

ルール2:経費節減のため東京から高速道路を利用しなくても行ける程度のエリアにする

ルール3:前日までは予定を決めず当日朝に行き先を決める

ルール4:行き先は人が多い場所(観光地か都市部)に限定する

ルール5:当日予約する(またはウォークイン)

・当日午前中に予約サイト等でチェックし、グレード、予算、立地など希望にかなうホテルを見つけたら予約

・昼までに見つからない場合は午後~夕方にかけて再度チェック

・1泊概ね1万円以内、これまで利用したことのないホテルを優先

【レポート】GW10連休10ホテルに当日予約! ”体当たり宿泊”してみた【前編】アパホテルや東横インに覆面取材

出典:文春オンライン

 

チェーン系ビジネスホテルで見られる傾向 

ビジネスホテルチェーンにも注目だ(著者撮影)
ビジネスホテルチェーンにも注目だ(著者撮影)

詳細はレポートを参照いただくとして、結論からいうとすべての日で予約ができた。当日の午前中には全く空きのない場合でも昼頃からちらほらと、夕刻以降はかなり料金が下がっての掲載が増えた。それでも空室がない場合では電話確認を実践し予約できたケースも。特に店舗数や客室数の多いチェーン系のビジネスホテルでそうした傾向がみられた。

ホテル予約について直近のキャンセル狙いを中心にまとめてみたが、ホテルの予約ができないことで既に旅行を諦めたような場合でも、直前に空きを見つけたら行ってみようという方には是非チェックいただければと思う。ただし、このような裏技的な情報は拡散されるほど裏技でなくなるというジレンマがある。

次回は引き続き満室時の予約術として、予約サイトの傾向分析や穴場的ホテルの予約について考察する。

ホテル評論家

1971年生まれ。一般社団法人日本旅行作家協会正会員、財団法人宿泊施設活性化機構理事、一般社団法人宿泊施設関連協会アドバイザリーボード。ホテル評論の第一人者としてゲスト目線やコストパフォーマンスを重視する取材を徹底。人気バラエティ番組から報道番組のコメンテーター、新聞、雑誌など利用者目線のわかりやすい解説とメディアからの信頼も厚い。評論対象はラグジュアリー、ビジネス、カプセル、レジャー等の各ホテルから旅館、民泊など宿泊施設全般、多業態に渡る。著書に「ホテルに騙されるな」(光文社新書)「最強のホテル100」(イーストプレス)「辛口評論家 星野リゾートに泊まってみた」(光文社新書)など。

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忌憚なきホテル批評で知られる筆者が、日々のホテル取材で出合ったリアルな現場から発信する辛口コラム。時にとっておきのホテル情報も織り交ぜながらホテルを斬っていく。

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