そうだ!「行政書士」に相談しよう~「コロナ支援」も対応、全国「無料相談」開催中
「行政書士」と聞いてもどのようなサービスを提供する者かピンとくる人は少ないと思います。そのため、日本行政書士会連合会と各都道府県の行政書士会は、毎年10月を「行政書士制度広報月間」として、全国各地で無料相談を実施するなど行政書士制度の普及活動を行っています(今年は10月1日から10月31日まで)。
そこで今回は、私も行政書士の一人として行政書士について紹介したいと思います。
行政書士ができること
行政書士は、主に次の2つの書類に関する相談・作成及び官公署への提出代理を行っています。
1.行政手続書類
官公署に提出する書類
2.民事書類
権利義務または事実証明に関する書類
いずれも業務範囲が広いです。業務範囲が広いことが行政書士の特徴といえます。
ただし、他の士業の法律(弁護士法、司法書士法、税理士法、社会保険労務士法等)で制限されている業務はできません。たとえば、行政手続書類業務では、税務申告は税理士、法人や不動産の登記は司法書士の独占業務のため関与できません。また、民事書類業務では、裁判につながる紛争案件は弁護士業務であり関与できません。
行政書士のサービス
行政書士が市民に提供している代表的な業務を紹介します。
1.行政手続書類業務
新規事業を行いたい中小企業や個人事業主に、おもに次の許可取得のための相談・書類作成および官公署への申請代理等の法務サービスを提供しています。
・建設業許可申請
一定以上の規模の建設業の営業を行うための都道府県庁または国土交通省への許可申請
・風俗営業許可申請
スナックやバーの営業を行うための警察(公安委員会)への許可申請
・運送業許可申請
旅客や貨物の運送業の営業を行うための陸運局への許可申請
・入国管理業務
外国人が日本で就労活動を行ったり日本人と結婚するなどして日本に在留するのに必要な在留資格を取得するための出入国在留管理局への在留資格取得に関する申請
2.民事書類業務
次のような遺言・相続に関する業務が大半を占めています。
・遺言作成業務
遺言書に関する相談および文案の作成
・相続手続業務
お亡くなりになった方の遺産の引継ぎに関する「遺産分割協議書」等の書類作成や金融機関の払戻手続の代行等。
その他、契約書の作成やコロナ支援策の申請書類に関する相談・書類作成にも従事しています。コロナ支援策の申請でお困りの方は、お近くの行政書士またはお住まいの都道府県の行政書士会にご相談してみてはいかがでしょうか。
行政書士になる3つのルート
次の3つのいずれかの条件を満たして日本行政書士会連合会に登録すれば行政書士として活動できます。
ルート1.行政書士試験に合格した者
試験は年に1回毎年11月に全国で実施されます(今年は来月11月14日(日)に開
催)。行政書士試験は、年齢・学歴・国籍等に関係なく受験できます。昨年(令和2年度)の試験結果は次のとおりです(括弧内は前年度比)。
・申込者数:54,847名(+2,461名、+4.7%)
※最年長96歳、最年少12歳
・受験率:75.995%(76.0%)
・合格者数:4,470名(4,571名、▲101名)
※最年長76歳、最年少15歳
・合格率:10.7%
※最年長76歳、最年少15歳
なお、行政書士登録者の約7割が試験合格者となっています。 行政書士試験は、的確な勉強をすれば合格できる試験です。また、やり方次第で一発合格も可能です。チャレンジしてみようという方は、一般財団法人行政書士試験研究センターのホームページをご覧ください。
ルート2.公務員として20年以上の行政事務を担当した者
国または地方公共団体の公務員等として行政事務等を担当した期間が通算して20年(学校教育法による高等学校を卒業した者等は17年)になる者
ルート3.弁護士・弁理士・公認会計士・税理士となる資格を有する者
これらの士業職で登録・開業していることは要しませんが、行政書士業務を行うには、「行政書士」として登録する必要があります。
なお、司法書士や社会保険労務士、建築士、土地家屋調査士などは含まれません。
行政書士の登録者数
行政書士の登録者数は50,381名です(令和3年8月末日現在)。その内、男性は42,834名、女性は7,547名です。
そうだ!行政書士に相談しよう
以上ご覧いただいたとおり、行政書士は広範な業務範囲と権限が付与されている資格ですが、実際はそれぞれ専門分野を持って活動しています。専門外の相談を受けた場合は、相談内容に詳しい行政書士やパートナーの弁護士、司法書士、税理士、社会保険労務士等の他士業をご紹介しています。
もし、自分で解決が困難なお悩みがあれば、まずは行政書士に相談してみてはいかがでしょうか。速やかな問題解決につながるきっかけになるはずです。