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大型台風や非常時のキャンセル料は請求しないホテルも 早めの連絡を!

瀧澤信秋ホテル評論家
台風などで欠航の場合に無条件でキャンセル扱いのホテルも(那覇空港:筆者撮影)

今年最も猛烈といわれている台風19号が週末には関東から紀伊半島へ接近、上陸の恐れがあると予報されている。前回の強烈な台風15号が関東へ上陸と予報されていた9月8日の夜、筆者は都心におり帰宅が困難になりそうだったため、馴染みのホテルへ避難すべく緊急にチェックインした。コストパフォーマンスも含め評価の高い人気ホテルであるが、低レートであっさりと予約ができた。翌朝フロントスタッフの話を聞くと、やはりキャンセルが多数発生したという。

災害などの非常時には基本的に請求しないというホテル多数

一般的にホテル予約のキャンセルについては、3日前~30パーセント/前日50パーセント/当日100%といった具合に、宿泊予定日からの日数に応じたキャンセル料が明示されている。キャンセルポリシーはホテルによりそれぞれで、頭書のホテルでは当日80パーセントといったキャンセルポリシーであったが、ホテルスタッフの話によると台風のような災害時、非常時には基本的に請求しないとのことだった。その他、取材した多くのホテルでかようなケースの場合には請求しない方針というホテルが多数だった。

台風銀座ともいわれる沖縄のリゾートホテルのキャンセルポリシーはどうであろうか。カフー リゾート フチャク コンド・ホテルなどの人気リゾートホテルを運営するKPG HOTEL&RESORTの田中正男氏によると、「台風の影響による予約者からのキャンセル申し出はもちろん、レガシーキャリアといった航空会社で(台風の影響で)ノーチャージが出た際も、個人・団体にかかわらず無条件でキャンセル代は請求しない」という。ギリギリまで行きたい、出発日まで見極めたいという人も多いだろうが、飛行機が飛ばないなら物理的に出向くのは不可能。ゆえにこうしたキャンセル料への不安を払拭するようなホテルのポリシーは有り難いといえる。ほとんどのゲストが飛行機で訪れる沖縄のホテルならではだろうか。

病気や事故の場合は?

台風などの災害ではないが、個人的レベルにおいて病気や事故などで急遽キャンセルせざるを得ない状況もありえる。地方都市で複数のホテルを運営する担当者に聞いたところ、「お客様それぞれの事情を最大限くみ取り適切な対応(キャンセル料の請求をしない)をするようスタッフに伝えている」という。中には虚偽申告もあるのでは?と問うと「とにかくお客様との信頼関係がホテルの礎ですから」とも語る。

あるホテルでは、やむを得ない事情でキャンセルし(キャンセル料不請求)訪問できなかったゲストが後日宿泊、その節の謝辞を受けたケースもあった。「そうしたことがきっかけでリピーターになっていただいた方もいる」と話す。ホテルはハード・ソフトそしてヒューマンといわれるが、ことさらヒューマン力はホテルの要。とかくドライといわれる今の社会にあって、まるでオアシスのようなホテルの潤いあるホスピタリティは、時に人の人生すら変える力がある。

早めの連絡を!無断不泊の場合は請求も

状況を鑑みた上、災害時や緊急時のキャンセル料を発生させないというホテルの例を紹介したが、取材した中には、公共交通機関が動いている場合はキャンセル料が発生するというホテルもあった。また、公共交通機関が動かないようなケースであってもノーショー(連絡なしの不泊)の場合は請求するというホテルは多くみられた。

他方、取材したホテルの全てが当日でもとにかく早めの連絡をもらいたいという。災害時にホテルへ出向けない人々がいる一方、ホテルに泊まる必要が生じる人々もいる。キャンセルが確定になる時間が早ければ早いほど、必要とする人々が予約できる機会が増す。

パッケージツアー等の場合

ホテルの予約は基本的にホテルと予約者の契約であるが、旅行代理店を通したパッケージツアー等の場合には、旅行会社と本人の契約になるので、キャンセルについてもホテルが一方的に操作できないケースがある。

一方、個人旅行のホテル予約で多くの人々が利用している“楽天トラベル”や“じゃらん”といった予約サイト上でキャンセルしようとすると、“直近の場合には直接ホテルへ連絡を”との表記と共に“ホテルからキャンセル料を請求されることがあります”と注意喚起される。この場合は、ホテルと予約者の関係に委ねられていることになるだろう。

あるホテル関係者は「予約サイトでよく見られるキャンセル料100パーセントといった(返金しない)事前決済プランであっても、災害時・非常時には返金を行う処理をしている」という。とはいえ「やはりキャンセルの発生は稼働に響くこともある上、何より手間暇のコストが発生するのでキャンセルは無いに越したことはないが・・・いずれにしても早めの連絡をいただけることは何より有り難い」と話す。

※特定のホテルを明記・例示することにより当該ホテルの安易なキャンセルを誘発させる可能性を鑑み一部ホテル名の表記を控えました

※本稿は国内のホテルについて記載していますが海外のホテルでは理由の如何に問わず請求というケースもあることを念のため付記します

ホテル評論家

1971年生まれ。一般社団法人日本旅行作家協会正会員、財団法人宿泊施設活性化機構理事、一般社団法人宿泊施設関連協会アドバイザリーボード。ホテル評論の第一人者としてゲスト目線やコストパフォーマンスを重視する取材を徹底。人気バラエティ番組から報道番組のコメンテーター、新聞、雑誌など利用者目線のわかりやすい解説とメディアからの信頼も厚い。評論対象はラグジュアリー、ビジネス、カプセル、レジャー等の各ホテルから旅館、民泊など宿泊施設全般、多業態に渡る。著書に「ホテルに騙されるな」(光文社新書)「最強のホテル100」(イーストプレス)「辛口評論家 星野リゾートに泊まってみた」(光文社新書)など。

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